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暮しを楽しむの手帖
ふぅ~ど八代松江通店#1 一度は諦めた料理の道。修業に明け暮れた30代を経て独立した異色のオーナー

不知火海・八代平野・九州山地と豊かな自然に囲まれた熊本県第2の都市・八代。市内中心部には国指定の名勝「松浜軒」や国指定の史跡「八代城跡」があり、地域の歴史を現代に伝えています。

そんな観光名所から徒歩10分。八代市内を縦断する県道42号を北に向かって進むと右手に見えてくるのが「和+洋+亜cookingふぅ~ど八代松江通店」。ピザ、鍋料理、オムライス、揚げ物など名前の通りさまざまな創作料理とお酒をリーズナブルに楽しめると人気の居酒屋です。

そんな「ふぅ~ど八代松江通店」をオーナーとして切り盛りしているのが稲村秀樹さん。一度は諦めた料理の道を30代で志し、不惑を越えて独立したという異色の料理人に、開業までの道のりと料理へのこだわりをお聞きしました。

外食する場所だからこそ「食材」と「手間」にこだわりたい

稲村さんが料理に興味を持ったきっかけはなんだったのでしょうか。

稲村さん:子どもの頃は両親が共働きだったので、おなかがすいたら家にある材料で料理を作って食べていたんです。好きでやってたというよりは必要に迫られて仕方なくという感じ。でも、だんだんと面白くなってきて高校3年間は餃子をメインに作っているお店でアルバイトしていましたね。

じゃあ、その頃から料理の道に進みたいな、と思っていらっしゃったと。

稲村さん:はい。でも、そのバイト先の人に「料理人としてのセンスないね」って言われてしまって。アルバイトリーダーのような役割も担いながら、多い日は餃子を1日1000個作っていたので飲食業界でやっていく自信はあったのですが、その一言で夢が急激にしぼんでしまい、業後は飲食とは関係ない職種に就きました。

一度、料理の道は諦めてしまわれたのですね・・・。

稲村さん:でも、サラリーマンとして働きながらも「飲食店にチャレンジしてみたい」という気持ちもどこかにあって。それで30代中盤を迎えた頃に熊本市内で飲食店をやっていた兄の店で働き始めたんです。

15年のブランクがある中での飲食業界への挑戦。当時、大変だったことはありますか?

稲村さん:スタッフはみんな自分より年下。20代前半の子もいたかな。そんな中に年上の新人として入ったのでいろんな面で大変でした。とにかく仕事を早く覚えようと必死だったことを覚えています。

そこで7年修行をし独立。2014年にこの店をオープンなさいました。創作料理の居酒屋としてこだわっていることはなんでしょうか。

稲村さん:1つは「手作り」。今は飲食店向けのチルド食品・冷凍食品がたくさんありますが、それを揚げたり焼いたりするだけならお客様にとっての外食の意味がないと思うんです。例えばウチの「チーズの包み揚げ」は自分たちでカマンベールチーズを皮で包んでから揚げる。そういうひと手間がお客様へ届くんじゃないかと考えています。

少し時間をかけてでも美味しいものをお客様へ届けたい、と。

稲村さん:もう1つは「食材」。オープン以来、ピザ用小麦粉など専用のものを除いて、できるだけ国産のものを仕入れるようにしています。野菜は地元の八百屋から仕入れ。米は阿蘇のコシヒカリ、鶏肉は鹿児島産のいずみどり、ニンニクは熊本産か青森産と安心安全な食を提供しています。お客様の「おいしかったよ」という言葉を聞くたびにやりがいを感じますね。

画像はInstagramより

豊かな自然に囲まれた熊本県は農産物の宝庫。中でもトマトの生産量は日本一で、八代では塩分濃度が高い干拓地の土壌によって糖度が高くなる「くまもと塩トマト」や減農薬のブランド冬トマト「はちべえトマト」などが栽培されています。

そんな特産品のトマトに着目した稲村さんはオリジナルの「8246(ヤツシロ)トマトソース」を開発。去年(2022年)からオムライスのソースなどに使用するなど、ふるさとの味を生かしたメニュー作りに取り組んでいます。

「使用しているのは完熟したトマト。塩や砂糖は使わずにじっくりじっくり煮詰めていくことできれいなオレンジ色のソースが完成します。素材を活かした風味と甘みを楽しんでいただけたら嬉しいです」

取材・執筆/Komori Daigo

INFORMATION
和+洋+亜cookingふぅーど 八代松江通店

熊本県八代市松江町343-1 ( Google MAP

営業時間:

月、火、木、金/ランチ11:30~14:30、ディナー17:00~23:00
土、日、祝前日/17:00~24:00
※水曜定休

TEL: 0965-32-5100

URL:https://www.hotpepper.jp/strJ001132820/