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皆さんは文化庁が認定する日本遺産に選ばれた「シュガーロード」をご存知ですか?シュガーロードとは長崎・出島から北九州・小倉までをつなぐ長崎街道のこと。江戸時代に大量に輸入された砂糖が運搬されたことで、その沿線ではカステラに代表される砂糖文化が花開いたと言われています。
そんなシュガーロードの宿場町のひとつである諫早市で、和菓子や長崎の郷土菓子などの製造・販売をしているのが「お菓子のかわた」。創業は昭和29年、70年の歴史を持つ菓子メーカーは季節が香る菓子作りを旗印に、今日もおいしい手づくりお菓子を提供しています。
そこで今回はお菓子のかわた3代目社長の川田行文さんへのインタビュー。地元の人なら誰もが知っているという老舗の歴史を紐解きながら菓子作りのこだわりを教えていただこうと思います。
川田さん:自分たちで作った生餅・せんべいや畑で育てた野菜なんかをリアカーに乗せて移動販売する行商のようなことをやっていました。朝から晩まで販売して、稼いだお金で必要な物を買って帰る。食事をしたら次の日の準備をして・・・。父の実家にはその名残で加工品の小さな工場があって、「じいちゃんはここで作っとったとよ」という話をよく聞かされていました。
川田さん:1980年代後半には車の普及による卸先の増加と昭和バブルによる好景気で事業が拡大。作れば作っただけ売れるというような時代だったので、人を雇うためにも広い工場が必要になったんです。そこで現在の場所に社屋兼工場を建て1990年に法人化。父が代表を務め、伯母や叔父とともに会社を切り盛りしていきました。
川田さん:そうですね。街のお菓子屋さんという位置づけで工場に併設してオープンしました。和菓子や郷土菓子だけでなくショートケーキやシュークリーム、バースデーケーキなんかも販売していましたね。そうそう、商業施設にテナントを出していたこともあるんですよ。
川田さん:季節の和菓子や郷土菓子などの卸売りをメインにしながら、生菓子・洋菓子の店舗販売で売り上げを伸ばしていく。当時、工場長だった叔父は洋菓子の作り方を学ぶために色んな所に勉強しに行っていたそう。そんな叔父が作り上げた味や調理方法は、現工場長の弟がしっかりと受け継ぎ、令和の時代も変わらぬ美味しさを届けています。
川田さん:当社が掲げているコンセプトは「季節が香る菓子づくり」。メインの和菓子は四季折々で商品が変わります。春なら桜餅、夏なら冷えた葛まんじゅう、冬になったら苺大福。召し上がっていただくことで季節を感じていただけるような、お客様の生活の片隅にあるお菓子になりたいなと思っています。
川田さん:「お菓子のかわた」でも丸ぼうろやかんころもち、かす巻などを製造販売しています。長崎って古くから砂糖文化があるのでお菓子の歴史が長いんですよね。ひなまつりには桃カステラ、端午の節句には餅粉を使用した鯉菓子。郷土菓子や名菓に力を入れるというのは地元の私たちだからできることではないでしょうか。
川田さん:諫早市内はもちろん、長崎市や大村市、佐世保市などにお住まいの方も当社の商品をご覧になったことがあると思います。それだけ広い範囲の多くのお客様に商品をとどけているということ。だからこそ、より一層の安心・安全とおいしさを追求していきたいと考えています。
川田さん:機械で全て自動化すれば楽だし大量生産できるんでしょうけど、ウチの商品を買ってくださっているお客様は手作りの味を求めていらっしゃるので。手作業で味をブラさないことが菓子職人としての醍醐味だと思いますし、何よりお客様への真心を込められる。これからも長く愛していただけるような商品作りをこれからも続けていきたいですね。
コンビニやスーパーに行けば多種多様なスナック菓子やスイーツが手に入る現代。便利になった時代だからこそ和菓子や名菓の魅力を自分たちの創意工夫で若い世代に届けたい、と川田代表は話します。
「高来町の直営店に足を運んでくださる常連さんの多くは地域に住む中高年の方々。そういったお客様に満足してもらえる菓子づくりに勤しむ一方で、若い方にも親しみを持ってもらおうとInstagramで製造過程の動画を公開しているんですよ」
2023年のリニューアルでは店内に「かりんとう饅頭」のオープンキッチン設置。フライヤーの中でこんがりと色づいていく「かりんとう饅頭」を見ていると、大人も子どももワクワクすること間違いなし!揚げたてを味わえるイートインスペースもありますので、ぜひ、出来立て召し上がってみてくださいね。
取材・執筆/Komori Daigo
長崎県諫早市高来町下与170-25 ( Google MAP )
営業時間:
9:00~18:00(月曜/ただし祝日の場合は営業)
TEL: 0120-322-414