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暮しを楽しむの手帖
味処湯処よしちょう#4 時代に合わせてバージョンアップを続ける小浜温泉で“変わらない味と風呂”を守り続ける

大正時代に創業したちゃんぽん店をルーツに持つ、雲仙市小浜町の「味処湯処よしちょう」。平成17年(2005年)には廃業したホテルを買い取って移転リニューアルし、20年に渡り大衆浴場のある食事処として経営を続けています。

「夕日の美しいオーシャンビューを眺めながら、名物の小浜ちゃんぽんや旬の海鮮料理を楽しめるのが味処湯処よしちょうの魅力。食事をされたお客様は併設温泉の入浴を無料でサービスしていますので、お腹を満たした後はゆったりとお風呂でリラックスしていただけます」

そう話すのはオープン当初から勤務している店長の田中邦昭さん。今年(2025年)、リニューアルから20年目の節目を迎える味処湯処よしちょうの“これまでとこれから”についてお話を伺いました。

地元の皆さんが安らぐ場所であり、観光客の皆さんの想い出に残る場所でありたい

田中さんはよしちょうのリニューアルオープン(平成17年)から働いていらっしゃいますが、勤続20年の中で印象に残っている出来事はありますか?

田中さん:コロナ以前は4月に「小浜温泉湯まつり花火大会」が開催されていて、目の前の小浜マリンパークから花火が打ち上げられるということもあって毎年予約のお客様で満席でしたね。その日は花火御膳というメニューだけを提供して、花火の時間になったら電気を消して…。

それは素敵ですね~。

田中さん:まあ、その分、厨房はバタバタなんですけどね(笑)。花火がドーン!と打ちあがる音や「わー!」「すごーい!」という歓声を聞きながら、お客様をお待たせしないように…と効率的に調理を進めていました。美味しい食事と夜空を彩るきれいな花火を楽しんだお客様の笑顔と「ありがとう」という言葉は忘れられないですね。

小浜温泉湯まつり花火大会は令和2年から開催されていないのが残念。復活したらたくさんの人で賑わうんだろうなぁ。

田中さん:あとはテレビ局の取材も印象に残っていますね。最初に来たのは元バレーボール日本代表の河合俊一さん。当時は引退してタレントをなさっていたんですけど身長(195cm)の高さに驚きました。ドラマの撮影かと思うほどたくさんの機材を持ち込む番組もあれば、ディレクターさん1人でカメラを回すところもあって。テレビに出ることなんてそうそうないので良い思い出になっています。

よしちょうには観光客も多く訪れるそうですが、島原半島のおすすめスポットを質問されることも多いんじゃないですか?

田中さん:そうですね。せっかく遠方から小浜へ来てくださっているのですから、どういうことに興味があるのかを聞くようにしています。「綺麗な景色が見たい」という方には雲仙の仁田峠、「島原ならではの体験がしたい」という方には南島原のイルカウォッチング。暑い時期だったら島原のそうめんやかんざらしをオススメしていますね。

今年(2025年)に20周年を迎える味処湯処よしちょう。これからの目標を教えてください。

田中さん:まずはしっかりとこの店を守っていくこと。小浜もここ数年でホテルがリニューアルしたり、おしゃれなカフェが増えたりして、20~30代の若い方やインバウンドの外国人観光客も増えているんですけど、新型コロナウイルスが流行した後から大規模な宴会ができるようなホテル・旅館や飲食店が少なくなっているんですよ。

確かに、新型コロナウイルスの影響で、団体よりも個人をフォーカスすることが主流になったように感じます。

田中さん:だからこそ、この店が企業などの忘新年会や小浜出身者の同窓会など、大規模な宴会の受け皿にもなっていけたら…と考えています。実際、去年(2024年)は60~70人規模の同窓会会場として3回ほどご利用いただきました。参加なさった皆さんは「やっぱり地元はいいね」と仰っていたので、これからも精一杯頑張っていかんばですね。

雲仙市の観光統計によると、コロナ禍の影響で約160万人まで落ち込んだ観光客延べ数も2023年には約230万人まで回復。週末に小浜温泉を訪れると、国内外からやってきた幅広い年齢層の観光客が日本一長い足湯でリラックスしたり、名物の蒸し料理を楽しんだりと賑わいが戻ってきていることが実感できます。

「インターネットの口コミやSNSを見て、よしちょうへ来店してくださる方もいらっしゃる。美味しい食事とかけ流しの温泉で、小浜観光の楽しいひと時を過ごしていただけたら嬉しいですね」

取材・執筆/Komori Daigo

INFORMATION
味処湯処よしちょう

長崎県雲仙市小浜町北本町905-32 ( Google MAP

営業時間:

食事:11時~16時、17時~21時
入浴:9時~22時30分
定休:第2・4水曜、元旦

TEL: 0957-75-0107

URL:https://www.yoshicho-obamaonsen.com/