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暮しを楽しむの手帖
ささや#2 お客様にとって“変わらない実家”のように。

栄養バランスにこだわった体にやさしい和食を提供している諫早市の食事処「ささや」。
和のテイストをふんだんに盛り込んだ店内にはカウンター席と小あがり席があり、ゆったりとくつろげる雰囲気が漂っています。

「味と心のおもてなし」。
店先の行燈看板に書かれたその言葉には、店主・松竹恵子さんのお客様に向けた想いが込められています。今回はそんな「ささや」のコンセプトや運営で大切にしていることを伺いました。

真心こめた手料理と笑顔のおもてなし。その秘訣は健康にあり。

今年(2023年)で開業33年ということですが、開業する時にこだわったことはありますか?

松竹さん:和モダンで落ち着ける空間にしたことです。当時は「地味な店造りにしたね」と言われることも多かった。でも、若い頃に地味な着物を選ぶと長く着ることができるのと同じように、私はこの店を長くやろうと思っていたので内装にはこだわりました。

年齢を重ねた時に見合った空間になさったわけですね。

松竹さん:ただ、何もしないと古ぼけていくんですよね。だから、そうならないよう努力を続けてきました。“変わらないように変えていく”っていうのかな。開業当時からの常連さんもたくさんいらっしゃるのですが、いつ来ても違和感がなく過ごしていただけるのが自慢かなと思います。

小あがりに活けてある花もすごく映えています。

松竹さん:これは結婚記念日の時に自宅に植えた梅の花。「お客様の癒しになればいいな」と思って自宅にある季節の花を切って飾っているんですよ。月日を重ねた趣きやビンテージ感を上手に残しながら、店の清潔感と私の元気さは変えないようにしないとな、と思っています。

日によって献立が変わるのも「ささや」の特徴ですよね。松竹さんは料理をどのように学ばれたのですか?

松竹さん:その質問はよく聞かれるのですが、私は“生産者が先生”なんです。

生産者が先生?

松竹さん:野菜を育てたり魚を獲ったりする生産者の皆さんは、その食材のプロフェッショナル。おいしい調理方法、バリエーション、鮮度の落ちない保存方法などいろんなことをご存じなんです。だから、直売所や市場に納品している地元の方々に「料理屋をやっているのですが教えていただけないでしょうか」ってたくさんお声かけ。皆さん、真摯に向き合ってくださっていろんなことを教えてくださいました。

すごくアグレッシブに動かれたんですね。その結果、松竹さんには生産者の先生がたくさんいらっしゃる、と。

松竹さん:そうなんです。加えて、諫早で採れた野菜や魚介類は素材がしっかりしているので引き算の料理でいいんですよ。そのためにこだわっているのが、ミネラルのたくさん入った良いお塩。食材の味を生かした料理を楽しんでもらえればうれしいですね。

最後にお店を営業する中で大切になさっていることを教えてください。

松竹さん:一番気掛けていることは、自分が健康であること。健康でなければ正確な味見ができなくなってしまうし、何より意欲がわかなくなってしまう。食材から料理を生み出すにはエネルギーが必要なので元気でないといけないんです。私はお客様とコミュニケーションをとりながらパワーをあげたいと考えていますが、逆にお客様からパワーをいただくこともある。お互いがWIN-WINになれるのがこの店のいいところだなと感じています。

「ようこそおいでくださいました。おすすめは真心こめた手料理と笑顔のおもてなしを約束いたします」。これは店先にさりげなく置かれた松竹さんからお客様へのメッセージです。暖簾をくぐるといつもと同じ落ち着いた空間と店主の元気な笑顔。懐かしさを感じながら料理を口に運ぶと、明日への活力が湧きあがってくるようでした。

※取材・執筆/Komori Daigo

INFORMATION
ささや

長崎県諫早市東小路町9‐9 ( Google MAP

営業時間:

11:30~13:30、
17:30~23:00(定休日:日曜・祝祭日)

TEL: 0957-21-3973