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長崎県央に位置し、古くから交通の要衝として栄えてきた長崎第3の都市・諫早。市内を南北に走る長崎自動車道と東西に走る国道204号線が交わる諫早インターチェンジの近くに、創業から半世紀近くが経つ老舗の洋食レストランがあります。
「レストラン羅甸」。1978年に喫茶店として誕生し、現在は美味しいトルコライスの店として諫早市民はもちろん、観光客からも注目されている名店です。
「私の父が常連だったので、子どもの頃からこの店のことは知っています。オープンした当時、社長は20代。そう考えると半世紀近く家族ぐるみでお付き合いさせていただいていることになりますね」と教えてくれたのは店長の隈部律子さん。そんな隈部店長にレストラン羅甸の歴史についてお話を伺いました。
隈部さん:当時は全国的な喫茶店ブーム。この店も最初は喫茶店としてオープンしたんですよ。メインはサイフォン式で淹れたコーヒーとプリンが乗ったフルーツパフェ。食事メニューはミートソースパスタやピラフのような軽食で今ほど多くなかったように思います。
隈部さん:朝はモーニング、夜も深夜0時くらいまで営業していたかな。この店の近くに工業団地があるんですけど、昔はそこで働いている人が常連だったんですよ。作業着を着ている人が店の前に列を作っていた時代もあって・・・。トルコライスを始めたのもちょうどその頃でした。
隈部さん:確か、人気の高かったピラフの派生メニューとして「長崎名物だし出してみようか」ということになったのが羅甸のトルコライスのはじまり。それが常連さんたちから熱烈な支持を受けて、今では40年以上続く看板商品になりました。
隈部さん:羅甸というのはラテン系とかラテン民族を表すLatin(ラテン)の漢字表記なんです。名前にそこまで意味はなくて、若かりし頃の社長がヨーロッパ旅行をした時に「いいな」と思った店の名前がラテンだった。それでこの店を作るときに設計士に相談すると「漢字で書けるよ」という提案があって羅甸という屋号に決まったそうです。
隈部さん:地元のお客様はご家族連れからカップル、シニアまで幅広い年齢層がいらっしゃいます。あとはビジネスマン。この近くで働く人はもちろん、遠方から営業や機関のメンテナンスのために出張でホテルに宿泊されている方も滞在中はリピートしていただくことが多いんですよ。
隈部さん:そうなんですよ。北は北海道から南は沖縄まで日本各地から来てくださいます。インターネットの口コミを見て、この店を観光のひとつの目的にしてくださるのが本当にありがたい。そうそう、諫早インターが近くてアクセスが良いからか外国人旅行客の方もたくさんいらっしゃいますね。
隈部さん:1つはお客様に満足していただけるメニューを提供することです。ウチは50年くらい続いている店なので、シェフが作る料理の美味しさは折り紙付き。それに慢心することなく、流行や売上データを基にしてメニューを時代にあわせて進化させていくことが大切だと考えています。
隈部さん:もう1つは接客。飲食店って料理の味と同じくらい店の雰囲気やスタッフの態度が重要なんです。接客が良ければ料理の美味しさは10倍になるし、悪ければ料理の評価も下がってしまう。だからこそ、これからもお客様が「羅甸に来て良かったね」と感じるような料金以上の付加価値を提供していきたいですね。
個人経営の店だから発揮できる個性がウチの強みじゃないかな、とほほ笑む隈部店長。レトロとモダンがうまく融合した店内を見渡すと、名物のトルコライスを味わったり、コーヒーを飲みながら談笑したりと、お客様が思い思いに過ごしています。
「ご家族やグループ、カップル、お一人様・・・。どんなお客様がいらっしゃっても大切にしているのはリラックスして過ごしていただける雰囲気づくり。私はどちらかというと壁を作らないタイプなので、程よい距離感を保ちつつフレンドリーに接するようにしていますね」
諫早の老舗洋食レストランとして注目を集めているレストラン羅甸。次回は、そんなレストラン羅甸の看板メニューであるトルコライスと創業から続けているサイフォンで淹れたコーヒーの食レポです。ぜひご覧くださいね!
取材・執筆/Komori Daigo
長崎県諫早市貝津町1659−1 ( Google MAP )
営業時間:
11:00~21:30(第1月曜定休)
※平日15:00~17:00は休業
TEL: 0957-26-4713