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暮しを楽しむの手帖
居酒屋仁#3 長崎の海が育んだ鮮魚の刺身とやわらかジューシィな焼鳥。小浜の人も太鼓判を押す看板メニューをいただきます♪

日本一豊富な湯量と海辺のサンセットが有名な観光地・小浜温泉の裏路地にある隠れた名店「居酒屋仁」。長崎で水揚げされた旬の鮮魚と新鮮な鶏肉を使った串物がお手頃な値段で味わえるということで、のれんをくぐるとカジュアルで清潔感のある空間が広がります。

案内されたカウンター席に座り、あたりを見まわすと個室で思い思いに楽しいひと時を過ごす地元の人々の声。目の前の生簀で泳ぐアジの活きの良さに「これは期待できそうだぞ…」とはやる気持ちを抑えながら、「刺身のちょこっと盛り」「串の盛り合わせ」を注文します。

オーダーが入るとにわかに活気づく厨房。これこれ、こういう地元の居酒屋感が最高だよな、とひとりごちながら雰囲気を楽しむこと数分、「お待たせしました〜」とオーナーの田中智さん自ら料理を運んでくださいます。美味しいものを前にしたワクワク感はいつなってもいいものだ…。それでは、自慢の料理をいただきます!

新鮮でコリコリとした弾力のある刺身を甘醤油で味わうのが小浜流。輪切りレモンがたっぷり入ったサワーとの相性も抜群です

まずは「刺身のちょこっと盛り」。もう見た目から美味しそうですもんね。田中さん、今日の盛り合わせはどんな魚をチョイスされているのでしょうか?

田中さん:メインは生け簀から上げたばかりのイサキ。普通の刺身と炙り刺身の2種類で食べ比べができるようにしてみました。ヒラスも生け簀組ですね。あとはマグロと地ダコの計5種。小浜では新鮮で弾力のある刺身が好まれるので、ぜひ味わってみてください。

では早速、イサキから…。この磯魚特有の香りと上品な味わいがいいですねぇ。コリコリした食感に、身の締まりと鮮度を感じます。続いて、炙り刺身の方は…。おお!皮の香ばしさも相まってまた違った味わいになりますね。

田中さん:ヒラスはブリやカンパチと合わせて“ブリ御三家”なんて呼ばれたりするのですが、その中でも歯応えがあり、脂が少なくあっさりとした味わいが印象的です。長崎はクロマグロの養殖も盛ん。県北の入り組んだ地形で育ったマグロは締まった身ときめ細かい脂を持っているんですよ。

いや〜、九州の甘醤油との相性も最高!どれも新鮮でおいしかったです。

田中さん:では続いて、「串の盛り合わせ」をお持ちしますね。今日は皮、モモ、バラ、レバー、梅しそササミの5種類。毎日、お客様がおいしい笑顔になっている姿を想像しながら、1本1本、心を込めながら手打ちで仕込んでいる看板メニューのひとつです。

※Instagramより
では、定番のモモ串をいただきます。…うわぁ、柔らか〜。噛んだ瞬間にジュワァと旨味が染み出してきて、甘辛いタレとの相性が抜群です。皮はどうかな…。おお、こんがりと焼けた表面と内側のプリプリ加減が絶妙!塩味のバラもジューシーな脂身と歯切れの良い赤身で、口の中で一気に美味しさが広がりますね。

田中さん:私は「串物の味を決めるのは素材の良さ」だと考えていて、最も重要視しているのが鮮度。どれだけ良い銘柄を扱っても美味しい焼鳥は作れません。なので、基本的に仕入れているのは地元・長崎県産のもの。特に新鮮な鶏肉は水分を多く含んでいるので弾力があり、臭みもないので旨い焼鳥になるんですよ。

そうなんですね。じゃあ、常連さんがよく頼むレバーはどうかな…。おお、ふわっとした食感と濃厚な旨味がタレにマッチしていて堪りません!臭みもなくて食べやすいですし、ちょっと一杯飲みたくなってきちゃいました。

田中さん:じゃあ、当店オススメの「たっぷりレモンサワー」はいかがでしょう。レモンの爽やかな酸味とほろ苦さが、焼鳥にもお刺身にもぴったりです。

わお!グラスの中にこれでもかというくらい輪切りレモンが入ってる。

田中さん:安心して飲んでいただけるように、国産の無農薬・減農薬のレモンを使っています。ただ、1杯でかなりの量を入れるので、たっぷりレモンサワーだけは“グラスそのままおかわり”システムを採用。その分、2杯目以降はお得になりますので、レサワ好きな方やたくさん呑みたいという方はオススメですよ。

地元で獲れた海の幸と新鮮さにこだわった焼鳥をアテに、爽やかな喉ごしのレモンサワーをゴクリ。グラスを傾けると鼻腔をくすぐるビタミン感のあるレモンの香りが、疲れた体をリフレッシュさせてくれるようです。

「最近の若い人はあんまりビールを飲まなくなったって聞くけど、この辺じゃまだまだビールが一番。消防団の宴会とか農家の集まりとかが入ると瓶100は越えますもんね。契約してるビールメーカーさんも島原一帯でもウチが一番ビールが出てますって驚いてましたよ」

観光地の居酒屋ながらお財布に優しい価格帯なのも居酒屋仁の魅力。賑やかな店内の雰囲気に包まれながら、お皿が空になる頃にはすっかりほろ酔い気分に。「地元の安くてウマい店とはこういうことだな」と思いながら家路につく足取りは、なんだか軽くなっているような気がしました。

取材・執筆/Komori Daigo

INFORMATION
居酒屋仁

長崎県雲仙市小浜町北本町905−4 ( Google MAP

営業時間:

17:30~24:00

TEL: 0957-74-4129