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高度経済成長期真っ只中の1964年、東京オリンピックの開催にともなう夜の店の深夜営業の規制をきっかけに生まれたスナック。カウンター越しに話をしながらお酒を楽しむスタイルが男性サラリーマンを中心に人気を博し、全国各地で爆発的に増え昭和のスナックブームを巻き起こしました。
それから半世紀がたった現在。大人の男が集う憩いの場だったスナックは、若者が気取らずに交流できる社交場として令和のブームを迎えています。そんなスナックで今も昔も変わらぬものといえば「カラオケ」。スナックのアットホームな雰囲気を演出しているマストアイテムです。
「ウチはお客さんもスタッフも歌う人が多いから、カラオケ機材とスピーカーは比較的新しいものを入れているんですよ」と笑うスナックJUNの智子ママ。長くこの業界に携わってきた智子ママに、スナックにおけるカラオケの役割についてお聞きしましたよ。
智子ママ:その場にいる人が繋がるコミュニケーションツール。カラオケって性別や年齢関係なく全然知らない人同士でも盛り上がれるんですよね。お店の中に一体感が生まれて雰囲気を良くしてくれるというか。
智子ママ:同じ会社で働く年齢の離れた上司と部下の方が来店された時のこと。最初は仕事の距離感だったおふたりが、一曲一緒に歌ったことで凄く近しい間柄のようになったんです。歌を通じて仲が深まる。不思議な話ですけど、経験的にそういうことはよくあるなと感じています。
智子ママ:ウチはゆる~くやっているので基本的に自由。ひとりでどんどん予約してマイクを独占しない、声を張り上げてうるさく歌わないといった最低限のマナーを守っていただきながら、お客さんには好きなように曲を入れて楽しんでいただいていますよ。
智子ママ:今の若い子たちって結構、昭和歌謡が好きなんですよ。ウチのスタッフも中島みゆき、中森明菜、山口百恵なんかを歌いますし、男の子だと徳永英明や長渕剛。逆にミドル~シニアの方はお子さん・お孫さんから流行りの曲を教えてもらっているみたい。だから、最新の曲でも懐メロでも一度は聞いたことはあるような歌は盛り上がりますね。
智子ママ:もちろん、無理に歌う必要はありません。常連さんの中にも歌わないけど手拍子や歌い終わった後の拍手で盛り上げてくれる方も多いですし。ウチのスタッフはみんなカラオケ大好きなので、リクエストをしていただければ、代わりにノリノリで歌ってくれますよ(笑)。
智子ママ:ただ、カラオケは他のお客さんとの会話が生まれるきっかけにもなるのも事実。もし、いろんな人とコミュニケーションをとってみたいという理由で来店なさる方は、私も他のお客様も楽しみにしていますので、ぜひ歌声を聞かせていただけたら嬉しいです。
はじめましての人でも一曲歌えばその場で打ち解けることもあるのがスナックという空間。普段は大人しいという人や喋るのが苦手という人でも歌うことによってコミュニケーションが図れるのが魅力の一つではないか、と智子ママは微笑みます。
「意外に『私、普段カラオケで歌わないんですよ』っていう人がめちゃくちゃ上手だったりするんですよ。そんだけ歌うの嫌だって言うからすごく音痴なのかなと思っていたら聞き惚れるくらいの美声(笑)。でも、そういうお客さんでも『ここでなら歌ってもいいかな』と思ってもらえるくらい心を開いていただいていると考えたらありがたいですよね」
職場や家庭など普段の人間関係とは違う、ほどよい距離感でほっと一息つくことができるスナックJUN。一期一会の歌声が響き合うアットホームな店内には、ありのままの自分で楽しむ老若男女の笑顔の花が咲いているようでした。
取材・執筆/Komori Daigo
長崎県大村市東本町379-7 ひまわりビル1F ( Google MAP )
営業時間:
20:00~25:00(不定休)
TEL: 07084349380