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暮しを楽しむの手帖
肥後の明水亭#2 自然素材をふんだんに使った出汁、打ちたて・切りたて・茹でたての麺…。人気急上昇の手打ちうどん店が追求する本物の美味しさとは

八代市を南北に走る県道42号線と東西に延びる臨港線(県道336号)と交わる田中西町交差点。そのすぐ近くに店を構えているのが、今、八代で話題沸騰中の手打ちうどん店「肥後の明水亭」です。

屋号が描かれた暖簾をくぐって扉を開けるとスタッフの方の「いらっしゃいませ!」という元気な挨拶と笑顔がお出迎え。木材をふんだんに使ったナチュラルな店内は居心地がよく、自然素材をふんだんに使った出汁と打ちたて・切りたて・茹でたてにこだわったうどんに期待が高まります。

そんな肥後の明水亭を切り盛りしているのが蓑田達典さん。35歳という若さながら香川の名店・明水亭で修業を積んだ店主が作る一杯を求めて、行列ができる日もあるほど。そんな肥後の明水亭の美味しさの秘密についてお話を伺っていきたいと思います。

“本当に美味しいもの”を知ったからこそ、食材にこだわり、丁寧な調理にこだわる

屋号にご自身が修業された「明水亭」さんの名前を使っていらっしゃいます。

蓑田さん:明水亭で修業を終えて熊本に戻ってからオープンに向けて料理の研鑽は重ねていたんですけど、店名を全く考えてなかったんですよ。それで、師匠にアドバイスをもらおうと連絡したところ、「じゃあ、ウチの名前使っていいよ」と言ってくださって。屋号に“明水亭”と入るわけですから、信頼してくださっているという嬉しさとともに、身が引き締まる思いでした。

暖簾分けのようなもの。それだけ蓑田さんにかける期待も大きかったわけですね。

蓑田さん:そうだと嬉しいですね。師匠の看板を汚さないよう、絶対に手は抜かないぞと改めて心に誓いました。おかげさまでオープンから半年でたくさんのお客様に足を運んでいただいて、最近の仕込みスタートは朝4時半。小麦粉からうどんの種を練り上げ、熟成させている間に出汁を作ったり、きつね用の油揚げを炊いたり…。その日の分を朝から丁寧に準備しています。

※公式サイトより
食材は国産品を使用。添加物をほとんど使わないというところに蓑田さんのこだわりを感じます。

蓑田さん:師匠のところで“本当に美味しいもの”を知ることができたのは本当に大きな経験値になりました。加えて叩き込まれたのが料理への姿勢。昔、天ぷら用のバッター液をミスした時に「もったいないから」と継ぎ足して使おうとしたんです。その時に言われたのが「料理はケチっちゃだめだ」という言葉。お金も時間もかけて丁寧に作ることで、本当の美味しさを表現できることを教えてもらいましたね。

作業効率や時間短縮を求めるのではなく、本当の美味しさをお客様に提供したい、と。

蓑田さん:その通りです。特にうどん生地は繊細なので、季節の気温・湿度の変化によって加水率、塩分濃度、熟成時間などを調整。お客様に最高の一杯を提供することを心がけています。ただ、手打ちうどんは生き物。同じ条件で打ったにも関わらす、極稀に普段より飛びぬけて美味しい時があるんですよ。その理由を突き詰めるのが目下の目標。その味をウチの平均値にできたら最高だなと思っています。

※公式サイトより

地下水をたっぷり使った無添加スープ、茹でたてにこだわるうどん麺…。トッピングも最高のものを揃えています

ちなみに、蓑田さんが一番こだわっている食材はなんでしょうか。

蓑田さん:やっぱり“水”ですね。肥後の明水亭では井戸ポンプで汲み上げた地下水を利用しているんですよ。店の場所も地下水を採取できるというのが大きな決め手。八代の地下水はミネラルが豊富なので、浄水器でろ過してから使っています。特に出汁に関しては水道水と比べると味わいが全然違う。そこまでやって理想のうどんのスタートラインという感じです。

毎日仕込んでいる手打ちの麺も肥後の明水亭の大きな魅力。

蓑田さん:最高にウマい手打ちうどんを味わっていただくためにこだわっているのが「打ちたて」「切りたて」「茹でたて」。だから毎朝、早朝から生地作りをしてしっかりと熟成させていますし、注文をうけてから茹で始めるので提供までに14分ほどかかるんですよ。生地に使っているのは北海道産の小麦粉。いろんな小麦粉やうどん粉を試した中で、香りがよくモチモチして美味しいのが特徴ですね。

※Instagramより
美味しいうどんを提供するために妥協はしない、と。

蓑田さん:はい。例えば、ワカメは鳴門産の養殖もの。激しい潮流の中で育つため、ミネラルを豊富に含み歯ごたえがシャキシャキとしているんです。天ぷら用のエビは大ぶりのもの、卵は水俣産を仕入れていますし、野菜はできるだけ地元で採れたものを採用。食品添加物を一切使っていない師匠直伝の自家製キムチも人気が高いんですよ。

個人的には分厚い油揚げが気になります。

蓑田さん:油揚げもオープン前の準備期間にかなり調べて探し回ったんですよ。なかなか理想的な油揚げが見つからず諦めかけた時に出会ったのが、球磨地方の山深い集落・五木村にある「五木とうふ店」の“五木うすあげ”。市販のものと比べると厚さは倍以上あり、炊き上げるとやわらかくジュワ~っと甘い汁が染み出て…。うちのスープと相性抜群なので、ぜひ味わっていただきたいですね。

※公式サイトより

国産の食材を使用し、添加物をほとんど使わないことで美味しさはもちろん、安心・安全な一杯を届けている肥後の明水亭。来店した人々の心に寄り添う蓑田さんの心意気は店内のレイアウトにも表れています。

「元々、ダイニングバーで働いていたこともあって、厨房から客席を見れるようにしてもらったんですよ。やっぱり、お越しくださった方にはお顔を見て挨拶したいですから。逆に、お客様も厨房にいる店主が見えれば“こういう人が作ってるのか”と安心して召し上がっていただける。それもひとつのホスピタリティではないかなと思っています」

取材・執筆/Komori Daigo

INFORMATION
肥後の明水亭

熊本県八代市田中西町10-13-1 ( Google MAP

営業時間:

11:00~15:00(定休日:木曜日)

URL:https://www.higo-meisuitei.com/