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暮しを楽しむの手帖
さわだ亭#4 コロナ禍を経験したからこそ感じる「居酒屋っていいな」

熊本県八代市にある居酒屋「八代台所ROBATAさわだ亭」。市街中心部の繁華街の一角で2013年から営業を続けるこの店には、20年以上のキャリアを持つ代表・澤田純一さんの創作料理で舌鼓を打つお客様であふれています。

「日曜は店休日なのですが、毎週日曜が私の夕食当番なのでほぼ毎日料理を作っていますね」と笑う澤田さん。硬派なお顔が一転して柔和なパパの表情に変わるのが印象的です。

そんな澤田さんが開業した「さわだ亭」も今年(2023年)で10周年の節目の年。今回はオープンから今日までの印象深いエピソードを澤田さんに伺いながら、これからの展望をお聞きしていきたいと思います。

初めての料理出張サービスも経験。

開業されて10年、印象深い出来事はありますか?

澤田さん:やっぱりコロナですよね。未知のウイルスが世界中でまん延して生活スタイルがガラッと変わってしまうなんて思ってもみなかった。外食自粛ムードの中テイクアウトをやったりしたのですが、元々テイクアウトやってる所には敵わないなと感じて最終的には無駄なことをせずに休業していました。

1~2年は伏して耐えていらっしゃった。

澤田さん:幸い、ウチはそこまで店舗が大きくないので席数が多い飲食店に比べれば小さい影響で済んだのかなと思います。自分の管理がしやすいようにとさわだ亭はあえて狭い店にしましたが、本当にこのキャパで良かったというのが一番ですね。

そんな苦境の中でも人の温かさを感じたエピソードがあると聞きました。

澤田さん:ある常連さんから「コロナで店を閉めてるなら家に来て『出張さわだ亭』してくれない?」と声をかけていただいたんです。出張料理サービスなんて経験したことはなかったのですが、応援してくださる気持ちが嬉しかったですし、何よりおもしろそうだなと思ったので依頼を受けました。

画像はInstagramより
澤田さんの創作料理が自宅で食べられる!?なんて贅沢なケータリングだ・・・!

澤田さん:当然なんですけど、ご自宅のキッチンをお借りして調理するは店で作るのと全く勝手が違うんですよ。だから、ある程度は店で仕込んでから伺って。普段は炭火焼するメニューもフライパンで焼きました。料理を出し終わったら一緒に食事して・・・。コロナで大変でしたけど、こういう経験ができたことは良かったかなと思っています。

今年(2023年)5月にはコロナが5類感染症に移行し、外食産業にも活気が戻ってきました。

澤田さん:気兼ねせずに外食できるようになってお客様は増えました。恋バナだったり、会社の愚痴だったり、そういう他愛のないおしゃべりをしながらお酒を飲んでる姿を見るのが楽しくて。コロナ前はそれが当たり前だったし長く制限されていたからこそ、改めて居酒屋っていいなと感じましたね。

最後に今後の展望をお聞かせください。

澤田さん:まずはラーメンを極めたいな、と。まだまだ改良の余地はたくさんあるので試行錯誤しながら味を追求していきたいです。もう1つ、これは展望というか夢なのですが、妻と2人で小さな料理屋をやること。だんだん年を取って体力が落ちたら今のようなアラカルトを提供するのは厳しいので、コースだけの完全予約制の店をやれたら嬉しいですね。

「居酒屋っていろんなお客さんが集うじゃないですか。あっちのテーブル、こっちのカウンター、それぞれにストーリーがあるんですよ。それを聞くのが本当におもしろい。こういう風景が日常に戻ってきて胸が躍りました」

不惑を越えてますます料理への情熱を燃やす澤田さん。自分がおいしいと思うメニューをお客様へ。コロナを乗り越えた凄腕の料理人は、生まれ育った八代の地で今日も厨房に立ち続けます。

取材・執筆/Komori Daigo

INFORMATION
八代台所ROBATAさわだ亭

熊本県八代市本町1-7-1 サンシャワービル1F ( Google MAP

営業時間:

18:00~24:00(日曜定休)

TEL: 0965-35-7768