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大村市の郷土料理・大村ずしの名店「元祖角ずしやまと」。明治時代に創業し100年以上にわたって守り続けてきた伝統の味は、即位前の若き明仁上皇陛下にご賞味賜るという光栄に浴しました。
そんな角ずしやまとの代表を務めるのが永田隆利さん。37歳という若さながら500年という歴史ある郷土料理を良い形で次世代に伝えていこうと日々、奮闘なさっています。そんな5代目に、これまでの思い出深いエピソードやこれからの展望についてお話を伺いました。
永田さん:やっぱりコロナの流行ですね。ウチは郷土料理店で仕出しも行っていたので居酒屋みたいにお酒を提供する飲食店に比べればダメージは少なかったと思います。それでも客足はかなり遠のきましたね。
永田さん:ただ、地域の皆さんが仕出し弁当を注文してくださったり、常連の方々が足を運んでくださったりと応援してくださった。大変な時期ではあったのですが、地域の方々のあたたかさにふれることで改めてお客様がいるということのありがたさを感じた時期でもありました。
永田さん:あとは子どもたちへ地元の郷土料理を伝える活動ですね。今は中学生の職場体験がメインになっているのですが、先代の父の時代は幼稚園・保育園や小学校に出向いて大村ずしの作り方を実演していました。大村ずしを作る家庭が減ってきているからこそ、自慢の郷土料理として次世代に伝えていきたいと思っています。
永田さん:そうですね・・・。100年以上続く老舗なので地域の皆様に愛され続ける店として頑張っていきたい。それに加えて、専門店として大村ずしの美味しさをもっと深く追求していきたいな、と思っています。
永田さん:今の時代、各地の郷土料理ってコンビニやショッピングセンター、スーパーなんかで販売されているんですよね。大村ずしも食料品売り場に行けば並んでいるのが現状。そういったスーパーやコンビニの持つ流通経路や生産力には到底太刀打ちできません。だからこそ、専門店ならではの手作りの味や技術で勝負していきたいと考えています。
永田さん:そうです。私たちは深く専門性を極めていくことが大事だし、スーパーやコンビニが大村ずしを生産・販売することで地域の方々にとって身近な郷土料理になっていく。狭く深く追求するスペシャリストと広く浅く総合力のゼネラリストみたいな感じで、ライバルでありながら大村ずしを広める仲間として切磋琢磨していければと思いますね。
今から約500年前、戦国時代に起源がある大村ずし。大村ずしを作る“もろぶた”が花嫁道具の1つだった時代もあるほど、城下町・大村の人々にとって身近なおもてなしの家庭料理でした。しかし今日に至っては大村ずしを家庭で作る機会は減少。だからこそ、郷土料理を次世代に伝えていくことが自身の使命であると永田さんは考えています。
「県外に就職している友人や知り合いがたくさんいるのですが、お盆や正月に帰省して大村ずしを食べると『ほっとする味だ』なんて言っています。食べる機会が少なくなってもこの地域で生まれ育った人にとってはソウルフードなんだと思います」
だからこそ、と続ける永田さん。
「ずっと変わらない大村ずしの伝統の味を守り続けるのが私たち専門店の役目。パッケージ製品がどれだけ普及しても味だけは絶対に負けません」
柔和な表情でそう語る5代目の目には、スペシャリストとしての矜持と誇りの炎が燃え上がっているようでした。
取材・執筆/Komori Daigo
長崎県大村市本町474-5 ( Google MAP )
営業時間:
食事10:00~20:00/持ち帰り8:00~20:00(火曜、第2・4水曜定休)
TEL: 0957-52-3546