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海辺の温泉地として知られる雲仙市小浜町。観光スポットの1つ「夕日の広場」を背に、湯けむりが立ち上る散歩道を東へと歩いていくと坂道の中腹にブルーの可愛らしい建物が佇んでいます。
「にじいろ」と名付けられたこのお店はオーダーメイドケーキと焼き菓子の専門店。こぢんまりとした店内のカウンターにはカヌレやパウンドケーキなど手作りの焼き菓子、その隣の小さめのショーケースにはプリンやロールケーキといった生菓子が並んでいます。
「虹を見た時って不思議と嬉しくなって『虹でてるよ』って気持ちを分かち合いたくなるじゃないですか。少し落ち込んでいてもウチのお菓子を食べたら元気になってもらいたい。そういう想いを込めて『にじいろ』と名付けました」
そう教えてくれたのは店主の川原香理さん。人懐っこい笑顔とやわらかな印象的な女性です。そんな川原さんがパティシエになったきっかけや2023年に「にじいろ」をオープンした経緯などを伺いました。
川原さん:私、子どもの頃から美味しいお菓子を食べるのが大好きで。それで雲仙市内にあるフランス菓子の「ビアリッツ」でアルバイトをすることにしたんです。当時はパティシエになろうとは考えていなかったので販売員として勤務していました。
川原さん:その頃、ちょうど製造スタッフが不足していたんですよ。募集してもなかなか応募がなく、厨房が大変そうだったので「私がもっと手伝えたらお店のためになるかな」と思ったのがきっかけ。それで「やってみたいです」とオーナーに掛け合ってみたんです。
川原さん:お菓子作りの知識も経験もなかったですね(笑)。最初は「お前は販売員が向いてるから」って断られたんですけど、しばらく経って「本気で頑張れるか?見とるけんわかるやろうけどキツかぞ」と確認があったんです。「頑張ります!」って答えて製造に入るようになりました。
川原さん:材料ひとつひとつが生き物なんだということ。例えば卵。季節によって鶏の状態が違うから卵の状態も違ってくるんです。ほかにも、天気の影響で果物の手に入りやすさが変わってくることやこの十数年で格段に進歩した流通・インターネットなど、たくさんのことを知ることができたと思います。
川原さん:いつか喫茶店してみたいなぁ・・・というふわっとした夢は若い頃からあったんです。でも、結婚して25歳で子供が生まれて。育児と自分の店、どちらも未知の世界だったので不器用な私に両立はできないと思い、自分の店をやるというのは封印しました。
川原さん:40歳を迎えたことが大きな区切りだったんです。それまでも主人や両親、義両親のサポートがあって仕事を続けてこられたのですが、ふと自分の店を持ちたいと話してみたら家族が「やってみればいいんじゃないの」って言ってくれて。それじゃあ、と物件探し始めたら「あっ、本気だったんだ」って感じでした(笑)。
川原さん:目指しているのは「お客様に寄り添うお菓子」。家で集まりがあったり、1人でちょっと一息つきたかったり・・・。地域の人たちが暮らすいろんな場面にウチの商品があることでちょっぴり気持ちよく過ごせる。そんなお菓子を作っていけたらと思っています。
川原さん:1人でやっているのも、オーダーメイドケーキと焼き菓子の店にしたのも、お客様に寄り添いたいから。ウチはシンプルで素朴な焼き菓子・生菓子を販売しています。1人でやっているので種類は多くありませんが、コンビニで買い物する感覚でご来店いただければ嬉しいです。
地元の洋菓子店にパティシエとして17年間勤務する中で、職業柄、プライベートでも様々なケーキに関する相談に乗ってきたという川原さん。子どもに素敵なケーキを贈りたいというママの立場も、パティシエとして働く洋菓子店の立場もわかるからこそ、ジレンマを抱えることも多かったと話します。
そんな川原さんがお客様に寄り添うためにオープンした小浜の小さなお菓子屋さん。1度に作れる数も種類も限りがありますが、その分、ご要望はしっかりとヒアリング。オーダーメイドケーキはもちろん、カットケーキなどの洋菓子やカヌレ等の焼き菓子の予約販売も行っています。
笑顔の川原さんから商品を受け取るお客様を見ていると、心に虹がかかったような晴れやかな表情が印象的でした。
取材・執筆/Komori Daigo
長崎県雲仙市小浜町北本町4-3 ( Google MAP )
営業時間:
10:00~18:00(完売時は早く閉店/月•木曜定休)
TEL: 090-5027-5318