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暮しを楽しむの手帖
お料理やまうえ#2備長炭で焼き上げた最高級の“薩摩の若うなぎ”を大村で食らう…!ふっくらほどける「蒲焼き御膳」をいただきます

長崎県大村市原口町

古くから城下町として栄えてきた長崎県央のまち・大村市。市内には大村藩の歴史を感じる名残が点在しており、郡川の下流にある“鰻塚”もそのひとつです。鰻塚とは伝統的なうなぎ漁の手法。今でもその仕掛けを使った天然うなぎ漁が行われているほど、大村の人々にとって鰻は身近な存在なのです。

そんな大村市で鰻料理の名店として高い評価を集めているのが原口町にある「お料理やまうえ」。“素材にこだわり、美味しさを求めて手間隙を惜しまず、丹誠込めて調理する”をモットーに、備長炭で丁寧に焼き上げた最高級の国産鰻を提供しています。

今回の記事では、食通も唸らせる「お料理やまうえ」の鰻料理にフィーチャー。前半は若女将の山上典子さんに美味しさの秘密をインタビュー、後半はなんと自慢の「蒲焼き御膳」をいただいて食レポしていきますよ~。

徹底した水質管理で養殖された薩摩の若うなぎ。手間暇かけて備長炭でふっくらと焼き上げた蒲焼きをご賞味あれ。

創業当時から食材にこだわってきた「お料理やまうえ」。鰻も最高級の国産物ということですが、どんな鰻を使っているのでしょうか。

山上さん:鹿児島の西日本養鰻という会社が養殖している完全無投薬の「薩摩の若うなぎ」です。鰻ってすごく病気やストレスに弱い生き物なので栄養剤や抗生物質を使って飼育するのが一般的な養殖の手法。でも、西日本養鰻さんはミネラル豊富な地下水を飼育水に使用し、全く薬を使わない完全無糖薬で鰻を育てる技術を長年研究なさっていらっしゃるんです。

徹底した衛生管理を行うことで、養殖だけど天然に近いオーガニックな鰻が誕生しているんですね。

山上さん:その通りです。そして「薩摩の若うなぎ」のもうひとつの特徴が出荷する時期。鰻は長く飼育すればするだけ大きくなるのですが、分厚くなった皮と身の間に独特の臭みが生まれてしまうんです。でも、「薩摩の若うなぎ」は月齢1年半ほどで出荷するので、臭みはほとんどない。さらに、身は柔らかく皮も薄いのですごく食べやすいんですよ。

※公式サイトより
そんな「薩摩の若うなぎ」を贅沢にも備長炭で手焼きするのがやまうえ流。

山上さん:焼き全般については鰻のことを知り尽くす「うなぎの江口商店」の江口良二さんに師事。備長炭を入れた焼き台の上で鰻をじっくりと焼くことで、鰻の旨みを最大限に引き出すことができるんです。独自開発した自家製タレにつけて焼きを繰り返せば、皮はパリっと身はふっくら。口いっぱいに鰻の香ばしさが広がります。

シンプルな料理だからこそ、最高級の素材の味とクオリティの高い調理技術が求められるわけですね。

山上さん:それが、やまうえの料理の基本。添加物はできるだけ使いませんし、安心安全な食材にこだわっています。鰻の蒲焼きはもちろん、添えてある小鉢やお漬物なども全て手づくり。天然の素材から出汁をとったり、地元の食材を使ったりと、一皿一皿、手間隙を惜しまずに丹生込めてお作りしていますので、今日はぜひ味わっていってください。

看板料理の『蒲焼き御膳』を味わう至福のひととき。一皿一皿に込められた想いと丁寧な仕事に感動です

というわけで、お料理やまうえの看板料理『蒲焼き御膳』をいただきたいと思います!…おお、脂ののった上品な味わいが口の中に広がりますね。身の柔らかさとパリッと焼きあがった皮の食感のコントラストが堪りません。

山上さん:ありがとうございます。お客様からも「口に入れた瞬間にふんわりとした身がとろけていく」「備長炭で焼いた香ばしい風味が食欲をそそる」といった声をいただいているんですよ。薬味には大村市で栽培されている“鈴田ぶどう山椒”を採用。清涼感のある爽やかな香りとピリッとした刺激が、鰻の味に深みを与えてくれるんです。

そして、なんといってもこの自家製のタレ!甘みのバランスが良く、うなぎの旨味を最大限に引き出していますよね。ごはんとの相性も絶妙で、タレだけで何杯もおかわりしちゃいそうです(笑)。

山上さん:うなぎのタレをたっぷりかけたいという方のために追いタレもご用意。お客様の中には直接、ご飯にかける方もいらっしゃるくらいなんです。そうそう、ごはんに合うと言えば、こちらの漬物はオーナーの手づくり。素材を生かした優しい味わいで、たびたびお客様から「漬物、売ってないの?」と聞かれるほど人気なんですよ。

きゅうり、人参、大根、白菜…。漬物を一口かじるだけでもその丁寧な仕事ぶりが伝わってきます。小鉢に入っているきゅうりの酢味噌和えもさっぱりしていて箸休めにいいですね。

山上さん:鰻料理の汁物と言えば肝吸いが一般的ですが、やまうえではお味噌汁を提供しています。使用しているのは天然の食材から丁寧にとったお出汁と気温が変わらない山奥で2年間熟成させた山味噌(合わせ味噌)。その組み合わせから生まれる深いコクとまろやかな口当たり、味噌の芳醇な香りをお楽しみください。

…ごちそうさまでした。メインの鰻の蒲焼きはもちろん、白米・副菜・汁物・漬物と全部が美味しかったです!

山上さん:“食”は私たちの命を育むもの。だからこそ、お料理やまうえでは2006年のオープン以来、ずっと昔ながらの丁寧な調理を続けてきました。お客様もその姿勢を信用して食事にいらしてくださるので、食材にも調味料にも調理にもとことん真面目に。手間はかかるかもしれませんが、これからも実直に取り組み続けていきたいと思います。

一皿一皿、真心こめた煮炊きを提供している「お料理やまうえ」の高い評価は料理だけに留まりません。山上さんをはじめとするスタッフの優しく丁寧な対応も、お客様へ贅沢なひとときを味わっていただくための最高の調味料となっています。

「お越しいただいた方に気持ちよくお過ごしいただくためにも、スタッフ同士が声を掛け合えるような良い関係性が大事だと感じています。あとはお客様に接する時の言葉遣いや態度。ありがたいことに『やまうえのスタッフさんはみんな女将になれるね』とお褒めの言葉をよくいただいているので、これからも料理と接客の両輪で素敵な時間を提供していきたいですね」

次回は「お料理やまうえ」で食べることができるさまざまな鰻料理やテイクアウトメニューをご紹介。ぜひご覧ください♪

取材・執筆/Komori Daigo

INFORMATION
お料理やまうえ

長崎県大村市原口町617-58 ( Google MAP

営業時間:

昼/11:30〜14:00、夜(完全予約制)/17:30~21:00 ※火曜定休

TEL: 0957-55-2922

URL:https://xn--p8jee2s3a7462fvdva.jp/