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暮しを楽しむの手帖
力寿司#3 コスパ最強のウマい“にぎり寿司”&創業から変わらぬ味の“夫婦蒸し”。親子二代で受け継ぐ大衆の味をいただきます!

諫早市で昭和46年に創業し、今なお多くの市民が足を運んでいる「力寿司」。暖簾をくぐるとどこか懐かしい雰囲気が漂い、まさに大衆の味を受け継ぐ名店という感じ。無節の檜で設えたカウンターの奥から二代目店主の黒田昭さんが笑顔で迎えてくれます。

寿司を身近に感じてほしいという黒田さんの想いから半世紀を超えて大衆の味を提供してきた同店。地元の鮮魚を中心にした寿司をはじめ、創業から変わらないレシピの茶椀蒸し、衣に卵を使わずにカラッと揚げた天ぷらなど、細やかで丁寧な仕事で作り上げた料理がお客様の下を楽しませています。

今回の記事では、そんな力寿司の看板メニュー「にぎり寿司」の美味しさをご紹介。創業当時から提供しているという「夫婦蒸し」と合わせて食レポしていきますよ。

創業当時から変わらないシャリと新鮮で大ぶりのネタ。リーズナブルなのに美味しい満足感と寿司屋の粋を感じる寿司下駄のアート

にぎり寿司と言えば大切なのはシャリとネタ。まずは力寿司のシャリの特徴を教えてください。

黒田さん:うちは一般的なものと比べて酢が多め。父が祖母と一緒に試行錯誤しながら決めたレシピを昭和46年の創業から守り続けています。もちろん、毎日手作業で準備。直径66センチの大きな桶に米と合わせ酢を入れて混ぜ合わせることで水分をコントロールし、舌ざわりの良いシャリができあがるんですよ。

※Instagramより
では寿司ネタはいかがでしょうか?

黒田さん:大衆寿司屋なのでネタも大ぶり。高級魚はあまり使いませんが、タイやヒラス、アジといった長崎の活魚はできるだけ入れるようにしています。…はい、お待たせしました。ランチの「にぎり寿司」です。今日はタコ、エビ、イカ、アナゴ、サーモン、ヒラス、マグロ、タイの8貫。あたたかい汁物と一緒にお召し上がりください。

まずは透明感のある白身と桜色のコントラストが美しいタイの握りから。…おお、鮮度抜群のプリプリとした歯ごたえがたまらない。上品さのある旨味をふわっと崩れるシャリの酸味が包み込んで…これぞ匠の技。お吸い物もしっかりと鯛の出汁が効いていて、これは箸が止まりません!

黒田さん:ありがとうございます。シャリは特徴が一番出るところだと思っているので、今でも勉強を兼ねていろんな店のお寿司を食べているんですよ。シャリで大切なのは味の優劣ではなく、お客さんの好みに合うかどうか。力寿司は美味しいと来店したり出前を取ったりしてくださる方は、ウチのシャリが口にあっているのだと思うと嬉しいですね。

いや~、美味しくてあっという間に平らげてしまいました。握りが寿司下駄に乗って出てくるのも粋ですよね。喜ばれるお客様も多いのではないですか?

黒田さん:若い方なんかは「おお~」と感嘆の声をあげながら写真を撮っていらっしゃいます。この下駄は熊本で寿司屋をやっていた叔母夫婦から譲り受けたもの。お子さんがいらっしゃらなかったので私や妻をわが子のようにかわいがってくださいました。今は亡くなってしまったので、思い出が詰まった大切な形見の品。これからも大事に使っていきたいと思います。

出汁の効いた口当たりの良い茶碗蒸し&優しい酸味と椎茸の風味が香る蒸し寿司で心も体もポカポカに

茶椀蒸しと蒸し寿司がセットになった「夫婦蒸し」と言えば長崎市にある「吉宗」が有名ですが、諫早でも味わうことができるんですね。

黒田さん:夫婦蒸しは力寿司の創業当時から提供しているメニューです。温かい料理なので寒い時期に食べれば体も心もほっくり。茶椀蒸しも蒸し寿司もどんぶり茶碗で出しているので、県外からいらっしゃった方は驚かれますね。

早速、茶椀蒸しからいただきましょう。ふたを開けると湯気とともに上品な出汁の香りが鼻孔をくすぐります。クリーム色の茶わん蒸しをスプーンですくうと、絶妙なプルプル加減。では一口。…おお~、出汁がきいていてめちゃくちゃ美味しい!口当たりも良くて食べやすいですね。

黒田さん:茶椀蒸しのレシピは創業から50年以上ずっと変わっていないんですよ。具材として入っているのは銀杏、椎茸、かまぼこ、鶏肉、竹の子、春菊(カイワレ)。オーソドックスな蒸し料理だからこそ、卵液の準備や具材の下ごしらえはひとつひとつ丁寧に。単品や出前でも人気が高い、力寿司の王道人気メニューです。

続いては、蒸し寿司。まずはなんといっても見た目の美しさですよ。鰻・桜でんぶ・錦糸玉子のコントラストがお見事。では、いただきます。…噛むごとに口の中に広がる椎茸の風味、シャリの優しい酸味。鰻とご飯の相性もばっちりで、なんだかすごくホッとする美味しさですね。

黒田さん:ウチの蒸し寿司はご飯にひと工夫していて、シャリと白米の割合を1:1にしているんですよ。理由はシャリだけでは酢が強すぎるし、白米ではちょっと物足りないから。そこにミンチにした椎茸の煮物を混ぜ合わせることで、最高にバランスの良いまぜ飯に仕上げています、

ごちそうさまでした。実際に味わってみると、力寿司の夫婦蒸しが半世紀以上に渡って愛され続けている理由がよくわかりますね。

黒田さん:ありがとうございます。ああ、そうだ。注意事項として夫婦蒸しや茶椀蒸しに使用しているどんぶりは数に限りがあるんですよ。出前や宴会などの状況によっては「器がなくて作れない」ということも。特に夫婦蒸しは1食で2個の器が必要になりますので、注文を事前にご予約されることをおすすめしています。

※Instagramより

いかがだったでしょうか。

リーズナブルな価格で寿司や一品料理などを楽しめる諫早の大衆寿司屋「力寿司」。11:30~14:00のランチタイムには「にぎり寿司」「上にぎり寿司」「特上にぎり寿司」の各にぎり寿司に汁物を付けたお得なランチサービス(イートインのみ)で味わうことができますよ。

力寿司はイートイン以外にも出前やテイクアウトにも対応。創業50年を越える大衆の味をぜひ味わってみてくださいね。

取材・執筆/Komori Daigo

INFORMATION
力寿司

長崎県諫早市東小路町12-16 ( Google MAP

営業時間:

昼11:30~14:00、夜17:30~22:00

TEL: 0957-22-1468