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昭和42年から半世紀以上にわたり八代駅前で営業している「珈琲店ミック」。老舗の喫茶店ながらフードメニューも豊富で、地元の常連客で賑わうお昼時には自慢の料理が次々に注文されています。
「人気のメニューですか?あっさり和風でお子様にも人気な『タラコスパゲッティ』、和牛と野菜をじっくり煮込んだ『ビーフカレー』。季節限定(11~3月)の『にしん蕎麦』、家庭の味が楽しめる『日替わりごはんセット』なんかはよく注文が入りますね」と教えてくれたのは笠井麻衣さん。
「でも、やっぱり看板メニューは『カツカレー』。ミックに来たらぜひ食べていただきたい一皿ですね」。その笠井さんの一言で今回の食レポは決定!和牛とスパイス、香味野菜をじっくり煮込んだビーフカレーに揚げたてロースカツがドーンと乗ったミックのカツカレー、いただいていきましょう。
笠井さん:カレーの仕込みはマスターの担当。味を濁らせないために玉ねぎなどの香味野菜は包丁でみじん切りに。黒毛和牛も焼き付けたあとに赤ワインと香味野菜でじっくりと煮込む、ローテクな方法で下ごしらえをしていきます。
笠井さん:1回で100食くらいできる大鍋で作っています。だから調理は大体1週間に1度くらい。毎回、食材はキロ単位で用意していて、和牛なんかは塊を切って使っていますね。
笠井さん:下ごしらえ後、ガスのとろ火で1時間、大鍋で煮込みます。カレーの粗熱をとったら冷蔵庫へ。少し寝かせることでおいしさを引き出します。注文が入ったらその分だけカレーを取り出して再加熱。盛り付けたライスとカツの上にかけてお客様に提供します。
笠井さん:カツは地元の中田精肉店から仕入れています。お肉の質はもちろん、衣にもこだわってらっしゃるので重くなく、ウチのカレーとすごく相性がいい。朝からカツカレーを注文するお客様がいるくらいの人気メニューなんですよ。
笠井さん:個性的なスパイスカレーやアジアンカレーなどと比べると普通の欧風カレーですが、多くの人に食べ馴染みのある味わいだからこそ、長く愛されているのだと感じています。
笠井さん:ありがとうございます。料理研究家の土井善晴さんの言葉で「尻上がりの味」というのがあります。初めは少し物足りないけれど、食べ進むうちに美味しいと感じる味のこと。これからも毎日食べても飽きないメニューメニューとともに、ご自宅のようにお客様がほっと一息つける場所であり続けたいと思います。
マスターが腕によりをかけて調理し、お客様の舌を楽しませているミック自慢のカレー。実は盛り付けられている器にも笠井さんのこだわりがあるのをご存知でしょうか。
「熊本の陶芸家・米原暁雄さん(かじや窯)が手がけたもの。ベーシックな日本の民陶らしく単色で寡黙な佇まい。日常生活でつい使いたくなる米原さんの器の持ち味は『尻上がり』だと感じています」
毎日食べても飽きないマスターのカレーを、毎日使いたくなるような器に乗せて。ミックでカレーをほおばると、日々の生活に向かう気持ちまで整えてくれるようでした。
取材・執筆/Komori Daigo
熊本県八代市萩原町1丁目2 ( Google MAP )
営業時間:
9:00〜18:00(水曜定休)
TEL: 0965-32-2261