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暮しを楽しむの手帖
山幸#2 寿司を握って、揚げ物を揚げて。ひとりで厨房を守る背中はかっこいい。

季節の旬な食材を使った料理を味わえると人気の「割烹寿司山幸」。諫早インターチェンジの近くに構えた純和風の店舗には40~60代の地域の方を中心に、幅広い年齢層のお客様が来店しています。

「寿司屋というよりは“寿司も食べられる居酒屋”ですよ」。そういって笑うのは二代目マスターの山﨑竜也さん。今回は家業を継ぐために飲食業界に飛び込み、料理人として腕を磨き続けてきた山崎さんの半生に迫ります。

まじめに、真摯に、料理と向き合うために。

山﨑さんが料理人になろうと思ったきっかけはなんだったのでしょうか。

山﨑さん:いろいろと理由はありますが、一番大きい理由は「お父さんの跡を継がんばよねぇ」というまわりからの声でした。創業当時から両親が一生懸命やっている姿も見ていましたし、「じゃあやってみようか」と。

たくさんの人が「一代で終わるのはもったいない!」と思われたんでしょうね。ご両親のお人柄が伺えるようです。料理はどうやって学ばれたのですか?

山﨑さん:高校卒業してすぐに神戸の料理屋に板前として就職しました。30年前なので、今と違って手取り足取り教えてくれるわけではない。まさに「見て覚えろ」という感じでした。割烹料理だったり懐石料理だったり、料理のいろはを基礎から叩き込まれましたね。

その後、郷里に戻られた山崎さんは晴れて「山幸」の一員となられます。先代でもあるお父さんはどんな料理人でしたか?

山﨑さん:一言でいうと職人、かな。もともと親父は口数が少ないタイプだったので、細かく教えられたことはあまりなかった。この店に入った当時は私含めて4、5人の板前がいたのですが、修業時代と同じく先代や先輩の背中を見ながらこの店の味や調理を覚えていきました。親父の跡を継いだのが平成29年。その後も数年はふたりでやっていましたね。

令和元年に先代がお亡くなりになった今は、調理場に立つのは基本的に山崎さんだけとお聞きしました。

山﨑さん:そうなんですよ。カウンターで寿司を握って、奥の厨房で揚げ物を揚げて・・・。注文が多い時は行ったり来たり。初めていらっしゃったお客様は私だけで調理していると聞くとビックリされますね。ただ、調理をひとりで担当することで「他人に気を遣わずに料理に向き合える」というメリットもあって、私の性格的に今のやり方がちょうどいいんじゃないかと感じています。

接客は女将さんやアルバイトの方に任せて、存分に料理の腕を振るっていらっしゃるんですね。

山﨑さん:とはいえ、一人席以外に個室も4つあるので、満席に近かったり、いろんな種類のオーダーが立て続けに入ったりする時はやっぱり大変。お客様をお待たせするのが心苦しいので、必ず「ひとりでやっているから少しお時間いただけますか」と事前にお願いするようにしているんです。皆さん快く受け入れてくださるのとても助かっています。

18歳で料理の世界に飛び込んで30年。山崎さんが感じる料理人のやりがいとはなんでしょうか。

山﨑さん:自分の作った料理を食べたお客様が「おいしいね」と笑顔になってくださること。ありきたりかもしれませんが、それが仕事の一番の原動力になっています。

少し照れたような表情で料理人としてのやりがいを教えてくれた山崎さん。「せっかくだから案内しますよ」とのぞかせていただいたカウンターや厨房には、渋さが光る調理道具がズラリと並んでいます。「こっちで寿司を握って、焼き物・揚げ物はこのガスコンロ。酒類は・・・」。かつて父の背中を追いかけながら二人で立った調理場を紹介してくださる二代目マスター。その後ろ姿は、長年、飲食業界で戦ってきた男のかっこよさがにじみ出ているようでした。

※取材・執筆/Komori Daigo

INFORMATION
割烹寿司 山幸

長崎県諫早市貝津町1765 ※駐車場あり

営業時間:

17:00~22:00(定休日:月曜)※現在、ランチ及び仕出しは行っておりませんのでご注意ください。

TEL: 0957250082