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城下町としての歴史と文化を感じる八代市の中心地にある本町アーケード。東西約730mにわたって伸びるアーケード街の東側入り口周辺にはバーやスナックが入居するビルが立ち並び、大人の社交場として来訪する人も多いナイトスポットです。
その一角で営業しているのが「酒処かずおうどん」。ビルの一番奥という立地ながら、覚えやすくインパクトのある屋号、赤と黒のシンプルながら目を引く看板、うどんの形をしたネオンサインなど、通りがかりの人に「どんな店なんだろう」と思わせることで誘客をしています。
「一度来てもらえば、リピートしてもらえる自信はあった」と胸を張るびはオーナーの牛田和男さん。事実、かずおうどんはオープン4ヶ月ながら、1軒では飲み足りない男性客やシメにうどんが食べたい人、そしてきれいに着飾った夜の蝶などさまざまな人が訪れています。
夜の飲み屋街にあるうどん店。その魅力に迫ってみたいと思います。
まずはうどん麺ですね。仕入れているのは八代の製麺所で作られた生麺。私、うどん打ちができるので原価率を抑えるために自家製麺にしようかとも考えたんですけど、うどん麺って温度や湿度の影響をものすごく受けるので、作業コストが高くなってしまうんですよ。なので、多少割高でも年間を通じて同じ品質の麺を提供するために、製麺所に発注することにしたんです。
まあ、この店に手打ちするスペースがなかったというのもあるんですけどね。ちなみに生麺は製麺所からの直接仕入れ。実は、個人店への直接販売はしていらっしゃらなかったのですが、修行時代に在籍したうどん店の社長が「おいの弟子が見せだすけん、協力してもらえんやろうか」と製麺所にお願いしてくださって。本当に人に恵まれているなと感じましたね。
そうなんですよ。鰹節を数種類ブレンドして煮出・濾過した出汁に薄口醤油を加えて仕上げる自家製のつゆ。毎日、開店前に1日分約20リットルを仕込んでいます。クオリティの高さはもちろん、日によって味のブレもほとんどないのが自慢。お客さんから「既製品のスープじゃないと?」と言われるほどの美味しいうどんつゆなんですよ。
ただ、1日分しか仕込んでいないので、深夜の深い時間とか宴会のシーズンとかになるとつゆがなくなってしまって、うどんの提供ができないことがあったんです。出汁も新鮮で美味しいものを、というこだわりでやっていることなのですが、せっかく来店いただいたのに召し上がっていただけないのは心苦しくて。そこをどうバランスを取っていくかがこれからの課題ですね。
はい。特に人気なのは肉うどんの「肉」。牛すじと牛バラスライスを一緒に炊いた自信作です。あとはごぼう天。オーダーが入ってから皮を剥いて揚げることで、ごぼう本来の甘味と風味を感じていただける。また、斜めぎりでにカットすることで女性でも食べやすい一口サイズになるように工夫しています。
最初はうどん1本で行こうと考えていたんですけど、相談した商工会議所や仲間から「うどん以外の武器があったほうがいい」というアドバイスを受けたんですよ。それで、酒のアテになる手作りの居酒屋メニューを増やすことにしました。その代表格が天草から取り寄せている車海老。素材の味を引き出す天ぷらと塩焼きで提供していますので、ぜひ味わっていただけると嬉しいですね。
オープン当初は飲んだ後のシメにうどんを食べに来るお客様が多かったと振り返る牛田さん。こだわりのスープと麺を気に入ってリピートする人、手づくり一品料理にハマって居酒屋のように通う人など、牛田さん自慢のメニューは八代市民の胃袋をしっかりと掴んでいます。
「おかげさまで1ヶ月延の来店数は約300人くらい。昨年(2024年)の年末は仕込んだ出汁が12時まで持たない日もあるくらい、たくさんの方に来ていただきました。遅い時間帯でも『空いてますか?』って覗く方もいらっしゃるほど。少しずつではありますが、“かずおうどん”の存在が浸透してきているようで嬉しいです」
八代のナイトスポットに彗星の如く現れたニューカマー。食事もお酒も楽しめる「かずおうどん」、ぜひチェックしてくださいね。
取材・執筆/Komori Daigo
熊本県八代市本町1-3-30 ( Google MAP )
営業時間:
18:00~26:00(日曜定休)
TEL: 090-2089-8822