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長崎県諫早市貝津町
利便性の高い交通網とさまざまな都市機能を持ちながら、豊かな自然とのバランスが取れた諫早市中央エリア。子育て世代から高齢者まで幅広い年齢層の市民が暮らす閑静な住宅街の一角に、地域の人が足しげく通う手づくりパン屋さんがあります。
そのお店の名前は「namipan(ナミパン)」。交通量の多い国道207号から1本入った路地裏の小さなお店ながら、オーナー・並川千寿子さんが手がける豊富な種類のパンの美味しさが話題を呼び、2024年のオープンから1年足らずで人気店の仲間入りした注目のお店です。
「開店する日は4時から生地を作ってます」と笑う並川さん。ショーケースに並ぶパンと同じくらい“ふんわり”とした雰囲気が印象的な並川オーナーに、パンづくりに興味を持ったきっかけやパン屋を開くことになった経緯などを伺いました。

並川さん:もともとお菓子作りが好きで自宅でよく作っていたのですが、30代半ばころに「パンを作ってみようかな」と挑戦してみたのがきっかけ。パンづくりっていろんな工程があるんですけど、特に発酵にすごく興味をそそられました。気温や湿度、分量が少し違うだけで膨らみ方が全然違うので、生地が生きている感じがとてもおもしろかったんです。
並川さん:そうなんです。当時は会社勤めをしていたので、毎日帰ってきてから生地を仕込んでは夜中までキッチンでぺったんぺったんやって。気づけば毎日のようにパンを焼いていましたね。だから、その頃の朝食はほぼ私の手づくりパン(笑)。主人や子どもたちも「美味しい」といって食べてくれていたのですごくやりがいがありましたね。

並川さん:大体10年くらいです。いろんなパンを作れるようになりたい!と、パン教室に通ったりオンラインでレッスンを受けたり…。あとは、パン職人さんのYoutubeチャンネルもすごく参考になりましたね。最初はベーグルから始まって、次第に「あれも作ってみたい、これも作ってみたい」と挑戦するうちに、いろいろな種類のパンを美味しく作れるようになっていました。
並川さん:好きすぎて作りすぎてしまっていたんですけどね(笑)。それで、友人にもおすそ分けしていたんですけど、ある時、「マルシェに出てみたら?」と勧められて。良い経験なるかなと思って出店してみました。家族や知り合い以外の方に食べてもらうのは初めてだったので緊張したのですが、購入してくださったお客様が「美味しかったよ」と言ってくださって、すごく自信を持つことができました。

並川さん:実は開業しようと思って会社を辞めたわけではないんです。コロナ禍で家族と過ごす時間が長くなる中で、子育てに重点を置きたいというのが退職の大きな理由でした。そんな時、たまたま自宅の隣の土地がすごく安く手に入って。簡易的なパン工房を建てたら、もっと色んなパンが作れるようになるなと思ったんです。
並川さん:はい。主人も「退職して時間もあるし、いいんじゃない」と言ってくれたので、一緒に計画を進めていました。そしたら、主人から「せっかくならパン屋にしちゃえば?」みたいな意見が出てきて。私は「そうかな?」くらいの感覚だったのですが、あれよあれよという間に話がまとまって、建設会社も紹介していただき、当事者の私が驚くくらいトントン拍子で話が進みました。

並川さん:もう高校生なんですけど、「お母さん、パン屋さんするの!?」と目を輝かせながら後押ししてくれましたね。正直、右も左もわからない状態からのスタートだったのですが、オーブンなど必要な機材や道具は有名パン職人がYoutubeで紹介しているものを参考に調達。建設会社の方も「こんな店にしたいな」というイメージを汲み取ってくださり、素敵な店舗に仕立ててくださいました。
並川さん:おかげさまで上々ですね。大好きなパンづくりが毎日できてとても充実しています。ただ、パン屋は思っていた以上に体力勝負。何より店舗経営が初めてだったので、最初は「大変な事業に手を出してしまった…」と落ち込むこともありました。そんな私を温かく支えてくれたのが家族やスタッフ。少しでも恩返しできるように、これからもっと成長していきたいですね。

大好きなパンづくりという趣味が高じて、パン屋を開いた並川オーナー。そんな彼女に「namipanをどんなお店にしていきたいですか?」と尋ねると、にっこりとほほ笑みながら未来予想図を教えてくださいました。
「将来は、昔の駄菓子屋さんのような“地域に寄り添うパン屋さん”になりたいですね。学校帰りの子どもたちがおこずかいを握りしめて『パンのおばちゃん、今日は何が残ってる?』と笑顔で扉を開ける。そんな誰でもふらっと気軽に入って来られるような場所になれたらいいなと思っています」
次回はnamipanのさまざまなこだわりについてレポートします。お楽しみに!
※店舗に駐車スペースはありますが、道路は乗用車1台分ほどの幅なので大きい車や運転が不安な方は徒歩2分ほどの場所にある専用駐車場をご利用ください。専用駐車場の場所はこちら。
取材・執筆/Komori Daigo

長崎県諫早市貝津町2989-2 ( Google MAP )
営業時間:
11時~16時(完売次第close)
※定休日:木・日
TEL: 080-6344-3865