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熊本県八代市新浜町
経済や文化の中心地として古くから栄えてきた熊本県八代市。中心市街地から八代港を結ぶ県道250号(八代港大手町線)のロードサイドには、国指定の史跡・八代城跡や名勝・松浜軒など城下町の孫利を感じるスポットが点在しています。
その道沿いにある新浜町で今年(2025年)6月にオープンしたのが「昼夜食堂HIKANCHI(ヒカンチ)」。名前の通り、昼間はリーズナブルな定食ランチを提供する食堂、夜は食事もお酒も楽しめる居酒屋として営業。ナチュラルで明るい雰囲気の店内はお客様の笑顔とスタッフの声で活気にあふれています。
昼夜食堂HIKANCHI(ヒカンチ)を経営しているのはオーナー兼料理人の橋本光さん。まだ30代ながら、生まれ育った八代で「いつか自分の店を持ちたい!」という高校生の頃からの夢を叶えられました。今回は記事では橋本オーナーの半生を紐解きながら、そのお人柄に迫ってみたいと思います。
橋本さん:元々、22歳から25歳まで八代の魚市場で競り人として働いていたんですよ。なので、当時の出勤時間は早朝4時半。八代魚市場では買い手が手板に値段を書いて提示する競りスタイルなんですけど、大勢の人たちが挙げる札の中から一番高い値段を見定めるのは本当に大変。でも、公平かつスムーズに進行できた時の充実感や会場の熱気はとても良い経験になりましたね。
橋本さん:そうです。魚市場の業務で知り合った“八代の漁師の店”として有名な「いけす料理宗弘」の社長から誘っていただいたのがきっかけ。ただ、料理は学生の頃にバイトで少しやったくらいの経験しかなかったので不安も大きかったのですが、「いつか自分の店を経営してみたい」という夢を実現するためにお世話になることに決めました。
橋本さん:鮮魚の卸し、カウンターでの刺身ひき、寿司場、焼き場、揚げ場と担当を変えながら4年かけて料理の基礎を叩き込まれましたね。自分でも驚きだったのが、料理人という仕事がすごく性に合っていたこと。最終的には揚げ物を一手に任せてもらって5年ほどやっていました。今でも天ぷらは私の自慢料理のひとつなんですよ。
橋本さん:屋台BAR光ん家はオーナーがいらっしゃって、私は雇われ店長というポジション。規模も小さく、全品350円というお店ではありましたが、調理しかしてこなかった自分にとって店舗運営を任されたのは本当に大きな経験でした。
※Instagramより
橋本さん:去年の12月に前々からいいなと感じていたこの物件が空いたんです。前は居酒屋さんだったんですけど、ウチは食堂兼居酒屋のイメージだったので内装は解体して全面リノベーションしました。特にこだわったのはオープンキッチン。厨房を広くすることで調理しやすい環境を作るだけでなく、お客様から作り手の様子が見えることで安心していただけるんじゃないかなと考えました。
橋本さん:自宅が近所なので子どもたちは大喜びですよ(笑)。今は3人とも小学生なんですけど、オープンしてからは学校が終わったらココに帰ってきて、宿題して、夕食を食べてから帰宅する。第2の自宅みたいな存在なんじゃないですかね。私にとっても、子どもを目の届くところで見守れるというのはとても安心。すごく理想的な働き方ができているなと感じています。
“自分の店”という10代からの夢を叶えた橋本さん。一般的な料理人の方々と比べて飲食業界に入った時期は多少遅かったものの、持ち前のセンスと宗弘で仕込まれた技術から作り出されるメニューの数々は多くの八代市民を虜にしています。
「私の信条は“丁寧かつスピーディー”。お客様をお待たせしないことはもちろん、下処理から盛り付けまで丁寧に行っています。店の近隣の住宅街に住んでいる方々はもちろん、宗弘や光ん家のお客様も足を運んでくださっている。こうやって評価してもらえるのは、本当に料理人冥利に尽きますね」
取材・執筆/Komori Daigo
熊本県八代市新浜町1-1 ( Google MAP )
営業時間:
昼/11:00~15:00(月・火・水・木のみ)
夜/17:00~22:00(定休:日・祝)
TEL: 070-2362-3459