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暮しを楽しむの手帖
海鮮蒸気 福#1 大村市にオープンした海鮮蒸気鍋が楽しめる居酒屋。脱サラして事業を立ち上げた若きオーナーの想いとは

2024年11月、大村市杭出津3丁目に長崎初上陸となる“海鮮蒸気鍋”が楽しめる居酒屋「海鮮蒸気 福」がオープン。日本有数の水産県・長崎の質の高い魚介類を約120℃の蒸気で食材を蒸しあげることによって、素材本来の味わいをシンプルかつヘルシーに楽しめると話題沸騰中なんです。

「お客様の目の前で調理が進むライブ感も蒸気鍋の魅力のひとつです」と微笑むのは、代表の松本康一郎さん。約20年間、公務員として働いてきた松本さんですが、10年ほど前に旅行で訪れた香港で出会った海鮮蒸気鍋に可能性を感じ、脱サラして開業に至りました。

頼り甲斐のある大人の男性という佇まい、気さくなトークの中に見せる人懐っこい笑顔。人間的な魅力に溢れる松本代表の半生を紐解きながら、「海鮮蒸気 福」にかける想いをインタビューしていきます。

高校時代に抱いた“何かを成し遂げたい”という夢。香港で出会った海鮮蒸気鍋が独立のきっかけに

元々は公務員だった松本さん。なぜ脱サラして飲食店をやろうと思ったのでしょうか。

松本さん:高校生の頃に「社長になりたい」「自分でなにかやりたい」と人生の目標を立てたんです。漠然とした夢なんですけど自分の中では結構大きくて。日頃から「これ、商売にならんかな?」とアンテナを張るようになったんです。公務員として働いている時も「35歳くらいまでには仕事を辞めて、事業を立ち上げるんだ」と同僚相手に夢を語っていましたね。

自分の手で何かを成し遂げたい、という想いが原動力。それをずっと持ち続けていらっしゃるのが素敵です。

松本さん:「自分は仕事のためだけに生きたくない」「家族の時間を大切にしたい」という気持ちが芽生えたことが、社長になるという夢のバックボーンにあったんだと思います。

いろんな業種・業態がある中で、海鮮蒸気鍋を選んだ理由を教えてください。

松本さん:実は最初から飲食店をやりたいと思ってたわけじゃないんですよ。10年ほど前に親友に会うために香港旅行をした際に、「今、香港で大ブームの場所だよ」と連れて行ってもらったのが海鮮蒸気鍋の店。その斬新な調理方法と美味しさに感動し、“長崎の新鮮な魚介類×蒸気鍋”というキーワードで本格的に事業の立ち上げをイメージするようになりました。

そして2024年11月に「海鮮蒸気 福」がオープン。蒸気鍋との出会いから10年を経て、大きな夢を叶えました。

松本さん:ようやくスタートラインに立ったという感じですね。最初は香港の親友に一緒にやろうと声をかけていたんですけど、いろんな事情で難しくなってしまって。ビジネス手腕がありトリリンガルの彼がいてくれたら心強かったんですけどね。どうしようか悩むこともありましたが、人生は一度きり。後悔したくなかったので自分一人で経営する決意をしました。

勇気をもって一歩踏み出せばサポートしてくれる人たちがいる。それが本当に心強かった

安定した公務員を辞しての独立開業。ご家族の反応はどうだったのでしょうか。

松本さん:小学校からの同級生である妻は、私の最大の理解者。若い頃から抱き続けてきた夢だと知っていたので背中を押してくれました。両親も最初は反対していましたが、今は応援してくれています。

身近な人たちの理解や応援は本当に心強いですよね。

松本さん:で、2024年3月に退職して本格的な事業の立ち上げがスタート。商工会議所の創業塾に通って経営者としての心得や知識を学んだり、事業計画を立てたり、仕入れ先を開拓したり…。不安なこともありましたが、勇気を持って一歩踏み出したことで2歩目、3歩目と前へ進むことができた。たくさんのサポートが後押ししてくれたので、本当に感謝しています。

店舗づくりでこだわった点があれば教えてください。

松本さん:やっぱり蒸気鍋。どうしても使いたい製品が中国メーカーのもので、電力的な問題があったんですよ。香港の親友の助けも借りながら、時間をかけて日本の電力基準に合うように改良してくれる会社を探しました。特別設計で発注した蒸気鍋が納品された時は小躍りして喜びましたね。

外には香港をイメージしたネオン看板、中は落ち着いたシックな雰囲気。海鮮蒸気鍋はもちろん、豊富な居酒屋メニューも味わえます。

松本さん:最初はハイグレードな蒸気鍋でいこうと考えていたんですけど、厳しいんじゃないかと指摘を受けて普段使いしやすい“蒸気鍋のある居酒屋”にシフトしました。求人を見て、料理人として経験のある店長がスタッフとして入ってくれたのも大きかった。私のアイデアを料理として形にしてくれますし、「本当にありがとう!」という感じですね。

「経験もコネクションもない状態からのスタートでしたが、私には持ち前の行動力がある。できる限り地産地消の活きた食材にこだわりたかったので、いろんな漁港などに出向いて仕入れ交渉を行いましたね」と振り返る松本代表。青くライトアップされた水槽には、アサリ、檜扇貝、九十九島かき、伊勢海老など長崎県内で水揚げされた自慢の海の幸が並びます。

高校時代から持ち続けた「自分の手で何かを成したい」という大きく漠然とした目標。社会人になり年を重ねるうちに手放してしまう人が多い“若い頃の夢”を少しずつ少しずつ丁寧に磨き、見事に花開かせた松本代表の確固たる信念が、人を惹きつける魅力となっているように感じました。

取材・執筆/Komori Daigo

INFORMATION
海鮮蒸気福

長崎県大村市杭出津三丁目386番地1-A2 ( Google MAP

営業時間:

火~土/17:30~23:30、日/17:00~23:00(月曜定休)

TEL: 080-7988-8832