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在日1世の創業者が「本場の焼肉を地元のお客様にこそ食べてほしい」との想いで1968年に八代市内で店を構えた「やきにく平壌園 本店」。現在は2代目店主の朱永徳さんが後継し、老舗の味を守り続けています。
個人経営ながら昔からテイクアウトもできる焼肉店として地域に親しまれてきた平壌園。半世紀以上続く焼肉店は熊本県内でもほとんど見かけなくなってしまいました。そこで今回は「テイクアウト」と「老舗としてのポリシー」をテーマにお話を伺っていきます。
朱さん:昔からやっているのは「焼肉セット」と「オードブル」。
焼肉セットは事前予約制でロースやカルビ、ホルモンといったお肉をお持ち帰りいただけます。「平壌園セット」「サービスセット」「ファミリーセット」「バーベキューセット」の4種類で、お肉の種類や予算に合わせてご購入が可能です。
朱さん:オードブルはチャプチェ、チヂム、ヤンニョンチキン、甘辛チキン、キムパ、キムチ、焼肉、キュウリとタコの旨辛酢の物が入った韓国風。お盆やクリスマス、年末年始などに多くご予約をいただいています。キムチやキムパも人気で当店でのテイクアウトも可能ですし、新八代駅近くの物産館等にも卸しているんですよ。
朱さん:そうです。コロナ禍の営業自粛や外出自粛で売上がガクッと下がってしまったので本格的に弁当を始めました。特に「焼肉弁当」は平壌園秘伝のタレで焼いているのでリーズナブルなのに一味違うと評判です。
朱さん:キムパはすごく研究を重ねた自信作ですね。先日、韓国からのクルーズ船の来航にあわせて八代のアーケードに出店を出してキムパを販売したんです。たくさんの韓国人の方が並んでくださって「韓国のキムパに負けないくらいすごく美味しい」とお墨付きをいただけた。本場の味を知って勉強して習得して商品化して・・・。簡単ではないですが「本物を作る」というのはそういうことだと考えています。
朱さん:平壌園は姉妹店を含めて八代市内に3店舗を展開していますが、大手全国チェーンのような情報発信力はない。だからこそ、来店してくださったお客様ひとりひとりに満足していただいてリピーターを増やしていく。その繰り返しだと思っています。
朱さん:おそらく熊本県内でいつのまにかウチが一番古い店になったんです。老舗としてお客様に本場の味を知っていただくことは大きな使命ですし、何よりうまい焼肉をみんなで食べて幸せな気分になってほしい。「地元の皆さんに本場の焼肉を」という先代の想いを胸に、これからも平壌園の味を守り続けていきたいですね。
1968年の創業から今年(2023年)で55年。高度経済成長やバブル景気と活気あふれる日本を感じてきた一方で、2016年の熊本地震、2020年の集中豪雨、そして世界中でまん延した新型コロナウイルスと自然災害や感染症と大きな困難にも直面してきました。
「食は命。おいしいは幸せですよ」
そう話す2代目の柔和な表情から、お客様の笑顔のためにどんな困難も乗り越えていくんだという、老舗としての矜持を感じずにはいられませんでした。
取材・執筆/Komori Daigo
熊本県八代市新町6-14 ( Google MAP )
営業時間:
ランチ/11:30~13:30
ディナー/17:00~22:00(定休日:水曜)
TEL: 0965-34-1967