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長崎県の中央部に位置し、西に大村湾、東に多良岳を望む大村市。大村藩の城下町として歴史が残る一方で、長崎の玄関口として新興住宅地や大型マンションの開発が行われるなど、アクセスのよいベッドタウンとしての一面を持つ魅力的な街です。
2021年6月。そんな大村市の郊外に1軒の美容室「outhi(オウチ)」が誕生しました。「自分のことはあまり発信していないんです」とほほ笑むのはオーナー・池田裕貴さん。物腰柔らかな雰囲気が印象的な池田さんにご自身の経歴をお聞きすると、継続することの大切さを深く心に感じることができました。
池田さん:元々「美容師」になりたいと思っていたわけではないんです。私は16歳で高校を中退しました。そんな時に求人情報を見ていたらたまたま美容室で募集があって。「働かなきゃいけないな」と思っていたので、応募したら採用していただいたのがこの業界に入ったきっかけですね。
池田さん:そうですね。私が今年(2023年)で41歳になるので、当時は25年前。昼間は美容室のスタッフとして働いて、夜は自分で学費を払いながら通信制の専門学校で勉強する毎日。覚えることが本当に多くて大変でした。
池田さん:私は学生時代に逃げることが多かったんです。高校を中退したのもそう。だからこそ、社会に出るからには「簡単には逃げないぞ」「周りに流されないぞ」という気持ちは強く持っていたと思います。
池田さん:もともとは30代前半に独立することを目標にしていたのですが、ちょうど結婚や出産など人生のターニングポイントが重なりました。自分だけの人生ならどんどんチャレンジすればいいけれど、守るものがふえると保守的になるじゃないですか。それでも、40歳目前にして「自分の思い描くような美容室を作ってみたいな」と思い独立を決意しました。
池田さん:最初のお客様として私の母と妻の母のヘアカットをしたことですね。妻も元々美容師だったので、それぞれ自分の母親をカットしたいと思っていたんです。これだけはどうしてもやりたかった。
池田さん:照れくさいので、母がどう感じたかは聞けてないんです(笑)。ただ、高校を中退して右も左もわからない美容師の世界に飛び込んで、本当に迷惑をかけた。だから少しは恩返しができたかな、と思っています。
高校を中退した10代の青年がたまたま見つけた求人に導かれ、美容師の門をたたき努力を積み重ねて独立するという、まるで映画のストーリーのような池田さんの半生。開業当時のことを話してくださる優しい表情が、池田さんの人柄を物語っているようでした。
次回は、池田さんの美容室「outhi」についてインタビュー。プライベートサロンタイプにした理由やコンセプト等についてお話を伺っていますので、ぜひご覧ください。
※取材・執筆/Komori Daigo
長崎県大村市久原2-1049-5(長崎医療センター正門目の前)
営業時間:
9:00~19:00 定休日/毎週金曜日、第3日曜日
TEL: 0957-53-8711