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長崎県諫早市。先端技術企業が進出して県内の産業拠点を形成する一方で、3つの海(有明海・大村湾・橘湾)と多良岳に囲まれた豊かな自然を生かした農業が盛んな長崎第3の都市です。そんな諫早の市街地に20年近く愛される中華料理屋があります。「中華ダイニング 杏てい」。料理人歴40年以上のマスターの野田浩一さんと奥様の文子さんが家族で切り盛りする店内では、たくさんのお客様が絶品メニューに舌鼓を打っています。
杏ていのこだわりは「安心安全な食材」。できるだけ地元産でとれた有機野菜やお肉、魚介類を使い、素材の味を活かすために手間暇かけて調理しています。その想いの根底には諫早で生まれ育ったおふたりのルーツが関係していました。
浩一さん:魅力はたくさんありますが、やはり何といっても「高温で瞬時に仕上げる炒め料理」。特に、空心菜は中国で食べた時にその味と魅力に惚れこんでしまって、まずは自分で育てるところから始めてみようと考えたんです。それから30年以上、妻の両親の畑で農薬を使わずに有機栽培しています。土を耕し種を植え、旬の時期になって収穫したら杏ていで提供しているんですよ。
浩一さん:繊細で多種多様な点心や薬膳などに代表される豊富な調味料も魅力の1つ。四川、上海、広東、北京と地域によって味付けが変わるのがすごくおもしろいんです。広くて深い。それが中華料理なのかなと思います。
浩一さん:元々料理が好きで将来は自分の店を持ちたいという夢がありました。だから、高校を卒業するタイミングで老舗の中華料理店が諫早にオープンすることを聞いてそこに入社。中華を学べば学ぶほどその奥深さに惹かれていきました。社長には神戸や横浜の店舗で調理を経験させていただいたり、本場の中国・台湾・香港へ行って勉強したり・・・。そういった経験がすべて今につながっています。
文子さん:私は農家の娘で、山を開墾して先駆的な農業にチャレンジする両親の元、山や川、海と自然豊かな環境で育ちました。両親が手がけていた野菜作り果樹園、養豚業には生きる力を教えてもらったと思います。社会人になってからは兄の青果業(野菜の出張販売)を手伝い、さまざまな新しいことにチャレンジしたことでお客様とのご縁をつむぐ貴重な経験となりました。
自分の病気、わずか7時間の命だった長男、そして、子どもが授かりにくいと言われた私が2人の娘に恵まれたことを通じて食の大切さを考えるようになったんです。食の大切さを学ぶ中で義父の育てる野菜のおいしさにも感動しました。
文子さん:義父は学生時代に農業を学んでいたそうです。社会に出てからは会社勤めをなさっていましたが、退職後に大好きな畑仕事をするようになりました。荒れた土地の開墾からと聞いた時は、私の両親と似ているなと感じました。
文子さん:安心安全な無農薬・有機栽培の野菜作り、と決めて苦労しながらも収穫した野菜は本当においしくて感動した、と仰っていました。そんな義父の息子ですから、主人も食に対するこだわりは強いんです。「杏てい」の名前は食材や調味料にもこだわりたいという主人の想いが込められているんですよ。
文子さん:主人が勤めていた中華料理店が野菜の卸先だったんです。
文子さん:主人の名前はうわさで聞いていました。お得意先だしおいしいと評判のお店だったので一度食べに行ったんです。そしたら感動してしまって。今までの中華料理とは違う、おいしいを通り越して体も心も喜んでるっていうのかな。料理に込めた想いを感じたんです。そこから料理人としての主人に関心を持つようになりました。そういうご縁があって、今は一緒にこの店をやっています。
当時の思い出を少し照れくさそうに話してくださった野田ご夫妻。食というものが身近にあるおふたりだからこそ惹かれあい、農家や漁業者といった生産者の方々が想いを込めて育てた食材を手間暇かけて調理する「杏てい」のベースになったのだと感じました。
杏ていではSDGs活動にも取り組んでいます。詳しくを公式サイトをご覧ください。
※取材・執筆/Komori Daigo
長崎県諫早市泉町25-32 ( Google MAP )
営業時間:
(昼)金・土12:00~14:30
(夜)水、木、金、土、日17:30 ~ 21:00
TEL: 0957-21-8155