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島原半島の付け根に位置する諫早市宗方町。自然豊かな森の中に建てられた豚舎の中で、食用のブランド米「にこまる」と多良山系の地下水を与えられてスクスクと育っているのが諫早のブランド豚「諫美豚(カンビトン)」です。
「長崎の穀倉地帯である諫早で美味しい米を食べて育った豚ということで『諫美豚』。諫早の『諫』という漢字のつくりには“米”が隠れているので、これはいいなと思ったんです」
そう話すのは株式会社土井農場の代表・土井賢一郎さん。豚の健康にこだわる土井農場では、毎日の毛並み・生育状態のチェックだけでなく、米収穫後の藁やもみ殻を活用して飼育環境を整備しています。そこで今回のテーマは「諫美豚ってどんなお肉?」。安心安全な豚肉を食卓へお届けするために探究を続ける土井農場の看板商品にフィーチャーしていきますよ。
土井さん:まず、ウチで飼育している品種は三元豚と黒豚(バークシャー)。自社栽培したブランド米・にこまる(全国食味ランキングで最高ランクの特Aに輝いた米の品種)を餌として与えることで、安全安心で美味しい諫早のブランド豚・諫美豚を生産しています。
土井さん:諫美豚は一般の豚と比べてオレイン酸が豊富。また、甘みの強い脂肪はとろけやすく冷めても柔らかいという特徴があります。豚独特の臭みも少なく、香り豊かでジューシーな味わいが楽しめるのも米豚ならでは。その美味しさは長崎県県央振興局農林部の試験でも高い評価を受けているんですよ。
土井さん:プレミアム100は配合飼料を一切使わず、諫早で栽培された米(にこまる)と食用大豆(フクユタカ)だけを与えて育てています。諫美豚が一頭当たり約70kgの米を食べるのに対し、プレミアム100は1頭当たり200kg。その味わいは、プロの厳しい目と舌で審査する食品の品評会「料理王国100選2019」に選ばれるなど高い評価をいただいています。
土井さん:黒豚は平成30年から飼育を始めました。きっかけは「諫美豚で世界一のブランド豚を目指す」という目標を掲げたこと。三元豚に比べると生まれる個体数が少ない上に生育も遅いので生産性は高くないのですが、黒豚という品種は本当にうまいんですよ。
土井さん:関東のお店で諫美豚を食べたシェフの方から「自分の店でも使いたい!」と連絡が入ったり、豚肉は使わないと仰っていた日本料理店にサンプルを送ったら非常に気に入ってくださったり・・・。日々、食材と向き合う調理のプロから高く評価していただけるのは本当にありがたいです。
土井さん:生肉の弱みは賞味期限の短さ。諫美豚を全国・世界の消費者へ届けるためには、保存期間が長くオンライン販売に適した加工品が必要だと考えました。諫美豚100%で保存料・着色料・化学調味料を一切使わないという安心・安全の美味しさがより付加価値を高めることになると思ったんです。
土井さん:2週間塩水に漬け込んだ諫美豚を約9時間かけて直火で低温燻製するという伝統的なドイツ式製法(手作り直火燻製)で作られた生ハムは、部位の特徴を最大限に生かした素材の美味しさに加え、加工品ならではの奥ゆきと余韻を楽しめる一品となっています。
土井さん:新鮮で美味しい商品をお届けするために生産直売形式をとっています。商品のご購入は諫早市高城町の直売店またはオンラインショップで可能。また、長崎県内には諫美豚を使ったメニューを提供している飲食店もありますので、ぜひそちらも召し上がっていただけたら嬉しいです。
諫美豚を安心・安全・おいしさの3拍子揃った世界一のブランドにするべく、スタッフ一丸となって日々努力を重ねている土井農場。その背景には「日本の農業をなんとかしたい!」という代表の大きな信念があります。
「日本では米の消費量が減少し続けていますが、食糧自給率のことを考えれば米農家は絶対に守らなければならないんです。じゃあ、どうするか。消費者が食べないのであれば家畜に食べさせる。そうすれば米農家は定期的な収入が見込めるし、畜産農家は上質な肉が作れるわけです。国際競争の中において地域全体で農業を守っていく。その1つの方向性を諫美豚は見いだせるんじゃないかと思っています」
人間が食べる米を与えて育てた「諫美豚」。その甘くて優しい味わいは、これからもたくさんの人を笑顔にしていくことでしょう。
取材・執筆/Komori Daigo
長崎県諫早市高城町8-10 ( Google MAP )
営業時間:
10:00~17:00(定休/日・祝)
TEL: 0957-22-2983