キーワード検索

閉じる

暮しを楽しむの手帖
旬彩丹波#4 母が20年に渡って育ててきたこの店を守り続けていきたい

閑静な住宅街から一歩足を踏み入れるとまるで高級料亭のような雰囲気を感じることができる「旬彩丹波」。創業者である丹波久美子さんが自宅を改装し2003年にオープンしました。

門扉から玄関まで敷石でいざなう10メートルほどのアプローチ。化粧砂利が敷き詰められ両サイドには立派な松が並んでいます。玄関にたどり着くと「旬彩丹波」と書かれた木の看板がお出迎え。日本家屋を改装して作られたという広々とした座敷からは、四季折々の表情を見せる庭園を眺めることができます。

美味しい家庭料理とゆったり過ごせる空間が話題となり、20年間営業を続けてきた「旬彩丹波」。2代目として店を切り盛りしている浜田愛子さんに、創業からの歴史を振り返りながら「旬彩丹波」のこれまでとこれからをお話しいただきました。

コロナ禍で感じた「弁当は丹波に頼もう」と選んでもらえる店になれた喜び

オープンして20年が経ちました。これまでに印象的だったエピソードを教えてください。

浜田さん:やっぱりコロナの時期は大変でしたね。ランチ、宴会、法事、お祝い事。それまで当たり前だった誰かと一緒に外食をする機会が制限されたわけですから。ただ、不幸中の幸いで昔から弁当も承っていたので、「弁当ば配るけん、上等かとば作ってください」といったご注文は多くいただきました。

法事やお祝い事で集まれない代わりに豪華なお弁当を配りたい、という方がたくさんいらっしゃったわけですね。

浜田さん:その通りです。お客様の気持ちに寄り添って喜ばれる料理を作るのはもちろん、接客ができない代わりにひとつひとつ丁寧に包んでいました。本当に大変な時期でしたが、その中で「お弁当は丹波さんに頼もう」と思ってもらえる店になれたと実感することができましたね。

ランチ、ディナーともに予約制の旬彩丹波。どんなお客様が多いのでしょうか。

浜田さん:ランチは女性グループでのご利用が多いですね。季節によって変わる庭園の草花を眺めながらゆったりおしゃべりしていらっしゃいます。反対に夜は男性のお客様が多い印象。近くに市役所や病院があるので、宴会などにもよく利用していただいています。

接待でもよく利用されると聞きました。

浜田さん:そうですね。最近は外国人の方の接待でご予約されることも多いんですよ。海外からいらっしゃった方って伝統的な日本家屋や庭園、日本の家庭料理に興味があるのか、日本人よりもすごく満足した表情でお帰りになられるんですよ。

今後の展望を教えてください。

浜田さん:母が自宅を改装して創業し、20年間育ててきたのがこの「旬彩丹波」。娘としてこの店を守り続けていくのが一番の目標です。

お母様の想いを継いでいきたい、と。

浜田さん:例えば、料理の内容と料金はオープンからずっと据え置きなんですよ。最近はいろんなものが値上がりして、お客様から「金額あげたら?」「品数減らしたら?」と仰っていただくこともあります。でも、大切にしたいのは「同じ人に同じ料理を出さない」という母の想い。そのためにも、工夫を重ねながら「旬彩丹波」の看板を守っていきたいと思っています。

浜田さんに「八代の良いところってなんですか?」と尋ねると、「おまつりごとの多さですね。でも旬彩丹波をオープンしてからはあんまり行けなくなっちゃいましたけど(笑)」という回答が。

確かに八代では、ユネスコ無形文化遺産に登録されている「妙見祭」(11月)や全国有数の花火師が競い合う「やつしろ全国花火競技大会」(10月)、城下町の歴史を感じる「やつしろのお雛祭り」(2~3月)など全国的にも有名なイベントが目白押しです。

生まれ故郷を愛し、母が作った店を愛す浜田さん。「完全予約制と聞くと敷居が高い感じがするかもしれませんが、気軽にお越しいただければ嬉しいです」とほほ笑みます。季節の移り代わりを旬の食材を使った美味しい家庭料理で感じることができる旬彩丹波。大切な家族や仲間とゆったり過ごす場所としてぜひご利用ください。

取材・執筆/Komori Daigo

INFORMATION
旬彩丹波

熊本県八代市緑町12-5 ( Google MAP

営業時間:

昼11:30~14:30/夜17:00~22:00(月曜定休※祝日の場合は営業)

TEL: 0965-34-2188