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暮しを楽しむの手帖
あぶり家COCOから#4 涙の100円弁当から、夢の福岡進出へ。大村を愛し、仲間に寄り添うリーダーの未来図

長崎県大村市西本町

2012年の創業から14年。現在では大村市内に飲食店4店舗と運転代行会社を展開する「株式会社COCOから」。その成長の裏には、常に「人のために」という野中洋平代表の揺るぎない信念がありました。

シリーズ最終回となる今回は、同社の歴史の中で最も印象に残っているという「コロナ禍での闘い」と、そこから生まれた地域との絆をフィーチャー。逆境をユーモアに変え、仲間と共に走り続けるリーダー像とは何か。さらに、若手スタッフの夢を応援する独自の店舗展開スタイルや野中さんが見据える「福岡進出」という次なる野望についても語っていただきました。

利益よりも、子どもたちの笑顔。コロナ禍の逆境で生まれた「1200個の絆」

14年間経営されてきた中で、野中さんの心に最も深く刻まれている出来事は何でしょうか?

野中さん:やっぱり、コロナ禍ですね。売上がガクンと落ちて、正直「これはキツいな…」という時期でした。でもそんな時、学校が休みになって満足にお昼を食べられない子や毎日の食事づくりに困っているお母さんたちがいることをニュースで知ったんです。「今こそ、大村のためにできることがあるんじゃないか?」。そう思って、1個100円のお母さん応援弁当を作ることに決めたんです。

当時、テイクアウトに力を入れる飲食店はかなり多かったですが。しかもたった100円とは本当に驚きです!

野中さん:スタッフには「みんなの給料をすぐに上げることはできないし、仕事もハードになる。でも、私は今困っている人のためにこれをやりたいんだ。協力してくれないか」と頭を下げました。そしたら、「よし、やりましょう!」って二つ返事で賛成してくれて。ただ、私も妻も凝り性なもので、「出すからには満足してもらいたい!」と、蓋が閉まらないくらいおかずを詰め込んじゃったんですけどね(笑)。

※Facebookより
まさに飲食店のプライドですね!

野中さん:あと、給食が止まって牛乳屋さんも困っていると聞いたので、「お弁当に牛乳を付けたいから協力してください」って電話したんです。業者さんも喜んでくれたので、勢いで「学校と同じ金額で卸して大丈夫!」と頼んだら1パック70円(笑)。残り30円でお弁当を作るなんて、もう笑っちゃうくらい大赤字ですけど、完全に利益は無視。約1ヶ月半で1200個を販売しました。

実際に届けてみて、いかがでしたか?

野中さん:最終日には、子どもたちやお母さんから「お弁当ありがとう」っていう手紙を何十通もいただいたんです。それを読み返していたら、もう涙が止まらなくなって……。お弁当屋さんの経験なんてなかったから本当に大変でしたけど、「やって良かった」と心から思える一生の宝物になりました。

……あ、でもこれにはオチがあって。1200個売った売上が12万円だったんですが、その直後に特注の感染症対策アクリル板が届いたんです。1つ2万円を6席分、きっかり12万円(笑)。売上は一瞬で消えましたが、普通に外食ができる日常のありがたさを改めて痛感しましたね。

※Facebookより

スタッフの夢を会社の形に。独立も挑戦も全力で支える「COCOから流」の人材育成

2025年で14周年。これまでお店を広げてこられた中で、大切にしている店舗展開のスタイルがあるそうですね。

野中さん:はい。実は、今あるお店はすべて、うちで働く若い社員たちの「こんなことがやりたい!」という夢から生まれているんです。若手のやりたいことと、会社の方向性をうまくすり合わせて形にしていく。それが「COCOから流」のスタイルですね。2019年に法人化したのも、彼らが安心して夢を追える場所にしたかったからなんです。

会社が個人の夢をバックアップしてくれるなんて、スタッフの皆さんには心強いですね。

野中さん:私自身、27歳の時に勢いだけで起業して、右も左もわからず大変な思いをしました。「もっとこうすれば良かった」という反省もたくさんあります。だからこそ、会社が彼らの盾になって、リスクヘッジをしてあげたい。ずっと一緒に働いてくれるのも嬉しいですが、いつか独立したいと思えば、全力で背中を押します。「人の力で会社を大きくする」というのが、私の変わらないテーマですから。

現在は大村市内で4店舗を展開されていますが、今後の展望を教えてください。

野中さん:ひとつは下波止通りから大村の夜を丸ごと楽しんでもらえるような仕掛けをつくること。今は「あぶり家COCOから」を中心に、異なるスタイルの居酒屋とバー、それぞれ2店舗ずつを展開しています。1軒目にあぶり家で美味しいひとときを過ごしたら、2次会はカラオケバーに行ったり、カクテルを楽しんだり、深夜帯営業の居酒屋で語らったり…。

下波止をいろいろなナイトシーンで楽しめるエリアにしていきたい、と。

野中さん:そうです。そしてもうひとつが、ずっと心に掲げている大きな夢、「福岡への出店」です。もっと大きな舞台で自分たちが積み上げてきた力がどこまで通用するのか、本気で挑戦してみたいと思っています。大村で愛されてきた私たちの味が新しい土地でどんな笑顔を生むのか。想像するだけでワクワクが止まりません。そのためにも、まずはこの街で愛され続ける店に育てていきたいなと思っています。

人の為に成す、その行動が自分を成す。株式会社COCOからのこの理念は、決して飾りの言葉ではありません。コロナ禍での100円弁当やスタッフの夢を形にする店舗展開など、野中さんの歩みそのものがその想いを証明しています。

「福岡進出」という次なる挑戦を語る野中さんの瞳は、27歳で裸一貫スタートしたあの日以上に、熱く輝いているように感じました。大村の夜を沸かせ続ける「あぶり家COCOから」の物語は、ここからまた新しいページへと進んでいきます。皆さんもぜひ、大村へ足を運んで、その温かな熱量と至福の料理を体験してみてください。

取材・執筆/KomoriDaigo

INFORMATION
あぶり家COCOから

長崎県大村市西本町524 ( Google MAP

営業時間:

18:00~翌0:00(日曜定休)

TEL: 0957-47-5372