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昭和53年(1978年)にオープンした諫早市の「レストラン羅甸」。看板メニューのトルコライスを求めて地元の方々はもちろん、全国海外からのお客様も来店するという老舗洋食レストランで、店長を務めているのが隈部律子さんです。
お父様がこの店の常連だったこともあり、子どもの頃から社長とは家族ぐるみの付き合いだったという隈部さん。学生時代のアルバイトに始まり若くして店長を任されるなど、公私ともに社長との信頼関係を築いてきました。
そんな隈部さんも10年ほど前に家庭の都合で転職。持ち前の明るさと人懐っこさで営業職としてキャリアを積んでいましたが、今年(2024年)1月にレストラン羅甸の店長として復帰を果たされました。その復帰の経緯を紐解いていくと、隈部店長のレストラン羅甸に対する深い愛を伺い知ることができました。
隈部さん:数年前から社長に「戻ってきてくれんか」とお誘いをいただいていたんです。話をお聞きすると「自分も高齢になってきて後を任せられる人がいない」と。社長が20代でオープンしたこの店を今後も継続していきたいという想いにふれたのがきっかけでした。
隈部さん:もともと「60歳過ぎて定年退職したら復帰しようかな」とぼんやり考えてはいたんです。前の会社で働いている時もたまに羅甸の相談に乗ったりしていたので。ただ、社長が本気でこの店を閉めようかどうか悩んでいる姿を見て「これはタイムリミットが近いかもしれない」と感じ、前の会社を退職させてもらいました。
隈部さん:子どもも自立しているので、ちょっと早いけど余生は楽しみながら過ごせたらなと。お客様とコミュニケーションをとるのが好き。新しいメニューを創作するのが好き。そういった私の個性が活きるのはやっぱり羅甸だなと思ったのも大きいですね。
隈部さん:店長として復帰したからには前職の経験も活かしながら最大限の努力をしていきたいと考えています。羅甸は諫早に必要な場所なので絶対に残したい。社長はじめ、地域の常連さん、遠方からくる観光客の方が安心できるように、この店をもっと盛り上げていきたいです。
隈部さん:売上も人気も右肩上がりで突き抜けるくらい、この地域で一番のお店にすること。そのためにも「美味しい」だけじゃなく「楽しい」「また来たい」と感じていただけるような元気で明るく魅力のあるお店にしていきたいですね。
隈部さん:最近は飲食店の2極化が進んでいます。ひとつは綺麗でおしゃれな店。料理も店舗も映える反面、良くも悪くも接客がマニュアル化されているように感じますね。もうひとつは福岡の屋台のような人情味のある大衆的なお店。昭和の喫茶店をルーツに持つ羅甸はまさに後者なので、そういうイメージをもっともっと出していければと思います。
隈部さん:夕方~夜の勤務に入ることが多いので、店内が落ち着いている時はカウンターのお客様を中心にお話しさせていただいていますね。私、どんな人とでもすぐに友達になっちゃうんですよ。以前、お仕事で愛知から来たお客様は、その後、プライベートで5回くらいご家族と一緒にいらっしゃって。わざわざ遠方からこの店を目的に来てくださる方が多いので本当に嬉しいですよ。
隈部さん:長崎県は今、100年に一度の大きな変革期。諫早も西九州新幹線が開通し、少しずつ様変わりしているように感じます。だからこそ、この場所で半世紀近くやってきた老舗レストランとして微力ながら地域の活性化に寄与していきたい。夢は大きく、世界中の人が来たくなるお店。そのためにも羅甸の魅力、諫早の魅力をもっと発信できればと思います。
時に真剣な眼差しで、時にチャーミングな表情で、ご自身が持つレストラン羅甸と諫早への想いを語ってくださった隈部店長。インタビューが終了してカウンター席で隈部店長と話していると、ご夫婦で来店されていたお客様が声をかけてくださいました。
「私たち、羅甸さんのトルコライスが一番好きでよく通っているんです。普段はなかなかゆっくりお話を聞く機会がないのですが、インタビューされている内容が偶然耳に入ってきて。この店の歴史や店長の想いが知れてすごくよかった。ますますファンになりました」
その言葉を聞いて笑顔でお礼を伝える隈部店長。まるで草木を優しく照らす春の太陽のように朗らかなお人柄が、これからも続くレストラン羅甸の明るい未来を象徴しているかのようでした。
取材・執筆/Komori Daigo
長崎県諫早市貝津町1659−1 ( Google MAP )
営業時間:
11:00~21:30(第1月曜定休)
※平日15:00~17:00は休業
TEL: 0957-26-4713