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島原半島の玄関口である諫早駅から車で約50分。雄大な有明海を左手に臨みながら国道251号を走っていると『パオクレープミルク』と書かれた大きな看板が目に飛び込んできます。駐車場に入ると白壁にレンガのかわいいお店がお出迎え。店内では九州で大人気の手包みクレープが販売されています。
ここは株式会社MILK&レシェンテが運営する「パオクレープミルク長崎店」。工場設備も兼ね備えており、店舗で販売する商品はもちろん雲仙市内・近郊のスーパーからの注文されたパオクレープも生産しています。
長崎県内はもちろん、福岡や佐賀などでも手土産やおやつに大人気の手包みクレープ。ぜひ製造ラインを見学させてほしいと代表の綱田晴樹さんにお願いしてみると「いいですよ」とご快諾。衛生キャップをかぶり消毒をして工場に入ると、人と機械が一体になった“食のものづくり”の光景が広がっていました。
綱田さん:製造ラインは4工程。まず、企業秘密の専用機械でクレープ生地を焼き、コンベアで流しながら急速冷蔵します。しっかり冷えた生地に商品ごとに異なるクリームと具材を乗せて手包み。最後は包装機で包装したものを納品先ごとに仕分けて完了です。
綱田さん:注文が多くなるとこれより速くなりますよ。ちなみに、どの商品を何個作るかというのはデータで管理してスタッフ全員で共有。1日の作業がスムーズにいくように、焼き担当のスタッフは1時間ほど早く出社してクレープ生地を事前に焼いているんですよ。
綱田さん:機械よりも手作業の方が早いというのもありますが、やっぱり手包みは創業からのこだわり。商品毎に材料・分量の異なるクリームも大型ミキサーで混ぜ合わせて効率的に準備しています。スタッフは1日当たり6~7人。通常で4~5000個、繁忙期になると6~7000個を1日で製造しています。
綱田さん:やっぱりクレープ生地の粉ですね。ウチで使っているのは独自の配合で作ってもらってるオリジナルのミックス粉。分量さえ間違わなければ誰が作っても同じ味になるというのは大量生産するうえで凄く大切なことだと考えています。
綱田さん:なので、基本的に仕入れているのは福岡の工場と同じもの。ただ、クレープ生地やクリームに使う牛乳や卵、冬の時期に数量限定で製造するイチゴクレープに入れる苺は地元のものを使っています。
綱田さん:お客様の口に入るものなので、衛生面・安全面についてはスタッフ全員で最新の注意を払っています。それとライン生産の中でこだわっている“手包み”の工程。きゅっと締めるように包んでしまうと食感が変わってしまうので、これからも丁寧に作業するよう心がけていきたいですね。
元々はご両親が経営する喫茶店の商品として1つ1つ全て手作業で完成させていた手包みクレープ。綱田さんのご令弟が福岡進出を機に作り上げたクレープ生地を自動で焼く機械は、15年という時の流れでどんどん進化していきました。
「企業秘密なので詳しいことは言えませんが、最初の頃に使っていたものは負荷がとても大きく部品がよく折れていたそうです。効率化と生地のクオリティ。この両方をクリアできるよう改善を続けて今の機械が誕生しました」
安全でおいしいクレープをモットーに毎日丁寧に製造している「パオクレープミルク長崎店」。店頭に並んだばかりの商品を1つ購入してほおばると、食べ馴染みのある味わいの中に長崎店の工場で働く皆さんの愛情が入っているように感じました。
取材・執筆/Komori Daigo
長崎県雲仙市国見町神代己315-1 ( Google MAP )
営業時間:
9:00~19:00
TEL: 095-778-1315