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暮しを楽しむの手帖
やらやらSAPIN#4 真新しいモダンな店舗はコロナと土砂災害からの復興の灯

2021年8月13日。数日間ふり続いた記録的な大雨で雲仙温泉街の2ヶ所で土砂崩れが発生しました。その内、八万地獄での土砂崩れによって被害を受けた建物の1つが「もみの木やらやら」。そう、やらやらサパンの前身だった土産物屋です。

「土砂崩れは知り合いから連絡が来て知りました。まさか自分が働いている店に土砂が流れ込むなんて本当にびっくりして。スタッフが帰宅していたことは不幸中の幸いでしたが、商品や設備はほとんどだめになってしまいました」と店長の江口真佐代さんは振り返ります。

2020年から流行した新型コロナウイルス、そして土砂災害・・・。そうした苦境を乗り越えて2023年春にリニューアルオープンした「やらやらサパン」。観光地・雲仙の復興にかける思いを江口店長に伺いました。

誰もいない温泉街、流れ込んだ土砂・・・。度重なる状況を乗り越えたスタッフの絆

2020年に新型コロナウイルスの世界的な大流行が起き、観光業界にも大きな影響を与えました。当時の雲仙の様子はどんな感じだったのでしょうか。

江口さん:コロナ前は自家用車も観光バスも行きかっていて、温泉街を散策する人もかなり多かった。でもコロナで自粛ムードになってからはどこもガラガラ。道路を通るのは温泉街で働いている人の車か路線バスくらいで、すごく寂しい気持ちになったのを覚えていますね。

そんな中、翌2021年に大雨による土砂崩れが発生します。

江口さん:土砂が流れ込んだ店を見た時は本当にショックでした。商品は全滅。冷蔵庫などの家電も使い物にならなくなっていました。片付けも大変でスタッフ総出でやっていましたね。

くじけてしまいそうな状況の中、店舗を大幅に改装することを決定。2023年春からリニューアルした「やらやらサパン」で営業をスタートさせました。

江口さん:現場のスタッフはもちろん、社長や上司も早く店を開けたいという想いが強かったですね。オープンした後は「もみの木やらやら」からのリピーターさんも来店してくださって、大変だったね、元気で良かった、と声をかけていただいたのは本当に嬉しかった。

2024年を迎え、オープンから1年近くが経ちました。雲仙の観光業界に携わる中で、コロナや土砂災害からの復興をどのように感じていらっしゃいますか?

江口さん:明るい兆しを感じています。最近はだいぶ観光客の方も戻ってきましたし、修学旅行やツアーのバスも以前のように見かけるようになりました。まだ立ち入りできないエリアもありますが、雲仙温泉街全体で復興に向けて盛り上がっているように思います。

それでは最後に雲仙温泉の魅力をご紹介ください。

江口さん:落ち着いてゆったりとした時間が流れていること。雲仙には温泉館や共同浴場、ホテルの日帰り温泉もたくさんあります。日々、忙しい現代だからこそ、都会の喧騒を離れて自然豊かな高原の名湯で心と体を癒したいという方は多いのではないでしょうか。

350年の歴史を誇る古湯で命の洗濯・・・。情緒があっていいですね。

江口さん:自然や歴史文化を楽しめるのも雲仙温泉の良いところです。四季を通じてさまざまな顔を見せてくれる仁田峠、ジオの不思議を体感できる雲仙地獄、パワースポットとしても人気のある温泉神社・・・。ここでは語りつくせないほど魅力的なスポットがたくさんありますので、ぜひ、雲仙温泉に遊びに来ていただければ嬉しいです。

新型コロナウイルスの影響で観光業界全体が打撃を受けていたさなか、追い打ちをかけるように起きた土砂崩れ被害。一時休業に追い込まれながらも新築リニューアルで生まれ変わった「やらやらサパン」の真新しい店舗は、コロナと自然災害からの復興の灯のよう。

「少しずつ少しずつ前に向かって変わっている感じがしています」とほほ笑む江口店長。その言葉から雲仙の自然と共生する人々のゆるぎない信念と他者を迎え入れる器の広さを感じずにはいられませんでした。

取材・執筆/Komori Daigo

INFORMATION
やらやらSAPIN(サパン)

長崎県雲仙市小浜町雲仙319-3 ( Google MAP

営業時間:

9:00-18:00(水曜定休)

TEL: 0957-53-5837

URL:http://mominoki-g.com/