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暮しを楽しむの手帖
小料理まさ#3 食材の味を引き出す職人の技。山菜を自ら採りに行く食へのこだわり。

昭和59年に八代市で店を構え、2014年に本町1丁目商店街の一角にある店舗に移転リニューアルした「小料理まさ」。アーケード商店街を歩いていると、ヒラメ・イカ・ガザミ・エビなど地元の八代海で水揚げされる魚介類が大きくあしらわれた看板が目に飛び込んできます。

熊本の豊かな自然に育まれた多様な海産物・農作物。店主の石本正行さんは地元の食材にじっくりと向き合い、時間をかけて食材の味を引き出す調理を行っています。そんな石本さんに食材や調理法などへのこだわりをお聞きしました。

石本さんの独創的なアイデアから生まれた「カレー塩」。昭和の地元メディアも珍しさに飛びついた!?

八代海は日本でも有数の漁場。どんな魚介類が水揚げされるのか教えてください。

石本さん:ヒラメもおる、タイもおる、スズキもおる。タコにエビに、小魚、ワタリガニ・・・。日本の中でも優秀な魚介類の宝庫なんよね。ウチでは基本的にそういった地元で獲れた食材を使って調理を行っています。

目利き・仕入れもご自分でなさっていらっしゃるんですか?

石本さん:そうですよ。大阪での修業時代、毎日のように市場に仕入れに行ってたからね。やっぱり都会には日本各地から最高ランクの食材が集まってくるんよ。それを目利きする寿司職人や料理人もいて、買い手も売り手も真剣そのもの。そういう環境にいたから自然と“ものを見る目”が養われたんやろうね。

旬の新鮮な活魚が石本さんの手で最高の料理に生まれ変わるわけですね・・・!

石本さん:ウチにお品書きはありません。2~3品出したらそこで止めておいて、お食べになられたらまた注文をお聞きして・・・と、料理をいっぺんに出すやり方はしていなんですよ。お任せやコースをご注文いただいた時は、初めてのお客様には苦手な食べ物やアレルギーなんかは必ず聞いて頭にインプットするようにしています。

少し話が変わりますが、石本さん自らが山に入って採ってきた山菜料理も有名です。

石本さん:山菜は自然に生えた旬のものを食べるのが一番おいしい。
だから、私はもう78歳ですが今でも休みの日には採りに行きます。最近だと山ウドを収穫したけど、パッと行ってわかるもんじゃない。山に詳しいじいちゃん・ばあちゃんたちに見つけ方や採り方を教わりながら長年やってきた経験が大きいと思います。

揚げ物をつける「カレー塩」も石本さんのアイデアだそうですね。

石本さん:カレー塩を始めたのはオープンの年だから昭和59年かな。タコを一本ごと揚げてぶった切ってね。それをカレー塩につけると酒に抜群に合う。当時は珍しくてインパクトが大きかったんでしょうね。テレビ、新聞、ラジオ、いろんなメディアが取材に来たんですよ。

それはカレー塩の元祖と言っても過言ではない・・・!

石本さん:食材はほとんど熊本産・九州産といった地元のもの。例えば、ウチの看板メニューの1つ、フグ料理は牛深~長島産のトラフグを使っています。てっさ、てっちり、唐揚げにヒレ酒。長年の経験と培った技術できちーっと仕上げていますから、ぜひ一度味わっていただきたいですね。

「昔は八代でもようけ天然のフグが獲れよったんよ。フグ調理は免許が必要やから、針網やはえ縄でフグが大量にかかった時なんかは漁師さんが『使ってください』って持ってきたりしてね。でも、最近は八代ではあんまり水揚げされんくなって、ちょっと寂しいと思ってます」

地元の食材を愛し、そのおいしさにこだわる石本さん。カウンターに並ぶ魚介類のおいしさを真剣に語るその姿からは、半世紀以上「食のプロ」として生きてきた男の矜持を垣間見ることができました。

取材・執筆/Komori Daigo

INFORMATION
小料理まさ

熊本県八代市本町一丁目10-3 ( Google MAP

営業時間:

17:00~22:00(定休日/日曜)※日曜営業の場合は翌日休

TEL: 0965-32-2516