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世界有数の活火山があり、ユネスコ世界ジオパークとして認定されている島原半島。雲仙岳がもたらす肥沃な大地で栽培された種取りの伝統野菜、山間部の自然と気候を生かした酪農、そして有明海をはじめとする豊かな漁場と、日本有数の酪農水産物の宝庫と呼ばれています。
「東園ではお客様に雲仙の四季を五感で愉しんでいただけるよう、新鮮な魚介類や旬の野菜を使用して繊細に仕上げた懐石料理を提供しています。和風だけでなく斬新な洋風の味を織り込んだ献立は様々な年代層のお客様にお楽しみいただいているんですよ」と話すのは東園の代表・石田莉恵さん。
今年(2024年)3月、“美食都市アワード”を受賞した雲仙市。それにより明治時代から外国人の避暑観光で知られる雲仙温泉の食文化が再注目されています。2019年にはミシュランガイドにも掲載された東園。今回は「美食へのこだわり」について石田代表にお話を伺っていきたいと思います。
石田さん:ひとつはストーリー性を持たせること。例えば、夕食の懐石料理ではホテルの前に広がる“おしどりの池”をイメージした前菜に始まり、名物の温泉蒸し、雲仙あか牛、そして地元で水揚げされた季節の鮮魚を使った握り寿司など、食事をするだけで島原半島を旅していただけるような工夫をしています。
石田さん:そうですね。料理長自ら生産者さんを訪れて、旬の良い食材を仕入れています。美食都市アワードでも話題になった雲仙産の伝統野菜は自家製の味噌ドレッシングをディップして味わうスティックに。雲仙岳の麓で飼育された雲仙あか牛は赤身とサシのバランスが良く、その旨味をしっかりと味わっていただける料理を提供しています。
石田さん:旅の朝を彩るごはんということで、朝食は体にやさしい和食。土鍋で炊いた九州産コシヒカリ、自慢のあご出汁で仕上げた味噌汁、香ばしさが口の中に広がる旬の焼き魚、季節の野菜を使ったテリーヌなどをお召し上がりいただけます。
石田さん:「料理はまず器から入る」というのが料理長のやり方。東園では選び抜いた有田焼の器を使用しているのですが、そこに何を盛ったら何を盛ったら映えるかを考え、素材や調理法を選んでいます。舌の上はもちろん、目でも島原の幸を楽しんでいただく。お客様の「美味しかったよ」という一言を胸に日々、精進しています。
石田さん:2021年にリニューアルした「on the lake」の大きな魅力のひとつが、窓辺に広がる素晴らしい眺望。茜色に染まる夕焼け、鳥のせせらぎ、水辺のさざめきと五感すべてで雲仙の自然を感じながら、東園自慢の懐石料理を心ゆくまで楽しんでいただけます。
石田さん:日によっては旬の魚介類を味わえるお寿司をはじめ、一品一品ワゴンでテーブルへと運びます。また、美味しい料理には美味しいお酒が欲しいもの。ドリンクカウンターには定番のアルコールから九州ならではのお酒をご用意していますので、ぜひお楽しみいただければと思います。
石田さん:雲仙温泉は標高約700mに位置しており、季節や天気によっては山々の間から湧き上がるような雲海を見ることができます。そんな幻想的で神秘的な雲の中の世界をイメージして手掛けたのが「in the cloud」。3世代でのご宿泊や社員旅行など10名程度のグループでもゆったりとお食事ができるレストランとなっています。
石田さん:ありがとうございます。実は「in the cloud」だけでしか提供していない料理もあるんですよ。それが雲仙あか牛のすき焼き。最初は鍋の上に雲をイメージした綿あめがこんもりと乗っているのですが、火を通していくと少しずつすき焼きが見えてくるという雲の中のレストランらしいストーリーでお客様からは好評をいただいているんですよ。
実は、東園の美食へのこだわりは食事だけにとどまりません。1階の売店で販売されている土産物にも東園オリジナルの商品がラインアップされており、多くのお客様が購入されています。
「お土産で一番人気なのは芽生姜の酢漬け。これは夕食のお寿司と一緒に出しているもので、寿司屋で修業経験のある料理長の技が詰まった商品となっています。また、野菜スティックをディップするオリジナル配合の味噌ドレッシングも販売。お食事で食べて美味しかったということでご購入される方が多いですね」
そのほか、売店には長崎ならではの地酒もズラリ。諫早の株式会社杵の川が製造している「東園オリジナル日本酒」も取り扱っています。お土産にしやすい島原のクラフトビールなどもありますので、ご宿泊の際はぜひ売店にもお寄りくださいね。
取材・執筆/Komori Daigo
長崎県雲仙市小浜町雲仙181 ( Google MAP )
営業時間:
チェックイン15:00/チェックアウト10:00
TEL: 0957-73-2588