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長崎県諫早市高城町
古くから自然豊かな交通の要衝として栄えた長崎県諫早市。県内唯一の一級河川・本明川の南側に広がる市内中心部の商店街エリアには、さまざまな飲食店が軒を連ねています。その中でも特にユニークなのが、高城公園通り沿いに店舗を構えている「居酒屋コバラヘッタ」。昭和の懐かしさを感じるその店を約20年に渡り切り盛りしているのが、オーナーの太田和人さん(53歳)です。
「学生のころの夢はグラフィックデザイナー。福岡のデザイン専門学校に通って、長崎のデザイン事務所に入社しました。ただ、30年前なので、今みたいなデザインの仕事はあまりなかったので退職したんです。で、何をしようか考えていた時に、知人に『バーで働いてみない?』と誘われたのが飲食業界に入ったきっかけですね」
人懐っこい笑顔と柔和な雰囲気が印象的な太田さん。2006年に諫早市のアーケード商店街でオープンした居酒屋コバラヘッタは、20年近くに渡って「昭和レトロな居酒屋」として市民に愛されてきました。今回の記事では、太田オーナーの半生を紐解きながら居酒屋コバラヘッタの魅力を再発見していきたいと思います。
太田さん:もともとデザイナーを志望していたこともあり、“何かを創り出す”ということは好きだったんです。で、食材を調理して一品を作り上げるのってすごくクリエイティブだなって気づいたのが始まり。最初はお酒に合うおつまみ系だったのですが、だんだんとピザやパスタといった本格的な洋食メニューも作るようになりました。
太田さん:「いつか自分の店を持ちたい」という夢があったので、開店した時はすごく嬉しかったですね。ただ、結婚・出産を機に「子育ては地元の諫早でしたい」という気持ちが大きくなり閉店。もっと料理の幅を広げたいという想いもあったので、諫早に戻ってからは知り合いの割烹料理屋で働きながら和食の基礎を勉強させてもらいました。
太田さん:当時の店舗はアーケード商店街に面したオシャレな物件。ずっと「いい場所だな」と目を付けていた物件が独立のタイミングで空いたので即決でしたね。当時から私がプライベートで集めていた昭和レトロなコレクションをインテリアとして飾っていたので、同年代や年上のお客さんはすごく懐かしがっていたのを覚えています。
太田さん:ここはもともと地元の商店で20年近く空いていたんです。ロケーションも雰囲気も素敵で「いつかここに移れたらいいな」と思っていました。で、ある時、ふと「自力で大家さんを探そう」と思い立ったんです。何とか見つけ出してお話を聞いたら、駐車場にする予定とおっしゃって。「まずはウチに貸して、ダメだったら駐車場にしてください!」とお願いして、貸していただけることになりました。
太田さん:リニューアルする時に大切にしたのは、この雰囲気をなくさないこと。できるだけ当時の面影を残すことで、おばあちゃんの家に遊びに来たような空間を作りました。もちろん、レトロな看板やレコードジャケット、黒電話など私の昭和コレクションもインテリアとしてレイアウト。40代以上の方には懐かしい、若い世代の子たちにとっては新しい、そんな場所になれたかなと思っています。
太田さん:根本にあるのは「自分が楽しいからやっている」ということ。変な話かもしれませんが、僕自身、働いているというよりは飲みに来ているのと同じ感覚で毎日カウンターに立っているんですよ(笑)。お客さんが飲んだり食べたりしながら話に花を咲かせている…。そういう居酒屋ならでは賑やかな空間が大好きなので、これからも最高に楽しみながらこの店を続けていきたいですね。
居酒屋コバラヘッタの経営を通じて、約20年に渡って諫早の外食シーンを盛り上げてきた太田オーナー。故郷の魅力を尋ねるとこんな答えが返ってきました。
「諫早の飲食業界はすごく仲がいいんですよね。競合なんですけど、お互いにリスペクトしている関係性がすごくいいなと思っています。ちなみに、今、ウチにバイトに来ているのはバーをやっている知り合いの息子。ちっちゃい頃から知っている子が大人になって一緒に働いているのは不思議な感覚ですが、それも長く続けてきたからこそのおもしろさですよね」
次回は、居酒屋コバラヘッタの昭和レトロにスポットを当てたインタビューをお届けします。お楽しみに!!
取材・執筆/Komori Daigo
長崎県諫早市高城町6−13 ( Google MAP )
営業時間:
17:30~23:00(定休:日)
TEL: 0957-521-521