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暮しを楽しむの手帖
アルマミューズ#1 美味しいものの博物館。母から受け継いだ屋号に込められた想い

2022年9月の西九州新幹線開業に合わせて再開発が行われてきた諫早駅。新たなまちづくりの一環としてロータリーがきれいに整備され、立ち並ぶ2棟の再開発ビルは諫早の新たなランドマークになっています。

そのひとつが諫早駅に隣接する複合型商業施設「iisa(イーサ)」。ホテルやV・ファーレン長崎のグッズショップなどさまざまなテナントが入居する駅ビルを歩いていると、ブルーグリーンの外観がオシャレなお店が目に飛び込んできます。

「イタリアン&バルアルマミューズ」。料理長・鈴木匠悟さんが腕を振るうメニューの数々は、カジュアルにイタリアンを楽しめると人気を呼んでいます。今回はそんな鈴木さんに、生まれ育った諫早で飲食店をオープンさせるまでのお話をお伺いしました。

アルマミューズを彩る“料理長と地元の縁”

料理人を目指したきっかけを教えてください。

鈴木さん:学生時代にアルバイトをしていたレストランで、まかないで食べたパスタが美味しかった。こういう料理を自分もつくりたいと思ったのが料理人を目指したきっかけですね。

下積み時代はどのようなお店で修業なさったのでしょうか?

鈴木さん:東京のビアレストランで3年、多国籍レストランで3年。そこで調理の基本を習得しました。その後、地元の洋風居酒屋で再び修業し、ソースづくりの大切さや新鮮な素材の使い方などを学びましたね。

そして2017年に独立なさるわけですが、開業の場所として諫早を選んだ決め手はなんでしたか?

鈴木さん:私にとって「料理人になる」ということは「自分の店を持つ」ということでもありました。だからこそ、夢を叶える場所はやっぱり生まれ育った街なのかなと。子どもの頃から過ごしてきて少なからず人とのつながりもあったことも大きかったですね。

地元の縁を大事になさったわけですね。

鈴木さん:例えば、店の外に置いてあるタペストリーのデザイン、厨房にある目隠しボードのチョークイラスト、メニューの写真などは中学・高校時代の同級生が手がけてくれました。みんな本職ではないのですが、プロ顔負けの出来栄えで友人に恵まれたなぁと感じています。

「アルマミューズ」という屋号もオシャレです。

鈴木さん:実は、この名前は母が経営していたワインバーの店名からいただいたものなんです。モチーフは作曲家マーラーの妻アルマ。女性でありながら絵画、文学、哲学、作曲と幅広い才能を発揮しミューズと呼ばれていたことから「美味しいもの、美しいものの博物館」というイメージで『アルマミューズ』という屋号にしたと聞いています。

お母様から受け継がれた名前だったんですね・・・!

鈴木さん:まあ、当時はそこまで深い考えはなくて。店を出すときになかなか良い候補が思い浮かばなかったので、そのまま母の屋号をいただこうかなと思っただけなんです。母に使っていいか尋ねたら「どうぞそのまま使ってください」って。あれから5年経ったと思うと時の流れは早いですね。

「実は、ワイングラスのショーケースの上にあるのが、母の店で使っていた看板なんですよ」

鈴木さんが指さす方を見ると、少しだけ雰囲気の違うサインボードが目に留まります。10数年の時を経て母から息子へと渡った「美味しいものの博物館」という屋号。そこに込められた想いを胸に、料理長はバラエティーに富んだメニューとこだわりのワインでお客様へ素敵なひとときを提供しています。

取材・執筆/Komori Daigo

INFORMATION
イタリアンバル アルマミューズ

長崎県諫早市永昌東町1-1 iisa2F ( Google MAP

営業時間:

17:30~22:30(定休日/火曜)

TEL: 0957-22-7330