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長崎県長崎市銅座町
「長崎卓袱角煮」や「角煮まん」など人気のご当地グルメの製造・販売をおこなっている角煮家こじま。長崎市田中町の本社工場には、通常で約300kg、お歳暮・お中元の繁忙シーズンには約400~450kgのブロック肉が納品されており、調理からパッケージまでスタッフが手間ひまかけて作り上げています。
「製造工場では安心・安全でおいしい商品をお届けするために品質管理と衛生管理を徹底しています。例えば、角煮用の豚肉は設備機器を用いて厳重に管理。スタッフは作業担当別にエプロンの色を変えるなど、責任を持って商品づくりに励む環境を整えています」
そう教えてくれたのは取締役社長の川中康之さん。角煮家こじまでは、長崎卓袱から受け継がれた本格的な手づくり角煮を届けるために「食材」と「製法」にもとことんこだわっています。そんな角煮家こじまの角煮への並々ならぬ愛情(こだわり)を紹介していきますよ。

川中さん:基本的に使用しているのは豚の皮付き三枚肉。伝統的な卓袱料理で提供された角煮が皮付き三枚肉だったことが由来となっています。産地は、高品質な豚肉の生産地として知られているメキシコのソノラ州。乾燥した気候で病原菌の発生リスクが低く、家畜伝染病を防ぐための厳重な管理が行われており、国産品質レベルの上質な輸入肉なんですよ。
川中さん:決め手は「こじまの味付けにしっくり来た」ということ。私が入社する以前の開業当初からメキシコ産の皮付き三枚肉が使われていたそうです。実は、何度か別の豚肉も試してみようとデンマーク産やオランダ産などで試し炊きをしたことがあるのですが、やっぱり何かが違うんですよね。ボリューム感、肉の旨味、トロっとした食感。こじまの角煮を支える大黒柱的存在だと思っています。

川中さん:創業者が全国を訪ね歩いて見つけた国産丸大豆しょうゆに厳選した銘酒・みりん・砂糖・生姜をブレンドしたものがベース。30年以上の経営の中で少しずつ改良を加えながら使い続けています。豚肉の美味しさを引き出すあっさりとした味わいながら、噛めば噛むほど深みを感じる。まさに角煮家こじまの味の決め手ですね。
川中さん:そうなんです。赤身がしっかりしていてタレの味が染み込みやすいメキシコ産に対して、長崎県産の豚肉はきめ細やかな赤身肉とあっさりとした脂の旨みが特徴。ちなみに角煮まんじゅうの皮に使っているのは国産の小麦粉。金額は県産豚肉の角煮まんの方が高めですが、「長崎県らしいものを贈りたい」など、妥協しないお客様はこちらをお選びになる傾向があるようです。

川中さん:1つ目は「下ごしらえ」。工場へはブロック肉の状態で納品されるのですが、最初に雑菌や産毛が残らないようにレーンで流しながら皮の表面をバーナーで炙ります。その後、表面をブラシでこすって洗い流した後に調理サイズにカット。下茹でを何度も繰り返して灰汁と余分な脂分を落とすことで脂身はゼラチン状に、赤身肉は柔らかくなるのです。
川中さん:その通りです。そして2つ目のこだわりは「手づくりの味」。当社の角煮は工場で製造しているのですが、寸胴鍋での大量生産は行っていません。ご家庭にある平鍋を20個ほど並べて炊き上げています。その理由は角煮に満遍なく火を通すため。商品サイズにカットした豚肉を秘伝のタレでじっくりと煮込むことで、肉の臭みを感じない良質な角煮に仕上げています。

川中さん:炊きあがった角煮は粗熱をとった後、冷蔵庫で一日寝かせます。こうすることによって、豚肉にタレの味がしっかりと染み込むんですよ。とろっとやわらかな脂身、もっちりとした皮、ほろほろとほぐれやすくなりつつもジューシーな赤身肉…。甘辛い醤油タレの香りと艶やかな飴色が印象的な“こじまの角煮”のできあがりです。
川中さん:いえ、基本的には一度冷凍してから真空パックするようにしています。水分が多く含んでいる角煮をそのままパッケージングしようとすると、袋が汚れるなどやりづらいんですよね。冷凍することで袋入れもスムーズになりますし、なにより衛生的。安全・安心で美味しい角煮をお客様へ届けるということも私たちの大きなこだわりですね。

割烹から誕生した角煮専門店だからこそ、食材にも製法にもこだわっている角煮家こじま。「長崎で角煮・角煮まんといえば“こじま”と言われることを目指しています」と話す川中社長に、こじまの角煮の魅力を一言で伝えてくださいとお願いすると、こんな言葉が帰ってきました。
「長崎そのものです。長崎グルメといえばカステラやちゃんぽんをイメージする人が多いと思いますが、角煮も卓袱をルーツに持つ郷土料理。だからこそ、『本当に美味しいんですよ、こだわってるんですよ』ということを伝えていきたいと思っています」
川中社長が自信を持ってオススメする角煮家こじまの商品はオンラインショップでも販売中。角煮のほかにも角煮まんや角煮おにぎりなど、バラエティー豊かな商品が揃っていますので、ぜひチェックしてみてください。
取材・執筆/Komori Daigo

長崎県長崎市銅座町6-12 ( Google MAP )
営業時間:
9時~19時
TEL: 095-822-7811
通販サイト:https://www.kakuniya.jp/