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暮しを楽しむの手帖
nai#1 コーヒーを知らない若者がロースターになるまで

2020年8月、長崎県諫早市に1軒のコーヒー豆専門店がオープンしました。使われなくなった町工場の中に建てられた秘密基地のような焙煎所。「nai」と名付けられたそのお店には地域のファンはもちろん、県外からも鮮度の良いコーヒー豆を求めてお客様が訪れています。

午後5時。空が茜色に染まる中、取材に伺うとロースターとして「nai」を切り盛りしている近藤彰さんが柔らかな笑顔でお出迎え。オシャレな常滑焼のカップに注がれたコーヒーの香りに包まれながら、近藤さんがロースターになるまでの経緯について伺いました。

カッピングをひたすら続けて磨いた味の表現

30代という若さでコーヒー豆専門店を開店なさった近藤さんですが、これまでの経歴を伺っても良いでしょうか。

近藤さん:実は最初に目指したのは理学療法士でした。高校卒業後に専門学校に通ったのですが、勉強すればするほど自分が本当にしたことではないような気がして1年たったころに中退。その後、長崎市の浜んまちにある大丸に入っていたベーカリーに併設されたカフェでアルバイトを始めました。

19歳という年齢でかなり思い切った決断をなさったんですね。

近藤さん:「カフェで働いてみたい」というちょっとした憧れでしたね。でも、カフェでアルバイトをするうちにだんだんとコーヒーに興味を持ち始めたんです。そんな頃に大丸が閉店することになり、せっかくの機会だからもっとコーヒーのことを知りたいとスターバックスで働き始めました。

たまたま務めたアルバイト先が近藤さんとコーヒーの出会いだったんですね。

近藤さん:ただ、スターバックスではコーヒーよりも接客におもしろさを感じてしまって。3年勤めた後に「接客のプロフェッショナルになろう」とホテル業界へ転身しました。ただ、ホテル業界はカッチリしすぎていて自分の思い描く接客ではなかったんです。そんな時、趣味のコーヒーショップ巡りでよく顔を出していたカリオモンズコーヒーのオーナーから「ウチで働いてみないか」と誘っていただき、23歳からお世話になることにしました。

激動の約5年・・・!若者のキラキラした想いとアツい行動力を感じます!

近藤さん:入社してからコーヒーについて改めてしっかりと学び、抽出の技術を磨きました。カリオモンズコーヒーがコーヒー豆屋だったので入った当初から焙煎もしてみたいなぁと漠然とした想いはありました。ただ、コーヒー豆の産地のことやお店のことを知っていく上で気軽にスタートをできることではないないとも自覚はしていました。 そして入社から1年経った後くらいかな。エアロプレスというコーヒー抽出器具を使った大会に参加して偶然にも日本3位を受賞する事ができたんです。

日本で3位!? 謙遜なさっていますがすごい成績ですよ!

近藤さん:そう、だから日本3位になった夜にオーナーに直接焙煎させてくださいと直訴しました。そしたらもちろんOKということになって、僕のロースターとしてのキャリアがスタートしました。

ロースターに必要な素質やスキルとは何でしょうか。

近藤さん:「カッピング」ができるか、つまり、コーヒーの味がちゃんとわかるか、ということですね。素材(生豆)の味が100として、そのポテンシャルの限界値を目指すのが焙煎。どういう味になるのか、どういう表現になるのか、というところをカッピングで判別できるかどうかが重要だと思います。

いたずらっぽい表情をしながら、当時のことを懐かしそうに話す近藤さん。次回は諫早でコーヒー豆専門店をオープンするまでのお話をお伺いします。お楽しみに!

※取材・執筆/Komori Daigo

INFORMATION
nai

長崎県諫早市幸町13-17 ( Google MAP

営業時間:

10:00~17:00/金曜のみ12:00~18:00(木曜定休)

TEL: 0957-46-5504

URL:https://naicoffee.thebase.in/