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卓越した技能を持ったその道の第一人者を表彰する厚生労働省の「現代の名工」。造園工として活躍した故・宮本秀利さん(雲仙市)もその一人で、島原市の観光スポットである湧水庭園「四明荘」の復元といった功績が評価され、2018年に表彰されました。
そんな宮本さんが作庭したという日本庭園を楽しめるのが諫早市の民泊「旅庭 福の小径」。空き家だった期間は落ち葉が積もり少し荒れていましたが、リノベーションにより以前の美しい姿を取り戻した庭園は一年を通して四季折々の表情を楽しむことができます。
自然と調和した居心地の良い「旅庭 福の小径」の庭園。その魅力についてオーナーの松尾さんにお話を伺いました。
松尾オーナー:庭園では四季折々の花はもちろん、新緑や紅葉も楽しむことができます。植えられているのは梅、ヤマモモ、ドウダンツツジ、もみじ、山茶花、椿などさまざまな植物。外壁も庭園の雰囲気にマッチした色合いに仕上げていただきました。
松尾オーナー:この家は庭から設計されたというお話を聞き、しっかりお手入れをしなければと思い庭師さんに依頼しました。はじめて内見した時は美しいながらも荒れた印象でしたが、定期的に庭師さんに手を入れていただき、自分たちでもできる限り毎日手入れをすることで本来の美しさを取り戻してきたと感じています。
松尾オーナー:庭師の方から元は苔庭だったというお話を聞き、主人がすごく興味を持ちました。図書館で調べたり庭師さんに教えていただいたりしながら苔を敷き、庭が美しい緑の絨毯になる日を楽しみに取り組んでいます。
松尾オーナー:苔庭の良さは手間をかけたからこそ発現する美しさだと思うんです。丁寧に手入れしていることが一目で分かっていただける。今回の苔まきは3月に終えたので、これが上手く定着すれば初夏にはいい感じの緑になるのではないかと夫婦そろって楽しみにしていますね。
松尾オーナー:広い畑があったので「せっかくなら手を入れて楽しんでもらえるようにしたいね」と整備。果樹も元々あった梅、八朔、柿、金柑に加えて枇杷、いちじく、不知火も植えました。滞在中のお客様は自由に畑の作物を収穫可能。夜ご飯のお料理、朝取れ野菜のサラダなどで召し上がっていただけます。
松尾オーナー:福の小径では居心地の良い空間でリラックスした時間を過ごしていただきたいとの想いから、アメニティにもこだわりました。例えば、緑茶は全国茶品評会で日本一に輝いた「長崎そのぎ茶」を採用。県央の小さな山あいの町で生産される蒸し製玉緑茶の爽やかな香りとまろやかな味わいをお楽しみいただけます。
松尾オーナー:私たちが美味しいと思えるアメニティをお客様に提供したい。その想いでたどり着いたのが地元のコーヒー豆専門店naiさんでした。試飲させていただくと香りや味わいが複雑で、深煎りから浅煎りまでどれも本当に美味しくて。このコーヒーをぜひ宿泊される方にもぜひ楽しんでいただきたいと感じました。
松尾オーナー:旅行中の体験も魅力のひとつと考え、自分で挽いたコーヒー粉をフレンチプレスで抽出してお飲みいただくスタイルを取り入れています。コーヒー豆は香りや味わいをより楽しんでいただけるように丁度良いグラム数を小分けでご用意。さまざまな要望に応えてくださったnaiさんには大変感謝しています。
自然との調和が特徴的な数寄屋造りをリノベーションして誕生した「旅庭 福の小径」。ドリンク以外の各種アメニティも日本製のものを揃えています。
例えば、タオルは日本有数の産地である今治タオルと泉州タオルをご用意。ルームウェアも肌ざわりが優しいTHE THOUSAND KYOTOオリジナルの作務衣や大正2年創業の老舗・宮田織物の手づくり半纏と和の世界観を演出してくれます。
次回のテーマは「旅庭 福の小径」が見据える今後の展望。通りから少し入った数寄屋造りの家を選んだ理由や福の小径の魅力を深堀しつつ、松尾オーナーが目指す民泊での地域貢献についてインタビューしていきますよ。
取材・執筆/Komori Daigo
長崎県諫早市福田町
営業時間:
9時~18時