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暮しを楽しむの手帖
旅亭 半水盧#4 温故知新を大切にする古き良き旅亭として、これからも特別な滞在をお届けしていきたい

2022年に西九州新幹線が開通したJR諫早駅から車で55分、長崎の空の玄関口として多くの人々が利用する長崎空港からは車で70分。標高700メートルに位置する雲仙温泉郷に一足早い秋が訪れると、綾錦の山々による絶景がたくさんの観光客の目を楽しませています。

そんな紅葉の美しさを宿泊した部屋からでも存分に堪能できるのが旅亭 半水盧(りょていはんずいりょ)。5000坪という広大な庭園に植えられた紅葉樹と京の宮大工が手掛けた数寄屋造りの宿泊棟が作り上げる秋ならではの雰囲気は、ここでしか味わえない体験です。

最終回となる本記事では、前半に接客の心構え、後半に今後の展望をテーマにピックアップ。2024年7月にミシュランガイドの「1ミシュランキー」に掲載されたホットな情報と併せて、総支配人の小田俊隆さんにお話を伺いました。

※公式サイトより

14棟だけのハイグレードな宿泊施設だからこそ1組1組に寄り添った気遣いを

第2回、第3回の記事と客室や温泉、料理を紹介してきましたが、お客様を最初にお迎えする本館も素敵ですよね。

総支配人:本館は高い天井で開放感のあるエントランスロビーが特徴。2階には平成新山を望むことができる大会議室やレストランを備えており、会議やご宴会など幅広く利用していただけます。

お土産が購入できるショップは茶器やグラスなどが並びギャラリーのような雰囲気。

総支配人:半水盧オリジナル商品のほか、雲仙カステラや湯せんぺいといった雲仙・島原を中心とした長崎の銘品や工芸品など私共がセレクトした商品を販売しています。その中でもロングセラーなのが有田焼の「鳥の小汁次」。庭園から野鳥のさえずりが聞こえるような自然に囲まれた空間で、のんびりと過ごした思い出にお買い求めになるお客様が多いのかなと思っています。

※公式サイトより
お客様をお迎えするうえで心掛けていらっしゃることはなんでしょうか。

総支配人:お客様との程よい距離感ですね。5000坪という広さにたった14棟だけのハイグレードな宿泊施設だからこそ、1組1組に寄り添った気遣いをしていきたい。リピートしてくださったお客様にはできる限り同じ接客係が担当させていただくのも、ゆっくりと安心してお過ごししていただくおもてなしのひとつなんですよ。

実際に本館や庭園、お部屋を拝見させていただいて、スタッフの方々の細部まで行き届いた心づかいを感じました。

総支配人:例えば、室内や廊下に飾られているお花も全てスタッフが生けたもの。ただ単に季節に合わせた花の種類や色を選ぶだけでなく、お客様のことを思い浮かべながら形を整えていくことで、最上級のステータスにふさわしい空間を演出できると考えています。

※Instagramより

型にはまらず他にはない体験を。独自の個性と魅力を持った旅亭として海外に発信していきたい

1992年にオープンした旅亭半水盧。ご宿泊なさるお客様はどのような方が多いのでしょうか。

総支配人:国内旅行で雲仙を訪れるご年配の方や親子3世代でのご利用が多い印象ですね。離れ1棟を自宅のように使えるので、お盆やお正月、ゴールデンウィークといった長期休暇の時期はもちろん、紅葉が見頃となる秋の週末も多くのご予約をいただいています。

半水盧で30年働いていらっしゃる小田総支配人。これまでのお仕事の中で印象に残っている出来事があれば教えてください。

総支配人:そうですね…。かなり前の話になりますが、誰もが一度は名前を聞いたりことがある著名な海外スターの接客担当をしたことでしょうか。ご宿泊中に小浜に行ってみたいというご要望があったので私が車で送迎したのですが、通り慣れているはずの道をかなり慎重に運転したことを覚えています。

※Instagramより
少し話が変わりますが、今年(2024年)7月、ミシュランガイドのホテルセレクション『ミシュランキー』において「1ミシュランキー」として掲載されました。おめでとうございます!

総支配人:ありがとうございます。『ミシュランキー』は2024年4月にミシュランガイドが発表したホテルの新指標。レストランにおける“星”のようなシンボルなのだそうです。日本初のミシュランキーホテルは全国で108軒。数ある国内の宿泊施設の中から選んでいただけたのはとても光栄なことだと思っています。

最後に今後の展望をお教えください。

総支配人:雲仙・小浜エリアではモダンなホテルが増えてきていますが、私たちはこれからも自然と調和した古き良き旅亭として続けていきたいと思っています。そのために力を入れているのが海外の認知度を上げていくこと。経営母体である温故知新のインバウンド営業チームと連携しながら戦略を練ってPRをし、いろんな国のお客様が当館で贅沢なひとときを味わっていただけるよう頑張っていきたいですね。

※Instagramより

型にはまらず他にはない体験を提供している、独自の個性と魅力を持ったホテルに贈られる1ミシュランキー。ミシュランガイドの公式WEBサイトに掲載された旅亭 半水盧のページを覗いてみると、静謐な日本庭園を眺める離れ宿としてコンテンポラリーな上品さが高く評価されていることがうかがえます。

古きよき伝統を随所にちりばめながらも、今を生きている宿ならではの風通しのよさ。雲仙国立公園の雄大な自然に囲まれた至福のくつろぎに身も心も満たされる雲仙の名宿には、今日も特別な旅を楽しむお客様が訪れています。

取材・執筆/Komori Daigo

INFORMATION
旅亭半水盧

長崎県雲仙市小浜町雲仙380-1

営業時間:

チェックイン15:00、チェックアウト11:00

TEL: 0957-73-2111

URL:https://hanzuiryo.by-onko-chishin.com/