閉じる
長崎県諫早市上町
2026年1月、長崎県諫早市上町の八坂神社前。歴史ある街並みの一角に、温かな灯をともす一軒の焼肉店が誕生しました。その名は「焼肉八屋」。カウンター10席、テーブル4席という、まるで隠れ家のような心地よい空間が印象的なお店です。
焼肉八屋をプロデュースしたのは、地元で建築・不動産業を営むミヤマディベロップメント株式会社。なぜ、住まいのプロが「食」の場を創り出したのか。代表の山本道雄さんに、オープンまでの物語を詳しく伺うと、そこには建築士としての矜持と一人の息子としての温かな想いがありました。

山本さん:当社は2012年にここ諫早で創業し、一般建築と不動産業を柱として活動してきました。私たちの最大の強みは、不動産探しからリノベーション、新築の設計・施工までをワンストップでサポートできる点にあります。
単に建てるだけでなく、暮らしの質をどう高めるか。その姿勢を地域の方に知っていただくきっかけとして、泉町の事務所には『建築図書館』というカフェ風のスペースも併設しているんですよ。
山本さん:きっかけは大きく分けて二つあります。一つは、私自身の「建築士としての挑戦」です。これまで長年、数多くの店舗設計に携わってきましたが、いつかは自社の技術を余すことなく形にできる、直営のモデル店を作りたいという構想を温めていました。
ちょうど3年ほど前、ご縁があって上町の古民家を購入することになり、「ここなら、本業であるリノベーションの可能性を最大限に表現できる!」と確信したのがプロジェクトの始まりでした。飲食店経営がメインではなく、古い建物の価値をどう現代に再生させるか、その証明の場でもあったんです。
山本さん:もう一つは母の存在です。私の母は長年、自営で飲食店を切り盛りしてきた根っからの商売人でして。高齢になり一度は引退したのですが、70歳を過ぎてもなお「また元気に働きたい」という情熱が消えていなかったんですよ。
そんな母の姿を見て、「それなら、お袋がもう一度輝ける場所を俺が作ろう」と決めました。母のこれまでの経験を活かし、生きがいを感じられる場所を作ること。それが、リノベーションという私の仕事を通じてできる恩返しだと思ったんです。

山本さん:母と私の妻の二人体制で運営することを考慮し、母の負担を抑えつつ、お客様に満足いただける形を模索した結果ですね。
焼肉という業態は、仕込みの段階でしっかりと準備を整えれば、営業中の調理負担が少なく、おいしい料理を提供できます。また、カウンター主体にすることで、母がお客様との会話を楽しみながら、目配り・気配りができる距離感にこだわりました。無理なく、でも情熱を持って続けられる。そんな持続可能なスタイルを目指したんですよ。
山本さん:自社物件ということもあって、本業の手が空いたタイミングで少しずつ、大切に工事を進めました。通常の店舗なら2〜3ヶ月で仕上げるところを、結果として2年ほどかかりましたね。
でも、その分、設計の細部まで徹底的に突き詰めることができました。現場の大工さんたちにとっても、普段の請負仕事とはまた違う、職人としての高度な技術を存分に振るう修行の場のような時間になったと感じています。
山本さん:本当にありがたいことに、近所の方からもよく声をかけていただきました。「上町でずっとリフォームしているけど、一体何ができるの?」って不思議がられたりして(笑)。
特に外観については、以前の古びた状態を知っている方々から「こんなに素敵に変わるなんて!」と驚きの声をいただいています。プロの視点で古い建物の価値を再定義し、街に新しい風景を作る。その手応えをオープン前から感じられたことは、大きな自信になりましたし、光栄なことだと思っています。

ミヤマディベロップメント株式会社の卓越した技術と、山本代表の家族を想う温かな心が結実した焼肉八屋。商業建築のプロが本気で向き合うことで、築70年の古民家は、諫早の街に新たな活気をもたらす交流の拠点へと鮮やかに生まれ変わりました。
同社のInstagramでは、驚きのビフォーアフターを画像や動画で公開しています。古い建物が持つ可能性と職人のこだわりをぜひ覗いてみてください。
次回は、焼肉八屋の「空間デザイン」に込められた、建築士ならではの緻密なこだわりを深掘りします。どうぞお楽しみに!
取材・執筆/Komori Daigo

長崎県諫早市上町1-2 ( Google MAP )
営業時間:
17:30~(不定休)
TEL: 0957-33-9132