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暮しを楽しむの手帖
ゆやど雲仙新湯#4 海に浮かぶ火の山の大地。多くの人を惹きつける島原半島の魅力とは

活火山が生み出す雄大な景観を持ち、今年(2024年)指定90周年のアニバーサリーを迎える雲仙国立公園。その雲仙エリアが日本初の国立公園として誕生するよりも以前、明治41年よりこの地で湯宿を営んでいるのが「ゆやど雲仙新湯」です。

現在、若女将を務める豊田桐子さんは4代目。2020年に家業を継ぐ前までは東京で働いていた彼女に雲仙の魅力を訪ねると「有機野菜が身近にあったり、天然温泉に気軽には入れたり…。猛暑と言われていますが標高が高いので過ごしやすい。東京で長く暮らしたからこそ『とても貴重な場所なんだ』と改めて感じていますね」とほほ笑みます。

そんな若女将が取り組んでいるプロジェクトのひとつが雲仙・島原の魅力を発信していくこと。オリジナルの15マイルガイドブックの制作秘話やおすすめの観光スポット、そしてこれからの展望をお聞きしていきたいと思います。

好きなカードを選んで、いざ雲仙観光へ!15マイルガイドブックで素敵な旅を

島原半島の観光名所をカードにした「15マイルガイドブック」をラウンジで展示・配布していらっしゃいます。オリジナルのガイドブックを作ろうと思ったきっかけはなんだったのでしょうか。

豊田さん:東京から20数年ぶりに郷里に戻ってきたときに「島原半島もいろいろ変わったなぁ」と感じたんです。本格的に観光業に携わるわけですし、改めて自分の目でいろんな場所を見て回りました。また、お客様から評判の良いスポット情報もありましたので、それをまとめることができたらと考えたのがきっかけですね。

手に取りやすいサイズ感。デザインも洗練されていて、このガイドブックだけでも旅の記念になりそうです。

豊田さん:最初は既存の観光ガイドをいくつか取り寄せれば良いかなと思っていたんです。でも、並べてみるとそれぞれデザインが違うのでビジュアルの統一感がなく見栄えが悪かった。じゃあ、自分たちでコンセプトを揃えて作っちゃおう、と。ちょうど父が「島原半島15マイル宣言」を掲げていたので、それを活かして「15マイルガイドブック」と名付けました。

レストランやアクティビティ、観光名所などおすすめスポットを35枚のカードで紹介。お客様がカードで選べるようにした理由を教えてください。

豊田さん:お客様によって興味のあることを異なります。そこで、ご自身が「行きたいな」と思う場所だけをピックアップして、自分だけのガイドブックが作れるようにしたら面白いんじゃないかなと。東京時代に知り合ったグラフィックデザイナーの友人に相談しながら、半年くらいをかけて制作しましたね。

表にはキャッチコピーとイラスト、裏面には写真と日本語・英語で書かれた紹介文。パッと見てもわかりやすくて良いですよね。

豊田さん:ありがとうございます。実は裏面のテキストは日・英両方とも私が書き起こしました。これまで携わってきたお仕事でよくプレスリリースなどを書いていたこともあり、そして何より前職でお世話になった方々のご助力があったからこそ形になったカード型ガイドブック。それがお客様の充実した旅のお手伝いになりましたら幸いです。

食あり、歴史あり、自然あり。若女将がときめいた島原半島の観光スポットをご紹介

さまざまな観光スポットがある島原半島。若女将のおすすめの場所を教えてください。

豊田さん:島原半島は食の宝庫。長く育まれてきた食文化は東京と比べても遜色ないと感じています。素敵な飲食店ばかりで挙げだすとキリがないのですが、島原のペシコさん、小浜のビアードさん、国見のヴィッラデルニードさんなんかは予約が取れないほどの人気店。雲仙市が美食都市アワードを受賞には千々石のオーガニック直売所・タネトも影響が大きかったのではないでしょうか。

実際にご宿泊なさるお客様にオススメして評判の良いスポットはありますか?

豊田さん:雲仙温泉街の一角にある雲仙焼の窯元ですね。雲仙焼の特徴は、釉薬に火山灰を用いることで生み出される油滴天目の模様。無数の斑文が醸し出す素朴な風合いとぬくもりを感じさせる質感にファンになる方も多いんですよ。窯元では電動ろくろを使った陶芸体験もしていらっしゃるので、思い出を形に残すのも良いのではないでしょうか。

雲仙温泉街に宿泊するのなら雲仙地獄や仁田峠は外せませんよね。

豊田さん:そうですね。仁田峠は温泉街から少し距離があるのですが、海抜0mから1300mまでの景色を望めることができるので人気の高いスポット。春のウンゼンツツジ、夏のヤマボウシ、秋の紅葉、冬の霧氷と大自然の織りなす芸術は圧巻です。また、展望所からは平成新山を眺めることもでき、大地の息吹を感じられる場所となっています。

仁田峠と言えば国の天然記念物にも指定されている普賢岳紅葉樹林。10~11月の紅葉シーズンには多くの観光客で賑わいます。

豊田さん:紅葉シーズンの仁田峠は人気のあまり慢性的な大渋滞が発生して問題となっていたのですが、数年前から混雑する日程はインターネットでの事前予約を導入したのでスムーズに入場できるようになりました。ただ、まだご存じないお客様も多いので、チェックイン時には必ずお伝えするようにしています。秋の仁田峠に行ってみようという読者の方は、事前に雲仙観光局の特設ページをご覧になってくださいね。

島原半島には他にも魅力的な観光スポットがたくさんあるんです、と目を輝かせる豊田さん。ふるさとを離れ東京でマーケティングや広報の仕事を行ってきた若女将のこれからの大きな目標は「もっと雲仙温泉の認知度を上げる」ことだと言います。

「観光経済新聞で毎年『温泉ランキング100選』が発表されていますけど雲仙温泉は大体40位前後。同じ硫黄泉の草津温泉が毎回1位を獲得しているのを見るとまだまだ認知度が低いんだなぁ、と。せっかく雲仙市が美食都市アワードを受賞したわけですから、この盛り上がりをさらにマスへと広げていって、雲仙の食文化や温泉をもっともっとPRする一端を担えたらと思っています」

15マイルガイドブック

仁田峠事前予約特設ページ

取材・執筆/Komori Daigo

INFORMATION
ゆやど雲仙新湯

長崎県雲仙市小浜町雲仙320 ( Google MAP

営業時間:

チェックイン15:00~18:00、チェックアウト10:00

TEL: 0120-73-3301

URL:https://www.sinyuhotel.co.jp/