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暮しを楽しむの手帖
小料理まさ#2 名店に歴史あり!「まさ」はどうやって八代の人気店になったのか

八代市のアーケード商店街に店舗を構える「小料理まさ」。昭和59年のオープン以来、約40年の歴史がある「小料理まさ」には、地元の食材を活かしたうまかもんが食べられると地域の方々が足を運んでいます。

2014年に現在の場所にリニューアルオープンし、商店街の賑わいにも一役買っている「小料理まさ」。今回はそんな「小料理まさ」のオープンにまつわるヒストリーを店主の石本正行さんと一緒に紐解いていきたいと思います。

秘訣は「確かな料理の腕」と「マーケティング戦略」

大阪から八代に戻ってこようと思われた理由は何だったのでしょうか。

石本さん:嫁さんの病気やね。嫁さんは人吉の出身で、偶然知り合って結婚したっちゃけど、大阪で生活している時に喘息の気が出てね。「お父さん、熊本に帰りたい」と言われた。それが大きな理由。

ご家族を大事にしていらっしゃる姿勢が素敵です。

石本さん:本当は大阪で店をやりたいという想いもあったんです。
当時は1950年代の高度成長期。都会で店を出せば「出世払いでいい」とスポンサーが付くような時代やった。大阪で良い場所を紹介してもらったりしたけど「嫁さんの健康には変えられん」とUターンを決意したね。

昭和59年、晴れて独立し八代で「小料理まさ」をオープンなさいました。

石本さん:八代に帰ってきて最初にやったことは物件探し。夕方5時くらいから夜8時半くらいまで市街地を歩き回って人の流れを把握しました。そこでおもしろそうやなと思ったのが本町商店街から少し離れた一軒家やったんです。

アーケードに面した現在の店舗と比較すると、利便性が低いように感じますがなぜその場所に目を付けたのですか?

石本さん:当時はあの周りにお店がほとんどなかったので夜になると真っ暗。それがチャンスやと思ったんです。暗い夜道に明るい看板があったらどうしたって記憶に残る。目の前の道路は一方通行やけどそれなりに車が通っていたので、明るい看板に珍しい文言を書いて注目してもらおうと考えました。

なるほど!ちなみに、看板にはどんなフレーズを書かれたのですか?

石本さん:魚のキープ。

魚のキープ?・・・ウイスキーとか焼酎とかお酒のボトルキープみたいなものですか?想像がつきません。

石本さん:そう!その想像がつかない=どういうことやろって看板を見た人は「魚のキープ」を覚えるわけ。オープンして最初の頃は「こんな暗かとこに店だして一ヶ月持つんかな」みたいなことも言われたけど、おかげさまで三ヶ月経つ頃にはぼちぼちお客さんが入るようになったんです。

マーケティング戦略がすごい!

石本さん:食のまち・大阪で20年も料理人としてやってきたので「食べてもらえれば絶対に満足してもらえる」という自信はありました。だからこそ立地やアピールにこだわったんです。ある程度、軌道に乗ってからは「まさは今までの店と全然違うぞ」とお客さんが勝手に宣伝してくれるようになってありがたかったね。

現在は本町アーケードで営業している小料理まさ。店頭には開業当時から使っているという味のある木の看板が歴史の長さを感じさせます。

「アーケードに移転したんが2014年やけん、ちょうど30年。前の場所でやっとったね」と昔を懐かしむように話してくださる石本さん。その穏やかな話しぶりはいかにも好々爺で、石本さんが料理人として半世紀上にわたり積み上げてきたものの大きさを感じずにはいられませんでした。

取材・執筆/Komori Daigo

INFORMATION
小料理まさ

熊本県八代市本町一丁目10-3 ( Google MAP

営業時間:

17:00~22:00(定休日/日曜)※日曜営業の場合は翌日休

TEL: 0965-32-2516