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長崎県大村市東本町
JR大村駅から徒歩5分。住宅地の小さな路地に、地域の方々から20年以上に渡って愛されている沖縄料理と焼肉のお店があります。名前は「オキナワ食堂ガチマヤー」。昼はお弁当とお惣菜、夜は黒毛和牛の焼肉と心のこもった居酒屋メニューが楽しめる大村の小さな名店です。
切り盛りしているのはオーナーの松尾笑子さん。もともと大村で暮らしていた松尾さんですが、結婚を機に沖縄へと移住。20数年にわたり沖縄で居酒屋を営んだ後、2002年に故郷にUターンしてガチマヤーの前身となる「ゆいまーる」をオープンさせました。
創業から20周年を迎えた2022年に屋号を変更し、新たな一歩を踏み出した「オキナワ食堂ガチマヤー」。今回のインタビューでは、松尾オーナーの半生を伺いながら、ゆいまーるから続く同店の歴史を改めて紐解いていきたいと思います。
松尾さん:大村に戻ってきたのは50代の頃。両親が高齢になってきたこともあり、「自分の足腰が丈夫なうちに」と帰郷を決めました。沖縄で居酒屋を経営していたこともあり、大村でも飲食店を始めようと考えていたところ、池田町に3年半ほどで閉店した焼肉店の居抜き物件があると聞きまして。厨房設備もひと通りそろっていたので、初期費用を抑えてスムーズに開業できると考えたんです。
松尾さん:そうなんですよ。お肉に関しては全く知識がない状態からのスタート。最初はカルビとロースの違いもわからなくて失敗もたくさんしました。当たり前ですよね。沖縄ではアメリカ産の牛肉くらいしか食べたことがない人間が和牛のことなんて分かるはずもありませんから。そんな試行錯誤を繰り返す中で、お店を支えてくれたのが自衛隊の方々でした。
松尾さん:自衛隊って沖縄への配属される方が多いでしょう。だから、沖縄の方言である“ゆいまーる”という看板を見て興味を持ってくださったんです。沖縄の家庭料理も提供していたこともあり、「本場の懐かしい味が楽しめる」と口コミで評判が拡散。少しずつ経営も軌道に乗り、2店舗目として居酒屋「ゆいまーる2号店」(現・ガチマヤー)もオープンしました。
松尾さん:ちょうどその頃、さまざまな事情が重なって移転を考えていたので、すごく良いタイミングでしたね。池田の店を閉めてスタートした「ゆいまーるサンスパ店」もたくさんのお客様にご愛顧いただいて約10年営業。観光客にオススメしたい長崎県内の飲食店に認定していただくなど、リーズナブルで美味しい和牛焼肉店として高い評価を受けていましたね。
松尾さん:最大の理由はコロナ禍。なかなか事態が収拾しない中、ゆいまーる2号店では店舗に隣接する倉庫を改装して弁当販売をスタートさせました。サンスパ店のランチと併せてそこそこ繁盛していたのですが、肝心要の夜営業は2店舗とも閑古鳥。私も70歳を越えていましたので、今後の経営について考えるようになり、ゆいまーる2号店に一本化して規模を縮小することを決意したんです。
松尾さん:そんな折、知人からサンスパ店を買い取りたいという申し出があり、良い潮時だということで譲渡することに。20周年を越えて新しい挑戦を始めるということで、心機一転、店舗名も「オキナワ食堂ガチマヤー」に変更することにしました。これからも心のこもったお料理をリーズナブルな価格でお腹いっぱい召し上がっていただけるように頑張っていきたいですね。
オキナワ食堂ガチマヤーになって約2年。喜寿を迎えてますます元気な松尾オーナーのもと、昼はお弁当、夜は焼肉と沖縄料理の店として大村市民からの支持を集めています。そんな松尾さんに仕事をするうえで大切にしていることを尋ねるとこんな答えが返ってきました。
「うちのコンセプトは“ゆいまーる”で開業した頃から変わらず、『たくさん食べて飲んで騒いで楽しんでもらう店』。自慢のA4~5ランクの黒毛和牛はもちろん、心を込めた沖縄の味を提供しています。来店してくださるお客様への感謝の気持ちを忘れず、これからもおひとりおひとりの笑顔を大切にしていきたいという想いが一番です」
次回は「オキナワ食堂ガチマヤー」のこだわりと自慢の沖縄料理について、さらに深く伺っていきます。お楽しみに!
取材・執筆/Komori Daigo
長崎県大村市東本町576 ( Google MAP )
TEL: 0957-54-1450