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暮しを楽しむの手帖
野中精肉店#2 食肉の苦難の時代を乗り越えて

諫早市幸町に店舗を構える野中精肉店。今回も昭和から半世紀以上続くお肉屋さんの歴史を紐解いていきます。

さまざな困難にぶつかり乗り越えていく中で改めて「安心・安全」を理念に掲げるに至った2000年代。一念発起し慣れ親しんだアーケードから現在の場所に移転した2010年代。それぞれのお話を代表の野中英二さんにお話を伺っていきます。

「あんたが売ってる肉なら大丈夫」。食肉業界全体が苦しい時期に学んだ「信用」の大切さ

野中精肉店では「口に入るものだからこそ、確かな品質のお肉を食べて欲しい」という理念を掲げていらっしゃいます。やはり食品を扱うからこそ安心・安全は大事ですか?

野中さん:もちろんです。昔から大事にしていたことではありますが2000年代の食肉業界が非常に苦境に立たされた時代に再認識しましたね。BSE問題や産地偽装事件、鳥インフルエンザなどが次から次に起きて肉の消費が落ち込みました。

確かに2000年代は肉に関する事件や問題が多く取り上げられていました。

野中さん:私も結婚したばっかりでしたし、援助金が出るわけでもない。本当に苦しい時期で、輸入肉を扱った方がいいのか・・・と考えたりもしました。でも、そんな時に変わらずウチの店でお肉を買い続けてくださるお客様がいらっしゃったんです。不思議に思って尋ねたところ、「あんたが売っとるんやからだいじょうぶやろ?」と。その時に、商売は信用が大事だ、安心・安全でお客様は裏切ってはいけない、と心に強く誓いましたね。

苦境を乗り越える中でいろいろな気付きを得たわけですね。そんな野中精肉店が5年前にアーケードから幸町へ店舗を移転しました。移転のきっかけは何だったのでしょうか。

野中さん:親父は一番人通りが多いアーケードで開業しました。私も営業するならここしかないと思っていたのですが、顧客名簿を整理した時にほとんどのお客様が車で来店されていることに気づいたんですね。駐車場があるところの方がいいんじゃないか、でも今さら移転する必要があるのか、と2年くらい悩みました。

かなり葛藤されたんですね。最終的に決断した決め手はなんだったのですか?

野中さん:父は他界していたので、母に相談したんです。絶対に反対されると思っていたんですが賛成してくれて。アーケードで肉屋をやることの大変さをわかっていたんでしょうね。今の場所に移転して一番喜んでくれたのは母だったと思います。

移転してからのお客様の反応はいかがですか

野中さん:駐車場が広くなったので、ご家族やお子様連れ、ご年配の方など幅広い年齢の方にご来店いただいています。学生さんが揚げ物を買ってテーブルで食べていることもありますね。

信頼を大切にしている野中さんの元にはお客様から様々なお肉の困ったの相談が寄せられます。実は取材中も電話でお肉の調理方法の相談があったのですが、お客様に寄り添い「困った」を解決していく姿に、信用の積み重ねを大切する野中さんの心情を垣間見ることができました。

次回は、野中精肉店の看板商品「佐賀牛」についてお話を伺っていきます。

※取材・執筆/komori daigo

INFORMATION
野中精肉店

長崎県諫早市幸町1-2 ( Google MAP

営業時間:

10:30〜19:00(定休日/毎週水曜、毎月第一月曜)

TEL: 0957-23-0808

URL:https://nonaka2929.thebase.in/

オンラインテイクアウト:https://nonaka2929.thebase.in/