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大村市に2000年にオープンし、農産物直売所やレストラン、農業体験教室、収穫体験、農家民泊など多角的な事業展開で年間約50万人が訪れている「おおむら夢ファーム シュシュ」。20余年にわたり都市と農村の交流拠点施設として地域活性化と人材育成を図ってきた取り組みは高く評価されており、令和3年度の農林水産祭多角化経営部門において天皇杯を受賞しました。
そんなシュシュが掲げる理念が『1次産業(農業生産)、2次産業(加工)、3次産業(販売・サービス)の一貫性を確立した掛け算の6次産業を目指す』こと。さまざまな事業を行っているシュシュの中で、地元の食材を使った加工食品の製造を担っているのが「農産物加工センター」です。
今回、お話を伺うのはおおむら夢ファーム シュシュ農産物加工センター長の井上美由紀さん。設立当初からシュシュに関わってきたという井上さんに、加工センターの役割をお伺いしました。
井上さん:やっぱり有名なのは大村発祥の特産品・黒田五寸人参。他の人参に比べて甘みがあって柔らかいのが特徴です。それからシュシュがある福重地区は、郡岳の麓という土地を生かして和梨やぶどうを栽培している農家さんが多い。昔から収穫体験が出来る観光農園が盛んで“フルーツの里”とも呼ばれているんですよ。
井上さん:シュシュは地元の有志8人が集まって作った小さな直売所からスタートしています。最初は地域で採れる農産物の販売だけでしたが「次はジェラートをやってみよう」ということで大村産の果物や野菜を使ったアイス工房をオープン。私がシュシュに関わり始めたのもちょうどその時期なんですよ。
井上さん:それから2年ほど経ち、地域密着型のアグリビジネスを展開しようということで直売所、アイス工房、パン工房、洋菓子工房、レストランといった施設を有する「おおむら夢ファーム シュシュ」を立ち上げ。生産、加工、販売・サービスを包括した農業の6次産業化を目指す企業としての第一歩を踏み出しました。
井上さん:当時、農家にとって大きな課題だったのが規格外の作物。味は同じなのに少しの傷や変色で流通できず廃棄処分していた野菜や果物をなんとか有効活用できないか、という農家の方々の声に応える形で農産物加工センターを設立しました。
井上さん:とはいえ、最初は加工の技術もノウハウもない状態だったので研修に行ったり作物のことを勉強したりしながらのスタートでした。規格外の野菜や果物とはいえ、愛情込めて農家の皆さんが育ててくださったものだからこそ「よりよいものにしたい」「無駄にはできない」という想いでやってきましました。
井上さん:主に製造しているのは長崎県産品を使用したジュースやジャム、ジュレ、ドレッシングなど。商品は施設内の直売所「新鮮組」やオンラインショップで販売しています。
井上さん:あとはシュシュの他の施設で使用する材料も加工しています。例えば、ジェラートにする前の段階まで加工センターで作っていたり、長崎新幹線開業記念で商品化した「かもめプリン」のジュレを加工して渡したり・・・。ウチにある機械でやれるものは一手に引き受けるという感じですね。
井上さん:いやいや、個人的にはトライ&エラーを繰り返しながら10年くらい経って、やっとスムーズにいくようになった、というのが本音ですね。まだまだ自分たちが思い描いたようにならなかったり、もっと美味しくできるんじゃないかと感じたりすることも多いので、スタッフ一丸となってこれからも勉強を重ねていけたらと思います。
2009年の稼働時には3名だったスタッフも、現在は井上さん含めて6名に増員された農産物加工センター。シュシュ施設内のレストランや直売所、各工房と異なりお客様と直接お話をする機会の少ない製造業務に従事する加工センターの皆さんが糧にしているのが購入者から時折届くメッセージです。
「直売所でご購入いただく方はもちろん、オンラインショップで全国各地からご注文いただくお客様から『すごくおいしかったよ』『気に入ったのでまた買いました』という言葉をいただくのが私たちにとって大きなエネルギー。そういった手紙やメールはセンター内に張り出して、スタッフみんなで元気をいただいています」
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取材・執筆/Komori Daigo
長崎県大村市弥勒寺町486 ( Google MAP )
営業時間:
年末年始及び1・2・6・7・11月の第3水曜日
TEL: 0957-48-5582