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「日本人の口に合う新しい中国料理」をコンセプトに、優しくあっさりした味わいの料理を提供している「新中国料理 謙張」。今年(2023年)、創業34年目を迎える熊本県八代市で人気の町中華が大きなターニングポイントを迎えています。
それの中心にいるのが、この春から謙張の厨房を任されている大藤桂汰シェフ。24歳という若さながら中華の鉄人・陳建一が2代目オーナーシェフを務めた四川飯店本店で5年間修業した実力をいかんなく発揮し、お客様の舌を楽しませています。
幼いころから中国料理に親しんできた23歳の2代目・松永大陽さんと東京で四川料理の技術を磨き続けてきた24歳の大藤桂汰シェフ。20代のふたりが見つめる謙張の未来についてお聞きしました。
松永さん:コロナ禍を経験して「中国料理で八代を盛り上げたい」という想いがより一層強くなったんです。そこで、四川飯店でのインターンで指導していただいた大藤シェフに声をかけさせていただきました。人柄や技術、料理に対する熱量も知っていましたので、快諾してくださったときは本当に嬉しかったですね。
松永さん:僕は悩んだ時や苦しい時は「親父だったらどんな風にするだろう」と想像するんです。父は越えたい存在であると同時にリスペクトもしているので、直接は聞かずに自分の心に問いかける。その中で、陳建一さんの最後の弟子である大藤シェフと一緒にやれる未来にワクワクしたというのが決め手でしたね。
大藤シェフ:松永さんからオファーをいただいたのが2年前。元々、いつかは独立したいという夢があったのですが「陳先生から学んだ料理で謙張にイノベーションを起こしてほしい」という言葉に、自分にとって大きなチャンスなんじゃないかと感じました。
大藤シェフ:私たちに共通しているのは「うまい料理を提供したい」ということ。一緒に働いてまだ3ヶ月ですが毎日いろんな話して認識をすり合わせたり、お互いに練習した料理味見して意見を言い合ったり。料理人として競い合える仲間がいるのはすごく幸せなことだなと感じています。
松永さん:厨房は基本的に大藤シェフに任せていますね。そして、これから少しずつメニューに新しい料理を加えていきたい。ただ、メニュー構成や商品開発はウチが得するようなものではなく、お客さんと店がお互いにWin-Winになれるように心がけています。
大藤シェフ:地元で長く続いているお店だけあって平日も休日も幅広い年代のお客様が多いです。忙しくはありますが、責任のある立場で松永さんと一緒にまわしているというのは面白いですしよそでは中々できない経験。非常にやりがいのある環境だなと感じています。
大藤シェフ:まずはこの店の味をしっかりと引き継ぐこと。謙張のあっさりした優しい味わいを守りつつ、四川飯店の5年間で培ってきた技術で新しい風をプラスしていきたいです。とはいえまだまだ未熟ですので、先代の味も陳先生の味も100%に近づけるようにこれからも研究と努力を重ねていきたいと思っています。
松永さん:謙張は小さなちゃんぽん屋としてスタートし、父と母が二人三脚で大きくしてきました。ただ、両親が成し遂げられなかったこともたくさんあるんです。「もっと時間があったらこんな風にしたかった」という話を聞いて「自分の代でその夢を叶えよう」「この店を一生残すんだ」という想いが強くなりました。
松永さん:一番身近な目標としては、15年以上稼働している現在の店舗をリニューアルすること。1階が駐車場、2階が店舗のピロティ構造に建て替えたいと考えています。結構、具体的に計画を立てているので早く達成できるよう頑張っていきたいと思います。
「謙張を九州で一番の中国料理屋にしたい、と昔から思っています。16歳で料理の道に進んで8年目にしてようやくそのスタートラインに立ったなと。ちょっとカッコつけたいい方かもしれませんが、八代から九州を中国料理の炎で染めたいですね」(松永さん)
「会長(先代)も少しずつ私の料理を通常メニューに出していこう、と言ってくださっているのが嬉しい。この地域の方々が私の料理を食べてどう感じていただけるかということもダイレクトにわかりますし、本当に楽しみです」(大藤シェフ)
料理への情熱に満ちあふれた若きふたりの料理人が生み出す新たなムーブメントに、ぜひ注目してくださいね。
取材・執筆/Komori Daigo
熊本県八代市横手町1680-2 ( Google MAP )
営業時間:
11:00~22:00(ランチ/11:00~15:00)
TEL: 0965-35-0575