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暮しを楽しむの手帖
お茶処しまだ#3 おいしさの秘密は「お湯の量」にあり!?日本茶インストラクターが教えるお茶の入れ方

長崎県諫早市にある茶葉販売店「お茶処しまだ」。全国茶品評会で日本一に輝いた「長崎そのぎ茶」や高級玉露の産地として名高い福岡の「八女茶」を中心に選りすぐりの商品を取り扱っています。

「先代まで東彼杵を拠点に卸売をしていたので、この店でも30数年前からそのぎ茶を販売してきました。当時はあまり知られていないお茶の産地でしたが全国茶品評会で日本一に輝いてからは『そのぎ茶ありますか?』というお問い合わせがたくさん入るようになりました」と話すのは6代目店主の嶋田祐子さん。

今回のインタビューではお茶処しまだのメイン商品である「そのぎ茶」と「八女茶」それぞれの特徴をご紹介。さらに、20年以上にわたり日本茶インストラクターとして活動している嶋田さんにおいしい日本茶の入れ方も教えていただいちゃいました♪

先代から受け継いだお茶への想い。それを大切に商品を取り揃えています

まずは「長崎そのぎ茶」の特徴を教えてください

嶋田さん:長崎そのぎ茶は「蒸し製玉緑茶(グリ茶)」という種類。精揉工程がなく回転するドラムで茶葉を乾燥してつくられるので、仕上がりは丸いぐりっとした形状。渋みが少なく、まろやかな味わいが特徴です。

最近は全国茶品評会で最高賞の農林水産大臣賞を連続獲得するなど「日本一のそのぎ茶」として注目を集めています。

嶋田さん:そのぎ茶を地域ブランド化していこうという有志の方々がそのぎ茶振興協議会を立ち上げたのは私が6代目として後を継ぐ頃。それから、若い生産者の方々がSNSで発信なさったり、茶摘みの体験を開催なさったりと長く努力を重ねていらっしゃるのを見てきたので知名度が高くなって本当に良かったと感じています。

画像はInstagramより
続いて、福岡の八女茶について。しまだでは八女茶を用いたオリジナル商品を開発なさっていて、日本茶アワードなどのコンテストでさまざまな賞を受賞なさっています。

嶋田さん:おかげさまで2019年に製造した「八女伝統本玉露 絶品」は日本茶アワードの最高賞である日本茶大賞・農林水産大臣賞を受賞しました。伝統と革新を融合させた匠の技で仕上げられた玉露で、とろりとした口あたりに舌の上で広がる最上の旨味&香りと全てのバランスが絶妙にとれているのが特徴です。

また、昨年(2022年)は「つゆとろり」と「かおりひめ」もプラチナ賞を受賞。つゆとろりはお湯を注ぐと甘い香りが立ち込め、口に含むとトロリとした旨味が広がる煎茶。かおりひめは国産の青ウーロン茶を丁寧に焙じることで優しい花香とほうじ香のマリアージュをお楽しみいただけるほうじ茶となっています。

オリジナル商品づくりの際にはこだわっていることは何でしょうか。

嶋田さん:先代より受け継いだお茶への想いを大事にすることですね。商品作りは八女の生産者の方が作ったアワード用の茶葉をチェックするところから始まります。そこで単品でいくのか、ブレンドするのか、ブレンドするなら割合はどうするかという方向性を決定。アワード用に作る「しまだ色」の濃い商品なので、受賞した時は喜びもひとしおです。

ところで、同じ銘柄のお茶でも入れる人によって味が全然違うことがあるじゃないですか。おいしいお茶を入れるためのコツがあればぜひ教えていただきたいです。

嶋田さん:ポイントは「おいしい水」「お湯の温度」「お湯の量」「茶葉の量」「急須に入れて蒸す時間」の5つ。その中で私が一番重要だと思うのが「お湯の量」です。多くの方が茶葉を入れた急須に直接お湯を直接注いでいると思うのですが、この方法だと適量をオーバーしてしまうんです。

一度に急須に入れるお湯の量が多すぎるとどうなるのですか?

嶋田さん:一定量の茶葉から滲出する成分量は決まっているので、湯量が多いと濃度が薄くなってしまいます。だから、まずはお茶を飲む湯呑にお湯を注いでそれを急須に入れる。3~40秒経って注いで飲んでみる。ちょうど良い量だととろみのある味わいになりますが、多いとさらさらとしたお湯の味になるので少し減らすことで美味しいお茶に近づきます。

確かに、お湯の量ならご家庭でも手軽にチャレンジできますね。

嶋田さん:お湯の温度で滲出する成分が異なるのもお茶の特徴。例えば、カテキンは高温だと出やすく低温だと出にくくなるので、水だし緑茶は旨味・甘味が強くなります。ただ、お茶の好みは十人十色。私個人としては最適な温度の正解はないと感じています。熱くて渋みのあるお茶、ぬるくてトロっとしたお茶などあまり肩ひじを張らずに楽しんでいただくのが良いですよ。

なるほど。では逆にワンランク上の日本茶の味わい方を教えてください。

嶋田さん:香りを意識してみることですね。飲む前に日本茶の香りを感じ、一口飲んで口から鼻へ抜ける奥行きのあるほのかな香りを楽しむ。一杯の日本茶を味わうだけで、日本の文化や歴史を感じることできるのではないでしょうか。ぜひお試しくださいね。

今回、ご紹介したおいしいお茶の入れ方を読んで「もっと詳しく知りたい!」と思われた方も多いのではないでしょうか。そんな皆さんにオススメなのが「お茶処しまだ」のYoutube公式チャンネル。日本茶インストラクターの資格を持つ嶋田さんがお茶の入れ方を基本(急須)編・ティーバッグ編・水だし編の3本に分けて紹介なさっています

また、「お茶処しまだ」ではオンラインショップも開設しています。記事で紹介した長崎そのぎ茶や八女茶を購入できますので、ぜひぜひお取り寄せしていただいて九州のおいしいお茶を味わってくださいね。

取材・執筆/Komori Daigo

INFORMATION
お茶処しまだ

長崎県諫早市永昌東町7-10 ( Google MAP

営業時間:

10:00~18:00(日曜・祝日定休)

TEL: 0957-23-0246

URL:https://www.tea-shimada.com/