閉じる
諫早で2005年に開業した「中華ダイニング杏てい」。料理人の野田浩一さんと奥様の文子さんが夫婦二人三脚で切り盛りしてきた“まちの中華料理屋”にフレッシュな風が吹き始めています。
そんな夢と希望に満ち溢れた若いエネルギーの持ち主は長女の良美さん。2021年に東京の大学を卒業後、郷里に戻って家業の杏ていに就職した彼女は、マネージャーとして接客、SNSでの発信、企画立案、サイトの管理などを担当しています。人懐っこい笑顔が素敵な良美さんに生まれ育った諫早の魅力やこれからの夢についてお話を伺いました。
良美さん:杏ていを通じて生まれた縁、ですね。例えば、学生時代にオーガニック先進国であるドイツを訪れた際、その食文化に感銘を受けました。帰国後、オーガニック食材を扱っている人はいないかなと探していたところ、なんと、杏ていに野菜を卸している方が有機農業をやっていらっしゃったんです!嬉しくてお話を聞きに伺ったら、野菜はおいしいし、取り組みも素晴らしくて感動しました。
良美さん:また、大学4年次には1年休学して杏ていで働いたのですが、その時にもたくさんの出会いがありました。諫早でまちづくりに取り組んでいる経営者の方との会話や勉強会、メディアでのPR、企画の発表会などいろいろな新しい発見があり、叶えたい夢がたくさんできたんです。この経験は杏ていがなければできなかったこと。だからこそ、両親が守ってきたこの店で働きたいと思いました。
良美さん:ありがとうございます!実は、料理の写真以外にもいろいろ工夫をしているんです。
例えば、餃子の皮を作っている動画や自家製調味料を作っている動画などをアップしているのですが、お客様が普段は見られない部分を公開することで杏ていの魅力がより伝わるんじゃないかなと思っています。
良美さん:その投稿はすごく反応が良かったです(笑)。
良美さん:オーガニック野菜の出張販売は私がやりたかったことの1つ。杏ていの仕事が休みの時に「杏の里」という名前で活動しています。コンセプトは「優しさと愛が循環する商品を」。生産者の元へ足を運んでその想いをしっかりと受け取り、消費者の方へお届けする架け橋のような存在になれればと思っています。
良美さん:この名前には3つの由来があります。1つ目は私の名前の「よしみ(良美)」。2つ目はご縁を大切にする「よしみ(誼)」。そして3つ目は「作り手よし、買い手よし、売り手よし」「味よし、素材よし、身体によし」「人によし、地球によし、未来によし」という3つの三方よしで「よしみ(良し三)」。生産から消費に関わる全ての生命の幸せにし、未来につなげていくという想いを込めました。月に数回、諫早各地で出張販売をしていますので、お越しいただけたら嬉しいです。
これからの目標を尋ねると「杏の里の活動通じて、地元諫早の地域活性化に貢献したい」と表情を輝かせながら答える良美さん。そんな彼女の活動を影ながら支えるご両親に伺うと「娘たち若い世代は、私たちの想いを未来へつないでくれる存在。彼女たちをサポートすることで地域に貢献していけると思っています」と優しい目で語ってくれました。
親から子へ、人から街へ。たくさんの愛情とやさしさが詰まったまちづくりの物語は、小さな中華料理店から地域へ確かに広がっているようでした。
※取材・執筆/Komori Daigo
長崎県諫早市泉町25-32 ( Google MAP )
営業時間:
(昼)金・土12:00~14:30
(夜)水、木、金、土、日17:30 ~ 21:00
TEL: 0957-21-8155