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熊本県八代市で2004年にオープンし、今年(2024年)10月に20周年を迎える「旬彩葉琉舟(しゅんさいはるしゅう)」。店主の吉田智司さんと妻・貴美子さんの二人で切り盛りしているまちなかの小さな居酒屋ながら、旬の食材を使った美味しい料理とお酒が味わえる人気店です。
「中学卒業後から料理人の世界に飛び込んだ主人でしたが、独立志向はほとんどなかったんです。この場所に自分たちの店を構えたのも、すごく良いタイミングでご縁をいただいたから。開業当時はお客様も少なくて不安も大きかったですね」
優しい表情を浮かべながら20年前のことを話してくださる貴美子さん。今回のインタビューでは吉田さんご夫婦で歩んできた20年を振り返りながら、旬彩葉琉舟のこれまでとこれからを伺っていきたいともいます。
貴美子さん:オープンしてから20年、今日まで無事に営業できているのもお客様のおかげこの地域に住んでいる方、職場が近い方、遠方からビジネスで来た方、観光客の方。いろんな人が足を運んでくださって、ウチの料理を「美味しい」と食べてくださることに感謝しています。
貴美子さん:一番影響があったのは熊本地震かな。店自体にほとんど被害はなかったんですけど、八代市役所が余震で倒壊するかもしれないということで閉鎖して新庁舎を建てることになったんですよ。当時はランチをやっていたのですが、市役所職員の皆さんが来られなくなるということで昼の営業をやめることにしたんです。
貴美子さん:そうですね。新庁舎ができたのをきっかけに2021年から水曜日だけランチを復活させたのですが、私が腰を痛めてしまって。元々が居酒屋なので主人と話をして「無理はしないでおこう」と、今は夜一本でやっています。
貴美子さん:コロナ期間中はしっかり感染症対策をとって申請して営業を続けていました。店は21時に閉めていましたけど「葉琉舟で食事をしたい」という常連さんがたくさんいらっしゃったので。大変な時期ではありましたが、通ってくださる皆さんのありがたさを再確認しましたね。
貴美子さん:主人と私の体が動く限りは葉琉舟を続けていきたい、というのが一番ですね。ウチは1軒目で来る居酒屋なので18時~21時がピークタイム。ふたりとも若くはないので、22時には閉店してしっかりと休息をとって翌日の営業に備えています。
貴美子さん:逆に言えば、健康なら何歳になっても続けられるのがこの仕事。常連さんからも「マスター、あんま飲みすぎんごとせんばよ。病気になったら食べに来られんくなるけんさ」と言われています。いつまでやれるかはわかりませんが、これからも体を気遣いながらやっていきたいです。
茜色の太陽が西の空に傾き始めた午後5時半。旬彩葉琉舟の看板に明かりが灯されると、それを待っていたかのように、ひとり、またひとりとオレンジの暖簾をくぐって店の中に入っていきます。
「ウチはSNSもやっていないし、広告宣伝もしていないんですけど新しい方が来てくださるんです。不思議に思って『どうやって調べたんですか?』って聞いたらGoogleの口コミやグルメ情報を発信しているSNSを見て選ばれたそうで。そういう投稿してくださるお客様がいらっしゃることが嬉しいですね」
開業から20年。旬の食材と真摯に向き合い、お客様へ安定して美味しい料理を提供し続けてきた旬彩葉琉舟。料理人としての矜持を胸に包丁を握る智司さんとそれを支える貴美子さんの生み出す雰囲気こそ、ここでしか味わえない最高の調味料なのかもしれません。
取材・執筆/Komori Daigo
熊本県八代市本町2丁目1-1 ( Google MAP )
営業時間:
17時30分~22時(日曜日)
TEL: 0965-32-8894