閉じる
2023年10月に長崎市矢上町にオープンしたイタリアンレストラン「ミカマーレ」。長崎市内の有名イタリア料理店などで20年以上にわたり腕を振るってきた迎雅光さんがオーナーシェフを務めるこの店は、絶品のパスタを求めて多くのお客様が足を運ぶ人気店となっています。
「自分の店を持つ、というのは20代のころから思い描いていた20年来の夢。だからこそ、ひとりでやるのにちょうど良い広さと雰囲気には妥協したくなかったんです。1年ほど物件を探していた時にこの場所を見つけて『ここだ!』と即決しましたね」
インテリアやオブジェにもこだわった店内は明るくおしゃれな雰囲気。落ち着いたBGMとともに、ゆったりとした時間が流れています。オープンから半年足らずで東長崎エリアの人気店に成長した「ミカマーレ」。その魅力をたっぷりとお伝えしたいと思います。
迎さん:街の洋食屋さんのように親しみがあって地域の方々の生活に馴染むような店。やっぱり、この東長崎に住む皆さんに愛される店にしていきたいなぁという想いはありました。周りの飲食店に比べたらちょっと金額は高いんですけど、お祝い事があったら「ミカマーレでお祝いしよう」みたいな存在になれたらいいなと。
迎さん:お客様に寄り添った料理を作ること、ですね。麺の硬さ、量、塩加減・・・。同じ料理でも年齢や性別で“ちょうどいい”が違うんですよ。例えば、若い人にとってベストな味付けが年配者にとっては濃くなってしまうので、一口目は少し薄味で食べ終わる頃にちょうど良い感じになるようにする。そういうバランスを大切にしながら調理や盛り付けをしていますね。
迎さん:ひとりで全部やっているので大変ですし、お客様をお待たせしてしまうこともあります。調理スタッフを雇えば助かるという想いはあるのですが、私の考え方や仕事のやり方について1言えば10わかるくらいになるまでにはどうしても時間がかかってしまう。この店はまだ生まれたばかりなので、ある程度カタチができるまではひとりで味も雰囲気も表現できればと思っています。
迎さん:日本食に似ているところですね。日本は沖縄から北海道までその地域の風土に根差した食べ物がたくさんある。それと同じように、イタリアも北と南でパスタソースが違うんです。アルプス山脈に近い北の方では濃厚なクリーム系、地中海に囲まれた南の方ではオイル系。そういう味や料理の多様性がイタリアンの魅力ですね。
迎さん:メニューの切り替わりってほとんど季節ごとじゃないですか。ペースが速い店でも1ヶ月とか1週間くらい。じゃあ、3日でメニュー替えたらお客様にいろんなパスタを提供できると思ったのがきっかけです。今では「今回はどがんメニューかね?」と数日おきに来店してくださるリピーターさんもいらっしゃるほどなんですよ。
迎さん:そうなんですよ。だからオープンしてからあの手この手で組み合わせを変えて、自分でも何種類くらいのパスタを作ったかよくわかってない(笑)。長いスパンの方がルーティン化できるので楽なんでしょうけど私自身メニューを考えるのが好きですし、お客様も楽しみにしてくださっているので。「あの時のパスタ、またやんないの?」とよく声をかけていただいています。
迎さん:ただ、難しいのが考えたレシピと食材の兼ね合いですよね。基本的に地場の新鮮な野菜や魚介類を中心に調理しているのですが、天候などの影響を受けて仕入れることができない可能性もある。かといって早めに仕入れても状態が悪くなってしまうし・・・。まあでも、お客様から「美味しかったよ」と言っていただけたらそんな苦労も吹き飛んじゃうんですけどね。
迎さん:アラカルトはほぼ固定メニュー。前菜と一緒にワインを楽しまれる方が多いですね。ディナーコースはその日に仕入れた食材で内容を変える“おまかせ仕様”。3500円+税でいろいろな料理が食べられるので、最近はコースをご予約されるお客様も増えてきています。腕によりをかけて調理しますので、ぜひ特別な日に当店のディナーコースを楽しんでいただけたら嬉しいです。
昼間はいろんな絶品パスタを味わえる手軽な洋食屋、夜は地場の食材を活かしたコースとお酒を楽しめるイタリアンレストランと時間によって見せる顔を変えるミカマーレ。20年以上のキャリアで培ってきた迎さんの腕から生み出される色彩豊かな料理の数々は訪れたお客様の舌を楽しませています。
「屋号の『ミカマーレ(mica male)』はイタリア語で『悪くない』という意味。私は美味しいという感覚は人それぞれだと思っているので、食べに来てくださった方々が『お、悪くないじゃん』『また来てもいいかな』と心の中に残るような店にしたいという想いで名付けました」
基本ワンオペだからお客様の反応もダイレクトに感じることができてすごく刺激を受けています、とほほ笑む迎シェフ。訪れた人たちを自慢の料理で楽しませるmica male(悪くない)な店のチャレンジは始まったばかりです。
取材・執筆/Komori Daigo
長崎県長崎市矢上町32−13田川ビル 101号 ( Google MAP )
営業時間:
11:00~16:00、17:00~20:00(不定休)※P2台のみ
TEL: 095-894-5881