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暮しを楽しむの手帖
アルマミューズ#4 料理を通して自分を表現したい

料理人として10年以上のキャリアを持つ鈴木匠悟さんが地元・諫早で「イタリアン&バルアルマミューズ」をオープンしたのが2017年。リーズナブルなお値段で、本格的なイタリアンが気軽楽しめると評判になり、2021年には諫早駅に隣接する複合型商業施設・iisa(イーサ)内に移転オープンしました。

駅ビルの一角にある隠れ家のような佇まい。線路を走る風と諫早の空をイメージした店内は女性一人でも入りやすい雰囲気が漂っています。そんなアルマミューズの歴史を料理長・鈴木さんと一緒に紐解きながら、「これまで」と「これから」について伺っていきたいと思います。

コロナ禍を乗り越え、生かされている。だからこそ真摯にやっていこう。

2017年に「アルマミューズ」をオープンして6年目となるわけですが、これまでに印象に残っているエピソードはありますか?

鈴木さん:私はずっと料理の道を歩いてきたわけではなくて、8年ほど会社勤めをしていました。夢を追いかけるために退職したのですが、自分の中で「迷惑をかけたかも」っていう後ろめたさみたいなものがあったんですよね。

ああ、それはよくわかります。

鈴木さん:で、私が独立して諫早で店を構えた時に、その時の職場の方が偶然お客様としていらっしゃったんです。その時に「鈴木さんは料理もできたんだ」と言われて。なんというかちょっと救われたような気持ちになりました。

では続いて、2020年から新型コロナウイルスが世界的に流行しましたが、当時大変だったことはなんでしょうか。

鈴木さん:売上がかなり落ち込んだことですね。国や県の要請に従って感染症対策や時短営業を行い、テイクアウトもやりましたが補助金で何とかしのいだという感じ。でも、他の業種の方から「飲食は補助金出るだけマシよ」と言われてハッとした。自分たちは生きながらえさせていただいたんだ、と。それを真摯に受け止めて、できる限りのことをやっていこうと思いました。

コロナ禍の2021年には現在のiisaに移転オープンなさいました。

鈴木さん:当時も緊急事態宣言が出れば酒類は19時まで、営業は20時まででやっていました。ただ、全国的に少しずつ規制が緩和され出張で諫早にいらっしゃる方が増え始めて。仕事で県外からいらした方だからこそ、長崎の美味しいものを食べていただきたいとテイクアウトのご要望にお応えしていました。

大変な時期でもお客様へのおもてなしを大事になさっていたのですね。それでは最後の質問です。漠然としていて難しいかもしれないのですが、鈴木さんにとって料理とは?

鈴木さん:えー、何だろう。本当に難しいですね(笑)。・・・そうだなあ。自分を表現する手段、かな。

料理で自分を表現?

鈴木さん:思い返してみると、小さい頃から絵を描くのが好きだったり、学生時代にバンド活動をしたりとか、アート的なものが好きだったんですよ。才能がなくてその道は諦めてしまったけれど、料理に関しては店を出せるくらいの才能はあった。だから、潜在的に持ち続けている「自分を表現したい」という想いを、料理を通して昇華しているのかもしれませんね。

「自分にとって料理とは何か、なんて考えたこともなかったので自分を見つめなおす良い機会になりました」と話す鈴木さん。その謙虚な人柄と料理への情熱が料理人・鈴木匠悟の魅力なのだろうなぁと感じずにはいられません。

最後に今後の展望を伺うと「今の『アルマミューズ』の雰囲気も好きなのですが、別の場所でもっと“バル”の要素が強いアットホームなお店も出してみたいな、と思っています」とニコリ。新たな街づくりが進む諫早の未来を夢見るまなざしには、確かな信念と強い想いが宿っているようでした。

取材・執筆/Komori Daigo

INFORMATION
イタリアンバル アルマミューズ

長崎県諫早市永昌東町1-1 iisa2F ( Google MAP

営業時間:

17:30~22:30(定休日/火曜)

TEL: 0957-22-7330