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暮しを楽しむの手帖
カフェ アグレアヴル#1 未経験から飲食業へ。八代で17年、夫婦ふたりで育ててきた自家製カフェの物語

熊本県八代市古閑中町

2026年7月、熊本県八代市古閑中町に移転グランドオープンした「Cafe AgreAble(カフェ・アグレアヴル)」。自家製にこだわったイタリアン料理と、ゆったりとした居心地の良さが魅力の同店を営むのが、オーナーの村上正剛さんです。

「高校の時に喫茶店でバイトしていました。地元の店ですごく雰囲気が良くて、将来こういう場所をやれたらいいなっていう、漠然とした夢があったんですよ」

そんな村上さんが奥様とふたりで切り盛りするアグレアヴルの歴史は2009年までさかのぼります。昔ながらのアーケード商店街が残る八代市中心エリアの一角にある歯科医院の2階にオープン。地域の人々に愛されるカフェへ成長したアグレアヴルが新興住宅地へ移転するまでの物語を伺いました。

フランス語で“心地良い”。屋号に込めた想いとは

まずは村上オーナーのご経歴をお聞かせください。

村上さん:学校を卒業したあと、サラリーマンとして2年半ほど会社勤めをしました。その後、花屋に転職して働いていたのですが、ある時、「八代にカフェがない」という話になって。「じゃあ作ろうか」「じゃあ作ろうか」とお話をいただいたんです。飲食店経営は全くの未経験でしたけど、思い立って始めちゃいました(笑)。

未経験でお店を始めるのは、相当な挑戦ですね。

村上さん:どうやって利益を出せばいいのか、どうしたらお客様に満足していただけるのか試行錯誤の毎日で本当に大変でした。でも、2年半ほど経った頃に入居していた建物が建て替えをすることになって…。経営も軌道に乗り始めていましたし、残念な気持ちもありましたがピンチはチャンスと切り替えることにしたんです。

Instagramより移転前の店内
具体的にどのような行動を起こされたのでしょうか。

村上さん:コーヒーと軽食が中心だったのでフードメニューを充実させようと、熊本市内のイタリアンで修業することにしたんです。修業先のお店は快く迎えてくださり、素人同然だった私にパスタを茹でるコツ、ソースの作り方などイタリアンの基礎を1から丁寧におしえてくださいました。それが今の料理の土台になっています。

修業を経て2009年に八代市本町でCafe AgreAbleをオープンなさいます。店名の由来を教えてください。

村上さん:実は「AgreAble(アグレアヴル)」はフランス語なんですよ。「楽しい」「心地よい」という意味があって、妻と「自分たちの店を出すならこの名前にしたいね」と話していたんです。で、私がイタリアンで修業したので、フランス語の屋号なんだけどパスタやピザといったイタリア料理を出すお店になっちゃいました(笑)。

公式サイトより

地震、豪雨、大火事、コロナ。10年越しの夢がついに形に

2009年のオープンから17年。今年(2026)、古閑中町へ移転なさいました。これはいつ頃から計画されていたのでしょうか。

村上さん:この店は私と妻の2人でやっているので、10年ほど前から「いつかは自宅と店舗を一緒にしたい」という想いがあったんです。自宅が職場になれば、仕込みの時間も、家族の時間も、もっと大切にできる。でも、計画を考えようとするたびに、地震、豪雨、コロナの大流行などが重なり、なかなか前に進めない時期が長く続きました。

足かけ10年、いろんな障害を乗り越えて完成したのが現在の新店舗というわけですね。

村上さん:移転前の営業終了が5月中旬。それからリニューアルまで1ヶ月半ほどしかないわけです。しかも自宅兼店舗なので、仕事と家族、両方の引っ越しをしなきゃいけない。しかも、基本的に妻と2人での作業でしたので想像以上に時間がかかってしまったんです。とにかくお店の準備を優先して、なんとかオープンにこぎつけました。

グランドオープンの日は万感の想いだったのではないでしょうか。

村上さん:万感の思い、というよりはプレッシャーの方が大きかったですね。というのも、移転前の本町は居酒屋やバルが並ぶ夜の街のイメージでしたが、ここ(古閑中町)は住宅街。同じ八代でも、来てくださるお客様の層も違うと考えていました。それもあって、移転初日はドキドキしながら扉を開けたのを覚えています。

改めて、新店舗への想いをお聞かせください。

村上さん:17年間、本町で営業を続けることができたのは、足を運んでくださるお客様のおかげです。新しい場所へ移転しましたが「おいしい食事とゆったりとした時間を楽しんでいただく」というコンセプトは変わりません。気軽に楽しめるイタリアンですので、友達の家に遊びに行くような感覚でお越しいただければ嬉しいです。

移転後は、常連客はもちろん、「近くにできたからのぞいてみた」という初めてのお客様も来店されており、オープンから1ヶ月が経とうとしている今でも、ランチタイムは予約で満席になっていることも多いそうです。

「前の店舗との大きな違いはカフェタイムを設けていないこと。ランチとディナーの間にアイドルタイムを設けることで料理のクオリティを維持する狙いがあります。営業時間は短くなっていますが、その分、セット内容を充実させることでお客様にご満足いただいているんですよ」

新しい場所でも、変わらない味と時間をお届けしていきたい——。その言葉通り、古閑中町のCafe AgreAbleは、今日も静かに扉を開けています。

取材・執筆/Komori Daigo

当記事は2026年7月28日に発生した熊本地震の前に取材させていただいたものです。
店舗様の許可をいただき掲載しております。
なお、営業状況やメニュー等の最新情報については直接店舗へご確認ください。

INFORMATION
AgreAble(アグレアヴル)

熊本県八代市古閑中町3019 ( Google MAP )

営業時間:

ランチ  11:30~15:00(o.s13:30/予約優先)
ディナー 17:30~21:30(o.s20:00/予約優先)
※定休:日曜日

TEL: 070-5483-1400

URL:https://kumaon.kumamoto.jp/product/cafe-agreable

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