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暮しを楽しむの手帖
小料理まさ#4 すべては「お客さんが1番」という信念のために

八代市の本町アーケードにある「小料理まさ」は40年以上の歴史をもつ和食処。店主の石本正行さんは御年78歳、この道60年の大ベテランです。石本さんの手掛ける正統派の作法で創作された和食はもちろん、お客様を第一に考えるポリシーが多くのお客様の味覚と心をがっちりとつかみ、普段の外食としてはもちろん、特別な日の食事や接待や商談の場としても重宝されています。

そこで、今回は石本さんに料理人として大事になさっていることをインタビュー。60年のキャリアを積んできた石本さんにとって「理想の料理人像」とは何なのか。ぜひ、お読みください!

気持ちよくお迎えし、気持ちよくお帰りいただく

石本さんが料理人として大事になさっていることは何ですか?

石本さん「お客さんが1番。清潔も1番」。
たくさんある料理屋の中からウチの店に来ていただいた方を大事にする。それは、気持ちよくお入りいただいて気持ちよくお帰りいただくこと。それが次につながっていくんです。

「お客さんが1番。清潔も1番」。額に入れて店内に掲げていらっしゃることからも想いの強さがわかります。

石本さん:私ら料理人は“食”が仕事やからね。
そこに対して信念持ってきちーっとしてるのが大切。そうでないとダメなんですよ。だから私は今でも調理場は綺麗にしてるし、この鍋なんかかなり使い込んどるけどピカピカしとるやろ?

ほんとだ!調理場や料理道具を綺麗にすることはお客さんを一番に考える第一歩というわけですね。

石本さん:お客様に良くお伝えしてるのは「おいしいはお客様の責任ですよ」ということ。私とお客様というのは50:50の対等な関係で、私が丹精込めて作った料理はお客様の「おいしい」という感覚を手助けするものだと考えています。

石本さんの料理を味わって「おいしい」と思う感情こそ、小料理まさで一番贅沢なメニューだと思います。

石本さん:僕はね、板前なんだけど板前にはなりたくないんだ。
お客さんの“おふくろ”を目指しとるんよ。

おふくろ・・・ですか?

石本さん:そう。おふくろの味ってよく言うけど、親が作ってくれた料理って毎日三度食べても飽きないやろ?そういう料理が出せるように仕入れでもきちっと見る目を持つ。食材の味を引き出す調理を研鑽し続ける。それがおいしさの秘訣なんです。

お客様と料理に対する愛が深い・・・!

石本さん:熊本はね、海も山も川もある。日本の中でこんなに魚介類も農作物もいいものがたくさんとれる地域はなかなかない。地元のもので十分うまい料理はできるんです。例えば、馬スジの煮込みなんかはいいやつを時間かけて煮込んでね。何杯でもご飯が食べられる。お客さんが「美味しい」と言いながら、酒を飲んでリラックスして過ごしていただくのが何よりも嬉しいですよ。

昨年、喜寿を迎えた石本さんに現在の目標をお尋ねすると「後進を育てること」と真剣な表情で答えが返ってきました。

「ありがたいことにウチの店をひいきにしてくださったり、商談の席に使ってくださったりするお客さんがたくさんいらっしゃる。私が引退したとしても、そういう方たちに“まさ”という場所と料理を引き続き提供できるようにしていきたいんです」

健康管理には人一倍気を使い、体の調子が思わしくない時は無理をせずに店休することもあるという石本さん。すべては「お客さんが一番」という信念のために。老いてますます盛んな料理人は、おふくろの味を目指して調理場に立ち続けています。

取材・執筆/Komori Daigo

INFORMATION
小料理まさ

熊本県八代市本町一丁目10-3 ( Google MAP

営業時間:

17:00~22:00(定休日/日曜)※日曜営業の場合は翌日休

TEL: 0965-32-2516